【感想】戦闘妖精・雪風(改)

神林長平 / ハヤカワ文庫JA
(172件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
72
58
15
0
1
  • 神林長平の最高傑作にして日本SFの精華!

    初版は1984年である。大学生の時に買って読んだのでもう29年経過したのか。。。
    今回、改訂版となっているがこれは、作中に登場するワープロを作者の他の作品「言壺」に出てくるワーカムというガジェットに置き換えるというのが主な作業となっており、その他部分にはほとんど手を加えていない。
    最初の出だしがすごく好きで作中での登場人物リン・ジャクスンが書いた「FAF・特殊戦隊」でのジャムの地球侵略の経緯とFAFの成り立ちなどハードなSF設定が語られる。当時、ワクワクして読んだおぼえがある。その後一章から展開される戦闘や主人公零の非人間さのせいでなかなか感情移入ができずにいたのではあるが、四章の「インディアンサマー」あたりからこの小説で何を語りたいのかがジンワリと見えてくる。また零が感情表現しだすのもこのあたりから。そして五章の「フェアリイ・冬」に於いて明かさせる衝撃の事実、最終章「スーパーフェニックス」ではさらなる衝撃のラストへ。わかってみると一章から隠し絵的にそのテーマが語られているので再読してすぐに納得。とにかく80年代の傑作SFである。この作品はその年の日本長編部門で星雲賞を受賞。それだけ当時のSFファンからは支持された。まあ、この感想が私個人だけでなかったという事である。
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    投稿日:2013.11.15

  • 人生を変えた一冊。

    人間ではないものを描くことで逆説的に人間とは何であるかを描こうとする唯一無二のメカトロニックSFです。主にキャラクターの心情に焦点が当てられているため、そういう意味ではキャラクター小説であるライトノベルに近いものがあります。

    主人公の深井零は、何かの手違いで人間に生まれてしまった機械と言われるほど人間的な感情に乏しいキャラクターとして描かれます。それ故に、味方を見殺しにしてでも情報を持ち帰るという任務の非情さから死神とも揶揄される特殊戦隊で“雪風”のパイロットを務めています。

    宇宙人が出てきますが、戦闘機でドンパチやり合うありがちなSFではなく、そのストーリーは人間と機械知性と異星体“ジャム”との三者のコミュニケーション、とりわけ深井零と意思を持った戦闘機“雪風”との関係性を描くためだけに綴られているため最後まで物語に没入できます。

    零は自分の周囲に心を閉ざし、愛機である雪風へ耽溺することでしか自己を守れません。しかし、そんな彼が、機械知性に翻弄されながらも人間であろうとするキャラクターたちとの交流(このサイドストーリー自体も非常に面白い)を通じて少しずつ人間らしさを表わしていきます。

    そして、それまで積み重ねてきた深井零の雪風への想いや他のキャラクターたちの想いが、ラストシーンの雪風の判断をこれでもかというくらいドラマチックなものにしています。並のミステリよりも衝撃の結末でした。

    何より私が気に入っている点は、機械描写が細かい点と、機械知性の心情を機械知性自体に語らせずアクションで描写することにより、シーンが劇的に表現されている点です。
    人間と機械の心の交流を描いた作品は星の数ほどあれど、機械というものをこれほどまでに怖ろしく表現できる作品は、戦闘妖精・雪風をおいて他にないと思います。
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    投稿日:2014.02.01

  • ジャムとの戦争は終わるのだろうか?

    最初の作品が1979年だからかれこれ30年以上戦っていることになる。作者のライフワークと言えるだろう。
    実際の無人戦闘機は未だ遠隔操作型だし、性能もレシプロ程度で未だ人間が重要だから残念ながら予言としてのSFはあたっていないことになるが、対テロリストという、交渉できない、見えない敵との戦場の主役になりつつあるという意味では当たっている。
    神林長平さんも還暦を迎えたのでそろそろ完結を迎えてほしいところです。
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    投稿日:2013.11.14

  • SF小説の優秀作

    ある程度、軍事ものを読んだ経験があって、戦闘機にもそれなりに詳しくないと分かりにくい単語が出てくるような気はするけど、正体不明の敵ジャムとの腹の探り合いのような戦いや、人間的な一面をほとんど見せなかった主人公が、人間的な感情を少しずつ見せるなど、引き込まれるストーリーが特徴的な作品。

