【感想】対岸の彼女

角田光代 / 文春文庫
(985件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
205
361
292
46
4
  • 女の友情って何だろう。

    2016年10月9日読了。感想に困る作品です。考えさせられるというか。女の友情って何だろうと思う。魚子と葵の友情は熱くて羨ましい部分もあったんだけど、魚子は何故手紙を送らなかったんだろう。私なら絶対に送るのに。それが悔やまれてならない。葵がいつまでも時間が止まってしまったような生活を送っているのは魚子のせいなんじゃないかって魚子を責めたりしました。あと小夜子の最後の決断。あれも納得いかない。なんで小夜子はそこまでして葵に心酔するのか。こんな納得いかないことがあっても、面白かったと思えるのは、角田さんの女の心情を緻密に描くのがうまいからなんだろうなぁ。女の友情ってあるようでないものなんだろうか。私はそうじゃないと思いたい。今回の感想はうまく言葉が見つかりません。続きを読む

    投稿日:2016.10.09

  • 星十個つけたい、角田光代の最高傑作

    「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」
    葵のこの言葉に、打ちのめされるような感動をおぼえた。
    「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達」なんて、一緒にお弁当食べたり、一緒にトイレ行ったりじゃ必要でも、自分が「ひとり」で戦わなければならない時には何の助けにもならないという、残酷な真実。そして、そのことを自覚した者同士でなければ、本物の友情なんてありえない。
    いわゆる「女の友情」ではない、女同士のとことん熱い友情の物語。
    続きを読む

    投稿日:2014.08.07

  • 角田さんらしい普通の女性の心理の奥深くを炙り出すような物語

    家族の中の父親を描かせたら
    重松さんの右に出る人は居ないのではと思うことがありますが
    普通の女性が抱える心の隙間を描かせたら
    角田さんが一番ではないかと思います

    女性の友情と孤独をテーマに描かれたこの作品も
    女性だからこその心理を深く炙り出した角田さんらしい話だと思います
    続きを読む

    投稿日:2014.08.16

  • 切ないねぇ

    男とは違う微妙な距離感と女の友情の物語。
    数が増えるにしたがって派閥が出来そして分裂していく。
    男には分からん。「貴方だけなのよ!」

    投稿日:2014.10.22

  • 切ない

    ラストの小夜子が女子高生時代の魚子から葵への手紙を読んでしまう部分はどうやっても戻れない切ない他人の過去の情景を鮮明に小夜子の中に思い浮かばせる部分で秀逸です。思わず自分も見たことのない葵と魚子と対岸にいる小夜子の情景を鮮明に思い浮かべました。
    角田さんはこの辺りの書き方がやっぱり上手だと思います。
    続きを読む

    投稿日:2014.08.18

  • 意味があるって何だろう?

    「それで前みたいに意味のある仕事を見つけたらどうかってさ」夫が小夜子に言う。

    ・・・ちょっと待て。この話は今、あんたが「意味のない仕事」と言いたげな仕事、そしてそこで出会う人々の話なのだ。
    中盤まで読んできたところで夫からこんなことを言われては、読者としても引っかかる。そして考える。
    「意味のある仕事」って何なんだろう?いや、そもそも何かに対して意味があるというのは、どういうことを指すのだろう・・・?

    終盤、小夜子が見つけた「意味のないもの」に泣かされる。
    客観的に見たらほんっっっとうに意味のないもの。
    でも、ここまで読んできた私には既に意味のあるものになっている。
    人生って、そんなことの繰り返し。
    ああ、この本を読んだ意味はあった、そう思う。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.15

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ブクログレビュー

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  • ラムネ

    ラムネ

    自分の心情ばかり慮って感情的に決断を下すわりに、まともとは言えない旦那に強く出られない主人公にモヤモヤした。
    なんでもできる気にさせてくれる人は、境遇の違いで相互理解が難しい部分があっても、貴重な存在と思う。けれど現実はね。そんな葛藤がとてもリアルだった。続きを読む

