【感想】陸奥爆沈

吉村昭 / 新潮社
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
10
9
6
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0
  • 爆沈の謎に迫る傑作

     今もはっきりしない爆沈の謎。これが事実に近いのだろうと思う。当時、意外に多かった乗組員の自殺による自爆、爆沈の存在に驚く。吉村昭の取材力が光る作品。

    投稿日:2015.04.11

ブクログレビュー

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  • 臥煙

    臥煙

    昭和18年6月、瀬戸内海の桂島泊地で謎の爆発で沈没した戦艦陸奥。なぜ事故が起きたかを丹念に検証する作品。

    最先端の技術を用い、国と国の争いで抑止力として重要な存在。浮かべる海城の戦艦。しかしながらそれを動かすのは人。帝国海軍の過去の歴史から同種の事故が頻発していることを筆者は知る。

    技術の極致、攻撃力の象徴の戦艦を支えたのは生身の人間。明治維新から敗戦まで、大日本帝国を支えた下級兵士たち。人々の意図を超えて暴走する機械。

    吉村昭ならではのカタストロフィ物を堪能できる作品でした。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.05

  • korisu3964

    korisu3964

    昭和18年、岩国市柱島泊地で発生した戦艦「陸奥」の謎の大爆発。記録文学の第一人者が、昭和44年に残存する資料やインタビューを通じて、謎解明に挑む。地道な調査を通して見つけ出した事実とは?意表をつく展開で一気読み。これぞドキュメンタリーという傑作続きを読む

    投稿日:2023.12.31

  • Ghost Rider

    Ghost Rider

    興味があるジャンルなので。

    帝国海軍が誇る戦艦、長門級二番艦「陸奥」。
    呉沖で大爆発を起こし、爆沈した。

    この事実は最高機密となる。
    また、爆沈の原因は何か?

    など、作者は最初全く書くつもりはなかった。
    誘われて訪れた柱島で慰霊碑を見て、何かを感じ、困難な調査を行って本書にまとめた。
    続きを読む

    投稿日:2023.02.13

  • ようすこう

    ようすこう

    吉村氏にしては珍しく、筆者目線で過去の出来事に迫り、調査の経緯が描かれている。

    日本軍の下の階級の者の中には、前科がある者もいたことを初めて知った。
    規律正しく思える軍隊にも、実は色々いて、人間臭い世界があったらしい。続きを読む

    投稿日:2022.09.04

  • Y.K

    Y.K

    太平洋戦争開戦時、日本は12隻の戦艦を保有し、その大半は戦場で沈没しました。最大級の「大和級」に次ぐ「長門級」の2番艦「陸奥」は戦場以外で失われた数少ない戦艦で、「陸奥」は広島県柱島泊地(基地のこと)における爆発事故によって沈没しました。
    本書はその爆発事故の原因究明にあたった当時の海軍関係者への取材をもとに、「陸奥」以前にも同じような爆発事故で沈没した艦船のケースにも言及しています。
    日本海軍にとって、戦時中に国内基地で主力艦を失うというのは大変ショックな事件でした。発生当時、米軍(潜水艦や航空機)による攻撃、設計上のミス(漏電による火薬引火など)、人為的な問題(規律違反によるミスや、放火)などあらゆる可能性を検証しています。証拠を集めるために沈没した艦内へ過酷な条件下で潜水夫を何度も派遣したり、積載されていた火薬や砲弾の引火、爆発の実験も行われた様子が描かれています。そのような徹底的な調査の結果、最も可能性が高いとされたのが乗員による放火でした。
    規律のとれた組織である海軍の、しかも軍艦の艦内で放火などが可能なのかと著者も当初は疑問を抱きますが、「陸奥」以前にも6回もの類似の事故があり、そのほぼ全てが放火、あるいは失火であることが判明します。
    軍法会議の記録などを詳細にたどると、昇進が見送られて腹いせにやったケースや、日常の厳しい訓練で上官への恨みが募った挙句に行動に移したケース、艦内での金品の盗みが発覚するのを恐れ証拠隠滅を図ったケースなど、非常に人間臭い動機であることが明らかになっています。
    いかに強固な艦船を建造しても、それを運用するのは”人”ですから、職場(この場合は艦船)の人間関係や、メンタルヘルスを維持することの重要性を再認識させられるノンフィクションでした。
    続きを読む

    投稿日:2021.11.17

  • flounder532002

    flounder532002

    ドキュメントタッチの作品で、著者自身が取材を進めていく様が描かれている。旺盛な取材力で、この時期に後世に残してくれたのはありがたい。戦艦が、多種多様な人間を詰め込んだ容器と形容したのは慧眼。2021.3.6続きを読む

    投稿日:2021.03.06

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