【感想】忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2)

山田風太郎 / 講談社文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
1
8
7
0
0
  • 甲賀忍法帖とはまた違った味わい

    多少のエログロはありますが、赤穂浪士の忠臣蔵をなぞるように展開するこの作品はなかなか読ませます。無明、可哀そうですね。残酷でもありますが、忠も女もそんなものでしょう。そもそもそこに利益を見いだせないような思想を後生大事がる人間はいません。
    その場その場で変わる忠義と女心に翻弄される忍術の達人と血盟に結ばれていたはずの赤穂浪士。
    戦前に氾濫した報国、愛国の思想を浴びるように流されていた作者が忠の言葉を否定するのを見ると、世の中には確固とした正しいことというべきものは勝者が決めるものなのだなあとつくづく感じます。
    民意とお上に翻弄される吉良側にいる上杉家の悲哀を見るに、弱い立場というものは相対的で、そして圧倒的な権力の前では空しいものだという感慨を抱かずにはいられません。
    星5つ。
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    投稿日:2015.08.26

ブクログレビュー

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  • ダルメシ・アン

    ダルメシ・アン

    山田風太郎の忍法帖シリーズの2つ目。
    甲賀忍法帖はバジリスクのアニメがあったので忍術やキャラクターがイメージしやすかったが、今回は自分の想像力が全くついていけなかった(笑)

    女忍者の使う技が常人のアイデアを超越しすぎていてもはや訳がわからない。
    これが山田風太郎の作品なのか…と大いに納得した。
    こんな作品が60年代に描かれていたとは。
    当時の読者はどんなものを想像して読んだのだろうか。
    男と交わると中身が入れ替わったり、男と交わると血管がくっついたりと、奇想天外な術のオンパレード。

    歴史小説は読み慣れていなくて、中々読み進めるのが大変だったが、後半は人物名の漢字も読めるようになってきていた。
    歴史小説は今後どんどん読んでいきたい。そうすればスラスラと読めるようになるのだろうか。
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    投稿日:2023.10.15

  • あしげ

    あしげ

    忠臣蔵って苦手です。
    歴史ものは大好きなのですが、なぜか赤穂浪士だけは読まない、見ない、知らない、なのです。

    しかし、山田風太郎の手にかかれば・・・
    期待を裏切らないおもしろさ、相変わらず「んな、あほなぁ」と忍術に突っ込みを入れながら、あっと言う間に読んでしまいます。おもしろい!続きを読む

    投稿日:2023.04.24

  • tamasan7

    tamasan7

    このレビューはネタバレを含みます

    忠臣蔵の話は元々興味があったので、物語としても楽しめた。しかし、ストレートに忠臣蔵を描いているのではなく、主人公は、赤穂浪士の敵にあたる吉良側だ。主人公の綱太郎は、忠と女を憎む風太郎作品にしては変わった主人公だ。そんな彼は、忠を体現するかのような赤穂浪士たちを、敵陣営でありながら、将来の上杉家の安泰のため、守ることになる。複雑なストーリーだが、大石内蔵助サイドと上杉サイド両方の目線が楽しめる。

    忠というのは善なのかそうでないのか。
    忠のために捨てられ身を汚した女たちは、それでも敵討を望んだし、一方で忠のために生きようとした織江を綱太郎は許せなかった。
    赤穂浪士たちの敵討ちは、彼らにとっては本望であるだろうが、それが必ずしも美談であるとは言えないのかもしれない。

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    投稿日:2022.12.04

  • 瑠璃色

    瑠璃色

    このレビューはネタバレを含みます

    忍法の発想がぶっとんでいる。特に歓喜天はすさまじい。私は忠臣蔵をよく知らないが、面白くよめた。

    千坂兵部が女忍者をもって仇討ち防止と能登忍者が赤穂浪士を殺害するのを食い止めるのは、はじめから成功を信じていなかったのではないかと思われる。この役割だと女忍者が相手の忍者より相当強くないとできない。それなのに人数も少ない。結局綱太郎が一人で相手の忍者を倒している。
    死んでいった大勢の忍者はひとえに綱憲の復讐心の元に死んでいった。これは忠義の元に死んでいったわけである。綱太郎が忠義も女も嫌いと語って終わる。虚しい終わり方だった。

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    投稿日:2017.08.13

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    ネタバレ 「週刊漫画サンデー」連載。忠臣蔵が物語の基軸になるエロティック伝奇時代小説。作品の構図は、エロティック忍術を使うくの一軍団が、赤穂浪人を狙う上杉綱憲配下の忍者軍団と戦う一方、浪士らをその忍術で性的に籠絡するというもの。高田軍兵衛ら脱盟者を物語の核とする点は、面白い目の付け所。が、物語の対立構図が米沢藩の内部抗争劇で、忠臣蔵としては判りにくい。ただ、忠臣蔵でありながら、忠義と女が嫌いという主人公(理由も納得できるもの)を配し、浪士への冷ややかな目線と忠義への皮肉を伏流させたのは戦中派の著者らしい。
    上野介は登場せず、松の廊下刃傷事件も情報伝達されるだけ。という意味で忠臣蔵を斜めから見た作品であり、普通の忠臣蔵では飽き足らない人向けかも知れない。1998年刊行(初出1961年)。

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    投稿日:2017.01.23

  • akizm1215

    akizm1215

    このレビューはネタバレを含みます

    前作(甲賀忍法帖)に比べると、スピード感が若干弱いか?
    忠臣蔵をベースに、能登忍者と能登くのいちの対決を描くが、主人公の無明綱太郎が別格過ぎて、なんというかもったいない。
    そして、切ない。

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    投稿日:2016.10.16

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