【感想】十角館の殺人〈新装改訂版〉

綾辻行人 / 講談社文庫
(2057件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
823
752
318
46
6
  • 一行で語られる真相

    ****************************************************************************************************************
    (あらすじ)
    有名な作家名をあだ名としてお互いを呼び合う程、推理小説にどっぷりはまった大学のミステリー研の面々7名が、十角形の館の立つ孤島での合宿を行う。館を立てた建築家、中村青司は、同島の別の屋敷の火災事故で一家もろとも無くなったというが、そこにはいくつもの懐疑点があったという。
    そして、唐突に始まる謎の連続殺人事件。犯人は7人の中にいるのか?それとも、8人目が潜んでいるのか?彼らの命を狙う理由は何なのか?

    時同じくして、島の外では、本土に残ったメンバーが、過去のメンバーでもあり研究会の歓迎会の最中の事故により死亡した中村青司の娘"千織"の死に関する怪文章を受け取り、偶然にも、中村青司と千織の、過去に起こった事故の真相を追う事となる。

    はたして、現在人知れず島で起こっている怪奇な大惨事と、過去に起こった事故による中村青司、千織の死との関係は?
    ****************************************************************************************************************

    外界との交信手段が途絶えたクローズドサークルで発生する事件と、同時に本土で行われるの過去の事故の調査とが、約1週間の出来事としてリアルタイムに並行して描かれていく本格派推理小説。

    どんでん返しの、たった一行の真相が面白い!
    一見ずるいようでいて、実はその全てに矛盾なく、ヒントとなる場面もしっかり描かれているので、終盤におけるたった一行での種明かしまでその事に気づけなかったのが、また悔しい。種明かしを読んだ時、全ての事件が一気に繋がります。

    なるだけ素直な気持ちで、犯人が誰なのか類推しながらゆっくりと読む事が、この物語を最高に楽しむコツだと思います。ひたすら先が気になり、スラスラと読み進んでしまった自分は惜しいことをしました。
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    投稿日:2013.09.24

  • 何度読んでも面白い傑作

    ミステリーには一度読めば満足するものと、真相に気づいてから改めて読み直すものがあります。この作品はまさに後者に属する部類の名作。
    こんなことをレビューに書くのは気が引けるけど、初読の人はぜひ電子書籍版ではなく、紙の新装版で読むことをおススメします。そして気に入ったらぜひ、手元でいつでも読み返せる一冊としてReaderに入れましょう。夏が来ると読み返したくなる、そんな一冊だと思います。続きを読む

    投稿日:2013.10.03

  • 求めていたミステリーがここにある

    私自身あまりミステリーを読んでこなかったのでこのジャンルの初心者ですが、早い段階からこの書籍に出会うことかができて本当によかったと思います。
    最初は早く謎を解きたいと思っていましたが、謎が解明された時は解けてしまったことがもったいないと感じてしまったことはこれが初めてです。
    出来ることなら記憶を消してもう一度初めから読みたいと切実に願ってしまうほどに鮮やかな叙述トリックでした。
    今でも思い返しては「あの1行」が記憶のなかに刷り込まれてしまったことが悔しくも、しかし爽快という二律背反な感情が私の中に同居しています。

    外部との連絡のとれない絶海の孤島 その館でおこる連続殺人 
    有名で古典的すぎるこのテーマが上質な読み解くエンターテイメントとして成立しているのはやはり小説という媒体だからです。
    この作品をドラマや映画といった映像化作品には出来ないでしょう。出来たとしてもこの小説を読んだときの衝撃は絶対に再現できてないはずです。
    ミステリー小説の金字塔ともいえるこの作品が多くの人に愛される理由が良く分かりました。また、私にとっても愛すべき一冊となっています。
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    投稿日:2014.03.29

  • ここが元?

    改定前の初刊がおよそ30年前とのこと。
    隔絶された場所での連続殺人て、これまでも似たような設定で多くのミステリー作家さんがtryした作品多くあったように思うけど、そのお手本となる作家さんなのかなぁ…という位、著者の名前も作品も知りませんでした
    (恥ずかしながら)。
    携帯やパソコンなど全くない時代の話だったので、逆にいつもよりゆっくりと字面を追って読んだ気がします。最初「ン?」と引っかかったものがあったけどその「ン?」が日々起きる事件にかき消されて、最後騙されました。
    素直に読めるミステリーでした。

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    投稿日:2016.02.27

  • 日本の「新本格ミステリ」は本書から始まった

    おそらく出版されてすぐ読んだと記憶しています。
    クリスティの『そして誰もいなくなった』へのオマージュでもあるので、先に読了しておくと、さらに驚きを増すでしょう。
    ここからワタシのミステリ彷徨が始まったと思うと、たいへん感慨深いものがあります。
    歴史的意味でも傑作だし、終盤のあの「ひと言」は今でも鮮烈に覚えています。
    続きを読む

