桃太楼さんのレビュー
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18
このユーザーのレビュー
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超クソゲー1+2
阿部広樹, 箭本進一, 多根清史 / 太田出版
「クソゲー」と言う「ジャンル」
7
過去に発売された超クソゲー及び超クソゲー2の抜粋本の電子化。
元々の超クソゲーで見られていたマニアックな視点はちょっとお休みで、「クソゲーと言うジャンル」を読み解くことのできる初心者向け構成になってい…ます。
電子化に際し、写真が縮小化されているため若干の読みにくさを感じますが、内容に関しては基本を押さえているといえるでしょう。
残念ながら初出の超クソゲーのパワーはありませんが、歴史的ソフトを抑えておくにはいい教本。ちょっとレビュアーの視点が偏ってる点は否めないので、1点マイナス。 続きを読む投稿日:2013.11.18
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超ファミコン
多根清史, 阿部広樹, 箭本進一 / 太田出版
あの伝説は「作られた伝説」だった?!
3
冒頭の渡辺浩弐氏へのインタビューだけでも価格の価値はあるのではないかと。
あの伝説のスターソルジャー対決が、実は冒頭の修行シーンだけでなく対決すら「作られたもの」だったという事実に驚愕します。
しかし…ながら、ファミコンとそれを取り巻く「市場」がまだ未成長のなか、ゲーム市場、ゲーム雑誌市場、テレビ市場と大人の事情渦巻く無整理状態の中、イベントとして、伝説として成立させなければならなかった渡辺氏の苦労を知ることができる貴重な1冊です。
それ以外のゲーム紹介については、超くそげーシリーズを読んでいる人にとってはちょっと毒が少ない物足りなさを感じるかもしれません。 続きを読む投稿日:2014.02.06
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去年はいい年になるだろう
山本弘 / PHP研究所
現実に限りなく近くちょっとだけ違う世界
2
SFの1つの手法ではあるものの、山本弘と言う作家を良く知っている人はちょっと違和感を感じるかもしれません。
山本弘たる人が、そこに思い当たらないのはおかしいと思えるところが何箇所かあるんです。
特に、…過去の作品である「まだ見ぬ冬の悲しみも」を読んでいる人だと、その違和感が読み進む上での引っかかりになってしまうと思います。
個人的には、「山本弘」を取り巻く物語にする必要があったのだろうか、と言う点が一番の疑問。
それを除くとSF作品としても出来がよく、タイトルに書いたとおり「現実に限りなく近くちょっとだけ違う世界」を堪能することが出来ます。多重世界論を含む歴史改変ものとしてはちょっと異質ですが、山本弘らしい解釈がここに登場します。こういう考え方もあると言う感じで読んでいくと、新たなSF像が見て取れるかと。 続きを読む投稿日:2013.11.11
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暗殺教室 21
松井優征 / 週刊少年ジャンプ
みんな笑顔で「はい、さようなら」
1
あくまでこの物語の主役は殺せんせーではなく、生徒たちだったんだと再認識した最終巻。
あくまでせんせーは生徒たちの成長のためにつくし、生徒たちは「せんせー」だけではない先生たちの想いを受け取り成長した。…
誰にでも訪れる中学生時代を、誰にも訪れないシチュエーションで誰もが共感できる形で描き切った作者には脱帽です。
大人になってしまった今、殺せんせーが理想の教師像だとは思いません。しかし、こんな先生いたらよかったのにな、とは思わせてくれる。それがこの作品の魅力だったのだと思います。
それでも苦言を呈するならば、殺せんせーが生きる結末も見たかった。
ただ、きっとその未来は違った形で渚が見せてくれることでしょう。それに期待。 続きを読む投稿日:2016.07.07
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シュレディンガーのチョコパフェ
山本弘 / アドレナライズ
続きが読みたくなる一冊
1
よく言えば引き込まれる。悪く・・・言わなくてもいいんだけど、言うなら物足りない。
短編集なので、そういう部分が少なからずあるのはしょうがないと思うけども、SFとして成立できているだけに世界観をもっと読…みたい話が多い。
特に「奥歯のスイッチを入れろ」や「メデューサの呪文」はこの続きを読みたくなる作品。
表題作の「シュレディンガーのチョコパフェ」は、とてもSFらしい作品。SFを構成するためには新しいギミック(仕掛け)を考えるという基本に則った、読んでいて頭が混乱してくる(褒め言葉)話。登場人物のセリフや名前に注意して3回読むことをお勧めします。
あと、ところどころに作者の不満が隠れた悪口で書かれているので、それを見つけてニヤリとできるかどうかがSFファンの境界かなぁとも思う。 続きを読む投稿日:2014.03.17
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天国にそっくりな星
神林長平 / ハヤカワ文庫JA
いろいろと「惜しい」作品
1
設定がうまく生かされていないというか、中途半端というか。
最後にこの星自身のネタバラシが行われますが、作中の?を解消するに至りません。途中のザークとの会話による戦いがあまりにも論戦に偏ったため、ザーク…の存在意義やヴァルボスにとってザークは本当に「悪」だったのかなど、新に解明されるべき謎はまだまだ残っている感じ。
正直、強く続編を望む話です。
物語は、探偵ものに端を発して、SFチックに進行しますが、決して予備知識がないと読めないようなハードなSFではなく、SF初心者でも話の流れについていけないというものではないでしょう。ただ、ザーク(教祖)との論戦ではちと頭が混乱してくるということはありそうな気はしますが。
余談でネタバレっぽい話を含みますが、実のところ戦闘妖精雪風のジャムってヴァルボス(もしくはその異端)なのでは・・・? 続きを読む投稿日:2014.03.03