みつやさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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フルメタル・パニック!放っておけない一匹狼?
賀東招二, 四季童子 / 富士見ファンタジア文庫
笑いたい時はこれ!
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本編はシリアスもコメディもあるロボットアクションものですが、こちらの短編集はよりコメディに特化してます。というかコメディしかないです(笑)
個人的には本編よりも軽い気持ちで読めるところもお気に入りのシ…リーズです。(もちろん本編も好きです!)
最新鋭のロボットを自在に操り、確実に任務を遂行する戦争のスペシャリスト。そんなヒーローが、平和な日本の学園ラブコメに放り込まれたら「過激な危険人物」キャラになってしまう――そのギャップがとても面白い。
過激に真面目にトラブルを引き起こしてしまう宗介と、そんな彼に振り回されるヒロイン・かなめの夫婦漫才も見どころです。 続きを読む投稿日:2014.11.05
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月と博士
坂田靖子 / LaLa
優しい星新一系短編集。
2
小説で言うと星新一のショートショート位の長さの短編をまとめた本です。
表題作の「月と博士」は、月の満ち欠けに魅せられた博士とその助手の話です。その他にもSF要素のある話が多いのも星新一と共通してます。…
作品の傾向としては、不条理系・ジョーク系もあれば、くすりと笑ったりしみじみと感じるお話もあります。全体としては、ユーモアと親愛にあふれた、優しい作品です。
それと、今でいうボーイズラブ要素も少しありますが、いやらしさはなくごく自然に描かれているので、腐女子でなくても普通に読めると思います。(人物設定上のみの要素で、「ああ、そういう関係or世界なんだなあ」と感じる程度)
絵は表紙の通り、ほのぼのと優しい絵柄で、作品によっては耽美風に描かれることもあります。作者の別作品の『バジル氏の優雅な生活』のような感じ。
何度も読み返したくなる、大好きな本です。 続きを読む投稿日:2015.04.08
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天正戴天録 政宗対信長 上
坂上天陽 / 歴史群像新書
竜vs魔王、しびれます。
1
天下をほぼ手中に収めた織田信長に、若き竜・伊達政宗が東北勢を率いて対抗します。
織田勢も伊達勢も好きな自分にとっては夢のようなカードです(笑)
渋い信長や政宗はもちろん格好良いですが、主人公以外の周り…の登場人物も魅力的。
前田慶次や、政宗の所に身を寄せている若僧(実はあの人物!)、政宗と父・輝宗の父子の絆もとても良いです。
織田信忠は出番が少ないですが、結構重要な役回りだったので嬉しい。
あと織田信雄。暗愚に描かれることの多い彼ですが、この本の彼の描かれ方はちょっと珍しいかもしれません。応援したくなる感じで、私は結構好きです。
この手の戦記物だと登場武将が多くなりがちなのですが、上下巻という事もあって何人かに的を絞って描いているので人物に集中して読めます。
終盤、信長と政宗が相対するシーンでは、この戦いについて意外な真実が明かされます。
序盤で戦死した織田信忠が、最期に何を思いながら死んでいったのか――最後まで読んだ後に考えると、胸が熱くなります。
上下巻なので、読み易い長さだと思います。
個人的には、名前しか出番のなかったあの人物やこの人物の動向についても気になるので、もう1冊くらい続いて欲しかったなぁ。 続きを読む投稿日:2014.11.09
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英雄教室
新木伸, 森沢晴行 / ダッシュエックス文庫DIGITAL
まだ読み途中ですが面白かったので・・・(ネタバレ有り)
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感想書きます。たぶん読み終わった後、すぐ次を読みたくなりそうなので。
あらすじは書籍説明にある通り、いわゆるチート系主人公ものです。
ただ一つ変わっている点は「普通の一般人」に憧れているということ。