    投稿日:2013.10.15

  • サクッと楽しめた。

    15年以上ぶりに新装版で再読。当時は苦手感があったのだけど、今回の再読はサクサク読めて、とても面白かった。十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を訪れた大学ミステリ研の七人。一人、また一人と殺されていく中で、果たして最後に残るのは…そして犯人は…。じわりじわりと広がっていく恐怖と猜疑感が良いですね。そして何とも言えない哀しさが滲むラスト。苦手感も払拭したのでシリーズ読んでみようかな。続きを読む

    投稿日:2014.08.31

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ブクログレビュー

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  • ヘパソフト

    ヘパソフト

    ミステリーの名作!
    孤島に建つ十角形の館で起こる連続殺人事件。犯人は誰なのか、この結末は予想ができません。

    投稿日:2024.04.15

  • はな@書店員

    はな@書店員

    映像化に伴い久々に再読

    最近新しめの文面ばかり読んでたからか、思いのほか時間かかった…再読だからってのもあるかもしれない。

    やっぱりこの作品は、初読の衝撃に勝るものがない。当時部屋でうわぁーーまじでーーー!!って叫んだのを覚えてる。

    その衝撃を忘れられないから、2回目以降はどんなに時間をあけても、答え合わせというか神様視点なんだよね…それはそれで面白いんだけども。
    今回、多分10年はあいたと思うんだけど、細かいトリック以外はほとんど覚えてた。

    初読なら本当に、衝撃と直後の答え合わせが楽しすぎる作品。だから星4なんだけど、時間開けると期待値が上がってしまうのかあんましだった。再読はしないかもだけど、表紙の赤い十角館がお気に入りなので、本棚に入れとく。

    続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • レモンスカッシュ

    レモンスカッシュ

    登場人物や場所などが思ったよりも複雑で、きちんと整理せずに読み進めてしまった。そのため「衝撃の一文」の驚きが半減されてしまった。読む人には少し時間がかかってでもきちんと頭の中で整理してイメージしながら読んで貰ったほうが楽しめる作品だということをお伝えしたい。続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • yumiyumi110

    yumiyumi110

    やっぱり面白かったーー!!
    途中ぐらいからこの人が犯人かなーと思ってた人が犯人だったけど、「驚きの1行」でそういうことか!てなった。確かに驚く。これは実写化は絶対ムリでしょう!!!本だからできるのでは
    huluで見た方の感想聞きたい!!
    続きを読む

    投稿日:2024.04.12

  • ( ͡° ͜ʖ ͡°)

    ( ͡° ͜ʖ ͡°)

    映像化不可能なトリックってどんなだろと思い購入。色々考えたものの全く予想していないオチでした。。序盤は読んでいてややダレたものの後半めちゃくちゃ引き込まれ、眠気も飛んで布団の中で読みました。個人的にはエラリイのあの鼻につく感じはかなり好きです。皆がすぐ煙草を吸い始めるところには時代を感じたし、自分もちょっと吸いたくなってしまいました。続きを読む

    投稿日:2024.04.11

  • Kohei Fujiwara

    Kohei Fujiwara

    このレビューはネタバレを含みます

    【あらすじ】
    十角形の奇妙な外観を持つ館“十角館”が存在する、角島(つのじま)。 1986年、“十角館”を建てた天才建築家・中村青司(なかむら・せいじ)は、焼け落ちた本館・青屋敷で謎の死を遂げていた。 半年後、無人島と化していた角島に、K大学ミステリ研究会の男女7人が合宿で訪れる。 その頃、海を隔てた本土では、かつてミス研メンバーだった江南孝明(かわみなみ・たかあき)のもとに【死んだはずの中村青司】から1通の手紙が届く。 <十角館に滞在するミス研メンバー>と<死者からの手紙>。 「偶然とは思えない」―。江南は調査を進めるなか、島田潔(しまだ・きよし)という男と出会い、行動を共にしていく。 一方“十角館”では、ミス研の1人が何者かに殺害される。「犯人は一体誰だ?」疑心暗鬼に陥り、互いに仲間を疑いはじめるメンバーたち…孤島である角島から出ることができるのは、1週間後。 2つの物語から起こる【想像を超えた衝撃の結末】とは。

    【感想】
    衝撃の1行を読んだ時に『えっ?』っとなり、一気に色々な事がフラッシュバックしてひっくりされるのは、本当にミステリとして面白い!!
    単純といえば、単純なのかもしれないがだからそこ気付けないなーと感じ、やられた!という気持ちが悔しくも気持ちのいいスッキリ感があった!!
    実写化不可能と言われている作品で、実写はどうやるんだろうと思い、鑑賞したが、まぁシンプルゆえにこういうやり方でいいのかーと納得!
    思ったよりも登場人物の顔とかそこまでちゃんと観てないよなーと思い直しました。

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    投稿日:2024.04.10

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