shiroさんのレビュー
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イザベラ・バードの日本紀行(上)
イザベラ・バード, 時岡敬子 / 講談社学術文庫
長い、が素晴らしい
6
明治維新直後の日本を実際に旅した英国の旅行家の手紙だが、現代日本人にはむしろバード女史の視線の方が近いと感じられる。つまり、仮に今の日本人が明治を旅すればこういう風に見えるのだろう。
決して良いこと…ばかり書かれている訳ではない、むしろ不衛生、プライバシーの欠如、取引の曖昧性、そして道路の酷さは何度も何度も記載される。
逆に、それだけになぜに日本の厚生労働省があれほどまでに予防注射にこだわり、不採算とそしられようが国土交通省が日本中の道路を整備していったかが見えてくる。一見不合理な守株も それ故にだったとすれば納得がいく。
一方で女性一人が山奥の辺境を旅しても、じろじろ見られる事はあっても決して危険はなかった、ピンハネはあっても大きな詐欺はなかったことなど、現在日本にも通じるところがこれまた何度も書かれている。
結局、日本人はどこまでいっても日本人なんだなぁと感じさせられる。
今の日本を振り返るに、この江戸から続いてきた明治の実態を読むのはよいことだと思われる。
なお、同じような事が何度も繰り返される上、徒歩故に進捗も悪く、とにかく長い。良質な編者によってダイジェスト編が作られるのを期待されてならない。 続きを読む投稿日:2013.09.25