…しかし元勇者の考える「普通」と、一般人の「普通」には天と地程の差があり、ブレイド君は学園の中で浮きまくり。
でもブレイド君は持ち前の明るさで「友達」を増やそうと奮闘します。
そんなブレイド君に影響され、周りの人々も少しずつ変わっていきます。
名門騎士の家に生まれ、呪われた魔剣のせいで誰とも交わらずにいた孤高の女帝・アーネスト。
特殊な生い立ちから、自分にも他人にも関心を持たず、無感情な人形のようだった孤独の少女・ソフィ。
彼女達もまた、ブレイドとは理由が違えど「普通」とは言えず、ゆえに学園では孤立した存在でしたが、ブレイドと関わったことで周りとの接点が出来たり、人間らしい感情を見せたりするようになっていきます。
いやもうね、食堂で大きなテーブル独占してぼっち飯してた女帝がね、ブレイドやソフィやブレイド繋がりで知り合った同級生達とわいわいランチするようになっててね・・・!女子にアンナなんて愛称で呼ばれたりしててほっこりしました。
「普通」じゃない彼らが、そういう「普通」の青春を少しずつ取り戻していければいいなあと思いました。
ちなみにブレイド君のビジュアルは、挿絵等もありますが、私の中ではツンツン頭で顔に傷があって常にニカッと笑っているような、今まで読んだラノベやゲームに出てくる勇者をまぜこぜにしたような感じデス(デザインされたイラストレーターさんには若干申し訳ないのですが;)
ああいう常に前向きで、悩んだり傷ついたりしても絶対に諦めない、どんな困難な状況でもこいつならきっと何とかしてくれる・・・そんな明るさがあるキャラだと思います。ブレイド君は。あるいはそれこそが勇者力というものかもしれませんね。
国王の狙いとか、今後出てくるであろう魔王の存在とか、勇者として生まれた運命にブレイドがどう向き合っていくのか・・・気になる要素がまだまだあるので、そろそろ読書に戻ります。 続きを読む投稿日:2016.02.12
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はやぶさ/HAYABUSA(角川つばさ文庫)
鷹見一幸, かしわ / 角川つばさ文庫
きっと、忘れられない
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探査機「はやぶさ」のエピソードと、少年の成長物語がバランス良く組み合わせられたお話です。
主人公は、鹿児島から本州の小学校に転校してきた隼人君。
言葉が鹿児島弁であることからクラスで孤立していた隼人は…、ロケットをきっかけにクラスのリーダー・ケンジと友達になる。
二人は『宇宙科学研究所』に見学に行って、そこで相談員の恵お姉さんから『小惑星探査機はやぶさ』について色々な事を教えてもらう。
宇宙やロケットについて憧れを強くしながら、友情を深めていく二人。
やがて学年が上がり、ケンジが夢を追って転校したことで隼人はクラスの悪ガキから嫌がらせを受けるように。
しかし隼人は、宇宙で様々なトラブルに見舞われながらも飛行を続けている『はやぶさ』に勇気をもらい、いじめっ子たちに立ち向かう――
『はやぶさ』ブームの時、色んなトラブルを想定して『はやぶさ』に積まれた機能・工夫について、テレビや本等でも紹介されてましたが、児童書であるこの本では小学生でも分かりやすく、コンパクトにまとめられています。スイング・バイについて恵お姉さんが説明するシーンは、子供らしくて興奮が伝わってきて、ほのぼのとしました。
また、隼人がケンジとの友情や『はやぶさ』との出会いを経て成長していく姿についても丁寧に描かれていて、少年の成長物語としても印象深い本です。
「ぼくはあきらめない。はやぶさを作った人たちがあきらめなかったように、何度でも何度でも作りなおすよ」
隼人がいじめっ子たちに、真正面から立ち向かうのではなく、彼にしかできない方法で自分を認めさせた所が良かったです。悔しかっただろうに、本当に強くなったなあ、と。
『はやぶさ』が最終的に大気圏で燃やされるのを知った時の隼人の叫びが、彼にとって『はやぶさ』がどれほど心の支えになっていたか、まるで第二の親友のようだったんだな、と感じました。
あえて一言言うとしたら、この作者の特性といいますか、やや主人公がヨイショされすぎ・・・な部分もありますが、そこはそれ、児童書として考えて、それを上回る感動がありました。
『はやぶさ』の感動を思い出した時に読み返している1冊です。 続きを読む投稿日:2015.04.13