    投稿日:2024.05.11

  • みりあん

    みりあん

    女としてこれまで生きてきたなかで、やっぱり共感というかちくりと胸を刺されるような痛みを感じるものがあった。多分、多くの読者が自分と小夜子、もしくは葵と姿を重ねたんじゃないかなと思う。何が正しい生き方なのかなんて、永遠に分からない気がするけれど、前に進むことはいつだってできる。角田光代さんの作品はどれも、自分の人生と重ね合わせて色々考えさせてくれるから、また数年後もう一度読んでみたいと思った。続きを読む

    投稿日:2024.05.11

  • cc

    cc

    友人や仲間という関係を長くつづけることって難しい
    あんなにたくさん遊んで近況すべてを話してたのに、結婚して、子供ができて、引越して‥
    会わなくても平気なもんだと気づくことが会えないことよりかなしいものだと、読みながらそんなことを思い出してた

    小夜子はあまり近づきたくないタイプの女性だけど、自分に幼いこどもがいて、あんな旦那と義母がいたら、小夜子とかわらない感情や言動をとってそうな自分が想像できてしまった(怖い)

    近しくなると、見えているとこだけで相手をわかったような気持ちになったりすることってある
    でも自分以外の人の思いや歴史などわかるはずなんてないのだから、こんなふうにちょっとしたすれ違いや自分の憶測で大切な人を失わないようにしたい
    続きを読む

    投稿日:2024.05.05

  • ウッディー

    ウッディー

    自分の高校時代や、自分の子が保育園の頃を重ねながら読み進めた。
    自分自身、普段仕事や近所の人との付き合いはそれなりにあるが、基本的には「誰かとからむことで傷つきたくない、1人がラク」と思っている。だが、「自分の救いになってくれるのは自分ではない誰か」とも思う。
    勇気を出して踏み出そうと感じた。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.05

  • かりんどうや

    かりんどうや

    このレビューはネタバレを含みます

    専業主婦の小夜子が小さな会社で掃除業を始めるお話。社長の葵との出逢いでなんでもできるような気になっていくけど、、

    隣の芝は青く見えるから、妬んで羨んであれこれ悪口を言いたくなる女のサガ。そんなわたしの心の中にもある他人への穿った目線が描かれてると思った。
    河原で高校生の葵が「いいなあ、ナナコは。きっとナナコってさあ、すっごいしあわせに生きてきた人でしょ。」って言っているシーンが印象的。人は見かけじゃ分からないし、どんな思いでどんな苦労をしているかも分からない。それに対するナナコが否定もせず、葵がいじめられたら守ってあげると言い「そんなとこにあたしの大切なものはないし」と話すの、ナナコの境遇を思うと胸が苦しくなる。高校生の多感な時期をこんな風に考えることができたらもっと生きやすかったのかな。今も。

    最後に小夜子が葵の元を訪れ後味の悪さを話すところ、こんな風に嫌な別れ方を清算して人と向き合っていける人でありたいと思った。

    どこへでもいけるきがするけど、どこにもいけない。どこへいこうとしてたんだろう?子どものころはもちろん、大人になった今もこんな自問自答を繰り返してる自分がいてナナコにも葵にも小夜子にも重なって共感した。

    平たい感想になるが、すっごく良かった。また読み返したい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.30

  • とりぷちん

    とりぷちん

    青年期と大人の葵に対する印象が違い過ぎて、最初は、??だったけど、小夜子と話す時はナナコを演じていたのか〜!そうか〜!ってなった。

    印象的なセリフが多かった。
    『ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会う』
    友達と群れてると1人が異常に怖くなるよね〜とくに学生なんて、、
    『こんなところにあたしの大切なものはない』
    そう言い切るナナコ。自分の大切なものってなんだろう、ナナコは何を大切にしててそれはどこにあるんだろう、って考えてしまった。学校にもなくて家にもないものって何??

    ナナコが帰りたくないって泣くシーンとか、初めてお金を脅し取ったシーン。情景についてよく書かれていて、思い浮かべやすかった。自分も切ない気持ちになったり自己嫌悪で胸が苦しくなった。葵がお金を騙し取られるシーンも。嫌なことがあった時頭の中でぐるぐる考え込んでしまう感じが文書に現れててすごい。

    察しが悪すぎて、プラチナの指輪と社名がかかってるのに気づかなかった^_^ワラワラ

    結局、なんでナナコ達は連絡を取らなくなったんだろう。友達、まだ出来ないの?って聞かれることが怖かったから?お互いに。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.29

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