    単行本も持っているけど、電子書籍だと電車の中でもスマートフォンを片手に読めるのでお勧めです。OVA化されているので、そちらを見た人でも、OVAの縮めたストーリーに対し、小説版は順を追って説明されていることもあり、新鮮な気持ちで読めますね。
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    投稿日:2013.12.18

  • トム・クルーズ主演実写映画化来る?!の前に

    OVAを観て雪風のファンになり、20年以上も前に作られたハードなSFを読んでみた。
    異世界から現れた正体不明な生命体ジャムと、人類が作り上げた戦術戦闘電子偵察機「雪風」との戦い。
    極めて高度な中枢制御体を搭載し、データリンク制御で多数の無人戦闘機を操ることも出来る。膨大な電子データから解析される戦術的な答えには人は必要ではなく、ましてや急速な旋回Gには人間は耐えられず足かせとなる。
    雪風は乗客保護装置を切り設計限界を超えた戦いをしはじめた。パイロットの命令にはエラー判断し自動制御でも作戦を遂行する。
    ジャムは直接人を狙ってこない。脅威なのは雪風でありそれに対応しようと色々と仕掛けてくるのだがことごとく失敗し、主人公であり雪風のパイロット深井零少尉に接近を試み始める。。。。
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    投稿日:2015.11.23

  • 27年ぶりに再読

    謎の知性対ジャムの侵略を防ぐため、ジャムの開いた通路の先、フェアリイ星で防衛任務に当たっているFAFに所属する戦闘機雪風とそのパイロット深井零の活躍を描いた連作短編集。
    <改>の前の版を読んだのは1988年のこと。それ以来の再読なので、細かい内容はほとんど忘れていた。そんな中唯一はっきり覚えていたのが5篇目「フェアリイ・冬」のタイトル。主役の深井零中尉と雪風を脇役に回し、雪かき部隊の天田少尉が主役となる内容も意外と覚えていた。このエピソードがそれだけ印象的だったのだろう。雪かき部隊の天田少尉がなぜか勲章を受け、仲間からも浮いてしまう。叙勲の謎を探る零の親友ブッカー少佐・・・というお話。
    人間を乗せると不可能だが雪風単体なら可能な超機動飛行、エヴァンゲリオンに登場したLCLに浸けておけば人間も乗れるかも・・・と思ったがそれではぎりぎりの安全率で設計するだろう戦闘機だと重量オーバーするか。何故人間が必要なのかという問は、これからさらに切実な問題になってくるかもしれない。
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    投稿日:2015.08.04

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ブクログレビュー

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  • planets13

    planets13

    人間性とは何か、意志とは何か、思考とは何か。ジャムの作った機会人間の存在と、ファティマの存在がかぶるのは私だけではあるまい。

    投稿日:2023.12.24

  • Ruuuui

    Ruuuui

    正体不明のフェアリ星生命体ジャムと、それと戦うフェアリ空軍FAF、そしてFAFの主力である大型戦闘機シルフィードのお話。ジャムは人間を識別できず、機械と闘ってると思っているという設定は面白いが、最終的に人間という有機物を識別し相当に近しいやり方でコミュニケーションを取ってくるのは違和感が強かった。ジャムはあくまで機械を標的とし、それが故に人類が予測できない致命的な攻撃を仕掛けてくるし、降伏のコミュニケーションもできないとしたほうが面白そう。またAIが人類を超克してくといったテーマも見られるが、雪風に捨てられた、とか助けられたとか判断してしまう主人公零は実はものすごく人間的。機械は人間的なロジックでは判断、思考しないことを理解しながらも雪風に人格を求めてしまっている。これは言ってしまえば自動掃除機を可愛いとペット扱いしている人と同じだ。とりあえず15年後に書かれた続編を読む。続きを読む

    投稿日:2023.11.07

  • isutabi

    isutabi

    ★零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。(p.192)
    これは、おもろいです。気になりつつこれまで読んでこなかったのは食わず嫌いでした。ついいろいろ考えることになるでしょう。

    えて類似品を探したら昔の特撮ドラマ「UFO」とか森博嗣さんの「スカイ・クロラ」シリーズとか。でもいずれも人間と同種の存在(ないしは人間)との戦いなので味はだいぶ異なります。

