蒔さんのレビュー
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真説 金田一耕助
横溝正史 / 角川文庫
挿絵ないのかぁ…
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紙の本で持っているけど、購入から30年以上たってボロボロになってきたので、「予備」のつもりで買い直し。
だけど電子書籍版は、挿絵が無いのね(落胆)。
横溝センセの朴訥と温かみのあるエッセイに、内容はも…ちろん雰囲気もピッタリな和田誠氏の挿絵の存在が、この本には欠かせないエッセンスだと思っていたので、これはかなり残念なトコロ。
それでも、アノ名作の誕生秘話やアノ映画の舞台裏などなど、興味深いエピソードがたくさんなので、文字だけでも充分楽しめる1冊だと思います。 続きを読む投稿日:2014.10.12
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浪速の女ハスラー 玉撞き屋の千代さん
南川泰三 / 集英社文庫
強い、そして明るい
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貧しい生い立ち、甘ったれでわがままな夫、問題を持ち込む妹弟、複雑な境遇から親に反発する子供たち……こうした色々を抱えながら、その全てを受け入れ、全てをユーモアで包んだ責任感と共に乗り越えてゆく千代さん…。とにかく強い。そして明るい。
皆が大変だった時代とはいえ、お金のトラブルとか夫への愛憎とか、出てくる問題はどれも重く生々しいものが多いのに、立ち止まるよりとにかく行動といった千代さんのバイタリティせいか、読んでいて暗い気持ちになる事は無くて(夫のわがままっぷりに時々イラッとさせられる程度)。
「昭和の下町オカン」の逞しさと懐の深さを、存分に教えてもらえる本。 続きを読む投稿日:2014.10.13
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首挽村の殺人
大村友貴美 / 角川文庫
21世紀の横溝正史…?
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明らかに、冠に負けてます。
作中で狂言回し的存在となっている人物がふたりいるものの、どちらも読者に共感される事を拒んでいるかのような、個性や人間味の乏しさで。
共感できる人物のいないまま読み進めるには…、ただドロドロと暗くて息の詰まるような死体ラッシュが続くだけ。
最後に明らかになる動機も、これだけの死者を出すものとしては弱い感じで……
古い因習の残る人里離れた集落で起こる連続殺人という、道具立ては確かに横溝的ではあるものの、「21世紀の横溝正史」の言葉に過剰な期待を抱いてしまうと、読後に「う~ん……」という気持ちになるかと。 続きを読む投稿日:2014.10.13
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ぞろりん がったん
大門剛明 / 実業之日本社文庫
構成が上手いなぁ
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大きなひとつの物語の中に、怪談をモチーフにした複数の短編が詰め込まれた、全体として見れば入れ子細工風の構成。
そしてそれぞれの短編は、人の心の闇を垣間見せながら、それでもやっぱり人間を信じていきたいと…思わせる、そんなほのかな温かみも感じられる物語で。
ところがどっこい。
読者がそんな気持ちになったところで、最終章にドカンと大きく、そして冷酷な爆弾が炸裂という……
全体として見ても、個々の短編だけを抜き取って見ても、構成の妙が光る作品かと。 続きを読む投稿日:2014.11.01