サンフレッチェ広島を愛するサッカー好きさんのレビュー
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FOOTBALL FICTIONS 偉大なるマントーバ
西部謙司 / 東邦出版
秀逸ゆえの哀しさ
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サッカーの戦術などの著書で興味深い執筆の多い筆者によるフィクション。その内容はどれも秀逸でありながらそれが逆にこの作品を疎遠にさせてるようにも思える。サッカーに興味のない人には無関心とされサッカーを嗜…好する者には所詮フィクションというレッテルを貼られる。その為、この作品に入る為には高いハードルがあるのではなかろうか。
しかし、それでも読後は幸福感に満たされた。作り話と言ってしまえばそれまでだがなぜそうなってしまうのだろう。それはここにはサッカーを愛する者の願望があるからだ。心温まる話、愛情溢れる話がサッカーにリンクされてるとこに一つのボールを蹴り合うサッカーという競技の可能性を改めて感じた。それ故にサッカーに興味を示さない人にとってやはり手に取ってもらえないという一抹の寂しさもあった。
どれも良いストーリーであるが故に、ある意味サッカーライターの限界をこの作品によって認識させられた気がするのだった。 続きを読む投稿日:2014.05.09
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歴史好きは必ず読む 宮本武蔵 完全版
吉川英治 / ゴマブックス
そこにいるようでいない武蔵
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長い長い歴史小説。その前提に立っただけでぼくなどは敬遠をしてしまう。一人の人物の話なのに何でここまで長くするんだ。そんな嫌悪感により自ら手に取ることはなかった。
だが転機となったのはあるプロゴルファー…の推薦からだった。歴史とは無縁のようなアスリートにより剣豪として恐れられる宮本武蔵が身に寄せる危機に対して猛然と立ち向かうのではなくて災難が過ぎ去るまでじっと隠れる様が人間的だと。そしてこの伝説的人物が人間的な行動を取る場面が随所に登場するのだった。
煩悩を制御しあくまでも剣の道を究めようとする武蔵はストイックであった。それ故にそこまで突き詰めようとした剣の道も太平の世に移り変わろうとしてる時代において時代錯誤にもなりつつあった。できることならばもっと早く生まれていたならもっとその名を轟かせたことであろう。だけど武蔵の名前が残っているのはその存在自体が伝説となってるからだろう。
その伝説はこの小説は間違いなく加担することになった。それは武蔵の強さの羅列ではなくその内面から繰り出される心理に心酔するからだろう。今でも謎の部分の多い宮本武蔵、読後は武蔵への親近感を抱くと同時に常に姿を眩ませるような神秘性を感じるだろう。 続きを読む投稿日:2014.02.13
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沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-
山崎豊子 / 新潮社
出世する人間、出世しない人間
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清く、正しく生きていれば報われる。
そんなことを愚直に信じていたとしたら、
もしくはそれを意識せずともそのように行動する者がいたとしたら。
それは理想でありながらも忘れてはいけない言葉がある。
正直者…がバカを見る。
大手航空会社で繰り広げられるこの小説にはそんな皮肉めいた現実がうごめく。
結局人間は損得でしか動かないものなのか。
そんな世の中の矛盾との戦いがここにはある。 続きを読む投稿日:2013.11.13
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フットボールネーション(1)
大武ユキ / ビッグスペリオール
静かにぐいぐい引き込まれる良作
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体幹力を鍛える。
2013年現在になってその重要性は普及してきて体幹トレーニングの教則本も巷に溢れるようになった。この漫画はその前に描かれてものとして先見の明があったと言える。
小学生などなかなか理論…で説明しにくい体幹の重要性を教えてくれる内容となってる。ここではインナーマッスルと表現されるがマネをして鍛えたいと思ってしまった。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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股旅フットボール
宇都宮徹壱 / 東邦出版
Jクラブの誕生秘話
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すでにこの本で紹介されてるクラブの中にはJリーグ入りを果たしたクラブもあり情報としては古くなってしまってる。だが、そこに至る過程という意味では読むに値するだろう。
日本のトップリーグとして君臨するJリ…ーグであるがそれ自体近年思わしい発展を見せてないとこであえてそれに挑もうと町クラブ。そんな人々の情熱とそれだけではどうにもならない現実。夢と現実の交差の中でなぜに彼らはそこまでクラブの為につくすのか。
興味深く読んだものの作者はこの続編とも言える記事を書くことはあれどこの本の続編としてまとめてくれないのが残念である。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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世界一おもしろい 日本史の授業
伊藤賀一 / 中経出版
結構まどろっこしい
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ぼくのように学生時代勉強しなかった人間にとって「おもしろい」というのは殺し文句である。それだけで何となく楽しく読み終わった後には歴史の知識もついてるんだろうななどと飛び付いてしまう。
だが読んでみると…どこかまどろっこしい。そしてわかりにくい。というのも雑談を散りばめていて要点を掴みづらいのだ。確かに章の終わりには必ず要点を羅列してるもののどこか入りにくいという印象は拭えなかった。どうも作者の余談めいたものは興味を失わせない為の細工であるつもりなのだろうが失敗と言っていいだろう。
ただこの辺は感性の問題だろう。これで興味を持つ人は持つかもしれないしぼくのように合わない人は合わないといったことになるのだろう。
続きを読む投稿日:2013.10.01