    個人的にSFやファンタジーには、まず魅力的な設定、それを表現するための魅力的なキャラクタと、魅力的な謎、そして多少テンプレでもいいのでそれらを動かすためのシンプルかつ豊かな物語性が必要と思ってます。
    この話では情報収集のため味方機を見殺しにしても必ず帰投するという過酷な任務に対応できる「なにかの手違いで人間になってしまった機械」ようなパイロットたちというのが設定で、その中でも戦いの意味や人間の存在について思考を続ける深井零という主人公やブッカー少佐、使命に特化された人工知能と性能を持った機体「雪風」がキャラクタで、そして敵であるジャムが謎にあたるでしょう。ストーリーはゲストキャラたちによってという感じで。

    【妖精の舞う空】帰投中シルフィードに似た機体と交戦し撃墜した零は軍法会議にかけられその間ブッカーの仕事を手伝うがあれこれ考えてしまう。

    【騎士の価値を問うな】シルフと格闘戦闘機ナイトの実戦訓練が企画されるが短距離走者と長距離走者が「あんパン食い競争」をするようなイベントに乗り気になれない零。戦争にはなぜ人間が必要か。ジャムがもし機械なのだとしたら人間などお呼びでないのかもしれないと零は思う。

    【不可知戦域】偏向的な記事を書くジャーナリストを後部座席に載せ雪風はフェアリイではない未知の場所に飛ばされたが、どうやらそこで雪風は単独でジャムと戦っていたらしい。《ジャムはまだ地球を直接侵略していない気がする》p.159

    【インディアン・サマー】空中飛行基地バンシーが味方機を襲い全滅させた。なぜか零が航空電子工学の天才、トマホーク・ジョンとともにその調査を行うことになった。

    【フェアリイ・冬】除雪隊の一介の隊員が最高位のマース勲章を叙勲したがその理由を誰も知らない。

    【全系統異常なし】ジャムの新型ミサイルは有人機では対応できない。軍は新型無人格闘戦闘機の開発とブーメラン戦隊でも最も過酷な戦闘を生き抜いてきた雪風の無人化を試みる。

    【戦闘妖精】雪風は地球を飛ぶ。ブッカーはリン・ジャクスンと出会う。

    【スーパーフェニックス】雪風は搭乗者を考慮しない戦闘を行い零たちは大きなダメージを受け、壊滅したはずの基地に救われるがどうもおかしい。ジャムは初めて人間を認知したかもしれない。そして雪風は人間と古い身体を捨てる。

    ■簡単なメモ(★は重要語)

    【一行目】いつの時代のものでもよい、世界地図を広げたとき、そのどこにも戦争、紛争、対立の示されていない地図など例外中の例外である。

    【アドミラル56】日本の航空母艦。
    【天田守少尉】FAFの除雪隊員。マース勲章を叙勲し困惑する。
    【アレヴィ博士】空軍戦闘心理研究所。
    【SAF】→ブーメラン戦隊
    【FRX】スーパーシルフを元にした小型軽量機だがコンピュータの容量はスーパーシルフに匹敵する。最終的には無人化を予定しているが当面はブーメラン戦隊のパイロットが教育役として搭乗する。
    【FAF】フェアリイ空軍。地球防衛機構の主戦力。フェアリイ側「通路」を中心にほぼ同円周上に基地を配置している。
    【エメリー中尉】エイヴァ・エメリー。オドンネル大尉の実質的な個人秘書で恋人でもあるようだ。
    【オドンネル大尉】ヒュー・オドンネル。ファーンⅡのテストパイロット。陽気で気さくなタイプ。個人秘書のエイヴァ・エメリーは恋人でフライト前の会話で死亡フラグを立ててしまう。
    【カール・グノー大佐】システム軍団・技術開発センター所属。遠隔操縦機を開発した。《ジャムとの戦いに人間など必要ない。機械のほうが優秀だ》p.76。
    【機械】結局のところ人間もどんな生物もメカではあるわけで、その境界は判別しにくいしできないのかもしれません。
    【基地】六つある。シルヴァン。ブラウニイ。トロル。サイレーン。ヴァルキア。フェアリイ。全軍の総合参謀本部はフェアリイ基地にあり規模も最も大きい。
    【儀礼兵】戦死者の顔をしたアンドロイドで編成された儀式用の人形たち。
    【凍った眼】空間受動レーダー。ジャムの戦闘機がさまざまな手段で透明化するのに対応した。
    【権藤大尉】天田守少尉の上官。
    【クーリィ准将】特殊戦の副司令。鬼のような婆さんだとか。
    【ジェイムズ・ブッカー少佐】→ブッカー少佐
    【シェーナー大将】戦術空軍のトップで総司令官。
    【ジャム★】異星体。三十年前「通路」を通り先制攻撃を仕掛けてきた。どういう存在なのかとか侵攻の目的とか何もわかっていない。本気を出してはいないようにも思われる。なんとなく、地球側をフェアリイに誘い込み地球の兵器=戦闘用コンピュータを進化させようとしているようにも見える。あるいは人類の非人間化が目的のようにも見える。あるいは人間など見ていないように見える。《ジャムは人間の本質を消し飛ばしてしまうと。》p.303
    【シルフィード】FAFの戦闘機。双発。高価で数が少ないが現在量産型を開発中。イメージ的には実在の戦闘機F-15 イーグルに近いのかと。エンジンはフェニックス。
    【スーパーシルフ★】シルフィードのうち十三機は戦術偵察用に改造・運用されており「スーパーシルフ」と呼ばれることもある。電子頭脳を強化された空飛ぶコンピュータというべきものであってフェアリイ基地地下深くに設置されている戦略コンピュータや戦術コンピュータとダイレクトに繋がっておりスーパーコンピュータの端末とも言えそうだ。すべて特殊戦第五飛行戦隊に配属されている。他の部隊に一~二機ついてゆき戦闘情報を収集する。その任務はたとえ味方機が全滅したとしても戦闘には直接参加せず情報を収集し必ず帰投すること。そのための強力な火器を持つ。パイロットには鉄の意志が必要。後部座席に電子戦オペレータが搭乗する。エンジンは最終的にはフェニックス・マークⅪ。
    【戦い】《戦いに理屈はいらない、零は思った。他人にはなぜそれがわからないのだろう。》p.119
    【TAB-14】壊滅したはずの基地。
    【チュー少尉】ムンク大尉の相棒。
    【通路】異星体ジャムの地球侵略用通路。半径五百メートル。紡錘形をしており最大直径三キロ、高さ十キロ。南極点から千キロ、西経およそ百七十度、ロス氷棚の一点にある。三十年前のジャムの先制攻撃によって人類は初めてその存在を知った。
    【トマホーク・ジョン】航空電子工学(アビオニクス)の天才。バンシーの異変を零とともに調査することになった。零は会った瞬間彼を戦士として認め握手をした。インディアン。心臓はプルトニウム238の熱で動いているので日本には入国できなかった。《そう、祖父は口ぐせのように言ってた、みんなで一緒に食べよう、一人だけ腹をいっぱいにするやつは仲間じゃないってね。》p.182。《零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。氷のハートはいつか融ける》p.192。《ぼくは・・・・・・人間だよな》p.196
    【ナイト】カール・グノー大佐のチームが開発した小型無人の格闘戦闘機。遠隔操縦する。格闘戦=旋回性能はシルフィードを上回る。「マクロス」の「ゴースト」に近いイメージかと。
    【南雲】アドミラル56の館長。
    【人間】《人間に仕掛けられた戦争だからな。すべてを機械に代理させるわけにはいかんだろう》p.97
    【バーガディシュ少尉】零のフライトオフィサ。後部座席に乗る相棒。頼りになるが地上では素っ気なく生きている死体のようだと零は思うが自分も同じだということも意識はしている。
    【パイロット】スーパーシルフのパイロットは「なにかの手違いで人間になってしまった機械」という人格の者が選ばれている。当然他の部隊のパイロットからは嫌われており「死神」と呼ばれたりもする。
    【バンシー】空中飛行基地。シルフィードの部隊を搭載し原子力でとぶ。
    【ヒカラチア】プーメラン戦隊の女性オペレータ。
    【ファーン】単座の格闘戦闘機。
    【ファーンⅡ】ファーンを高性能にし無人化を念頭に開発中。
    【プーメラン戦隊★】「SAF」。スーパーシルフ全機が配備される特殊戦第五飛行戦隊のこと。通称「ブーメラン戦隊」。形の上では一部隊だが独立した司令部を持ち軍団レベルの運用がなされる。三番機が雪風、六番機はミンクス。
    【フェアリイ★】「通路」が繋がっていた先の惑星。ジャムの母星かどうかは不明。全天のどこにあるのかなどいっさい不明だが現在の主戦場。ジャムによって戦場として選ばれ地球側がここに呼び込まれたような雰囲気もある。太陽は連星。原生恐竜とかいるらしい。もしかしたらジャムはこういった「戦場」をいくつも持っているのかもしれない。
    【フェアリイ基地】惑星フェアリイにある地球の基地のうち最大で中心。地下大洞窟の底にビルが林立する都市。
    【深井零】→零
    【ブッカー少佐★】ジェイムズ・ブッカー。零の唯一の友人。顔に切り傷があり凄味がある。零よりも日本通で雪風の機体に書かれた「雪風」という文字は少佐の手になる。元はパイロット。プーメラン作りの趣味がある。《ジェイムズ・ブッカー少佐は、一言でいうならば、恐れを知っている男だった。》p.57
    【ブラッディ・ロード】フェアリイの太陽は連星で一方からもう一方に向けて吹き出すガスが赤く、ブラッディ・ロードど呼ばれている。
    【フリップナイト・システム】→ナイト
    【マース勲章】最高位の勲章。
    【マーニー】TAB-14の看護師。
    【ムンク大尉】シルフィードのパイロット。
    【ヤザワ少佐】TAB-14所属。
    【雪風★】零の愛機のパーソナルネーム。スーパーシルフ。部隊の三番機。最後の方では地球の空も飛べるエンジン、フェニックスマークⅪを搭載。次第に人間を必要としない兵器に近づいていく。《片想いだ。雪風はもはや独立した意識体になりつつある。いつかふられるぞ》p.272。《おれが言いたいのは、零、いつの日か、雪風がおまえの、人間の、敵になるかもしれないということだ》p.273
    【ランダー】アンディ・ランダー。アメリカのフリーコラムニスト、軍事評論家、ロビイスト、兼作家。偏向的な文章を書く。「宇宙大作戦」のカーク船長っぽいかも。
    【理性】野生動物はきわめて理性的な存在だと思います。生と死の狭間では理性的でないと生存を続けられない。ブーメラン戦隊のパイロットたちもまた理性的。で、理性的なことは一般人類にとっては非人間的なのでしょう。だから疎ましがられる。これもまた動物=人間そのものではあるのですが。まあ、ブーメラン戦隊の連中はそれすら理性的にスルーするようですが。
    【リン・ジャクスン】対ジャム戦史を著した。『ジ・インベーダー』というのがそれかもしれない。かなり皮肉な見方をしているようだ。《異星体ジャムも結局のところ、一隣国の仲間にすぎなかったのだといえる。》p.138
    【零★】深井零。ブーメラン戦隊所属で三番機雪風のパイロット。少尉→中尉。《地球は苦い思い出を溜めた大きな水球でしかない》p.36。《おれは性能の悪いやつは嫌いだ。人間も機械もだ。》p.38。《雪風を狙うものはすべて敵だ。おれは雪風以外は信じない。》p.171。ジェイムズ・ブッカー少佐が戦争と人間性についてや、戦争が人間のものであるかどうかを考えるが、零は自分が人間的であるのか非人間的であるのかよりも雪風にとって自分が必要なパーツ(できれば対等なパートナー)であるかどうかを重視しているように見える。
    【ローラン大佐】フェアリイ基地広報部。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.07

  • 那由子

    那由子

    再読。年齢が近づくと零の社会不適合者っぷりがよく分かる。同時に零の生きづらさ、雪風への執着についても、以前より理解できるような気がした。無機質な戦闘シーンが好き。

    投稿日:2023.01.31

  • おおきに!(smoneyb)

    おおきに!(smoneyb)

    うーむ、なかなかに面白い。

    異星人と戦うAIを搭載した戦闘機雪風。
    操るのは空軍エリートパイロットの深井少尉。

    戦いに生き残り続け、学習を進めていったAIは、やがて人間の操縦者を必要としなくなる。
    戦闘妖精・雪風 爆誕。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.21

  • sukato

    sukato

    愛蔵版購入したので処分。
    なお、文庫版の以下の作者のコメントや解説は愛蔵版には収録されていない。
    雪風(改)によせて 神林長平
    人間的/非人間的 石堂藍
    ジャムはそこにいる 冬樹蛉

    神林長平が上述のコメントでいう「付け加えられる新たな物語に対応できるようにするための、ごく小さな修正」ってどこなんでしょう?続きを読む

    投稿日:2022.07.25

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