mogaさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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桜の森の満開の下
坂口安吾 / オリオンブックス
結晶のような文章に魅せられて・・・怖い・・・
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桜の下はいつでも花盛りとつい思ってしまう私を、あっと云う間に不安に陥れる冒頭。美しいものを求め、欲したのは「男」なのか「女」なのか・・・。美しい桜に潜む陰をこれほどまでに洗練された文にできるものなの…だろうか・・・。わずか50ページ弱に凝縮された”人”を堪能してください。
蛇足:森見登美彦様版「桜の森の満開の下」を先に読みました(「新釈 走れメロス」より)。森見版も現代に置き換えて大変よくできています。オリジナル文章のすごさと、”新釈”版のトライアル。読み比べもとても面白い試みだと思います。 続きを読む投稿日:2015.09.09
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神様の裏の顔
藤崎翔 / 角川文庫
裏の顔があるのは・・・おまえだっ!
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教育の神様のような先生のお通夜で、係わった人たちが故人を讃える独白で始まります。基本的に「尊敬してました」「素晴らしい人だった」とするものの、ちょっと引っかかる事がちらほらと・・・。そのうち二名がた…またま話をしたことによって、疑惑のラインがつながります。それからは芋づる式で状況証拠のオンパレード。 題名通り、神様には本当に裏の顔があったのか? 状況証拠だけで尊敬していた先生の評価を変えてしまう語り部たちの方がよっぽど裏があるようにも思えますが・・・さて本当の裏の顔はどこにあるのでしょうか? ラスボスをお楽しみに! 続きを読む
投稿日:2017.02.22
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火星の人
アンディ・ウィアー, 小野田和子 / ハヤカワ文庫SF
OK!わかった。やってみよう!!
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相当のめりこみました。ものすごく派手なアクションシーンがあるわけではないけれど、次々に襲い掛かる困難とその緊張感!。そしてそれを乗り越えていくのは超科学や魔法ではなく、「知恵と希望と勇気と笑顔」。…《人類のハート》と《科学の未来》に希望を与えてくれるすばらしい1冊でした。
余談ですが、昔読んだマンガの強敵キャラに「苦しい時に歯を食いしばって耐えてきたためにこんな顔(老け顔!)になってしまった。苦しい時にこそ”ニカッ!”と笑って耐えればよかった・・・」というシーンがありました。我らが主人公、ワトニーはきっと”ニカッ!”としたのでしょう^^ 続きを読む投稿日:2015.06.23
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快盗ルパン
モーリス・ルブラン, 水谷準 / 角川文庫
なんと気持ちのいい連中だろう・・・だから”快盗”
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他のルパン本は”怪盗”なのにこれだけなぜか「快盗」。シャレています^^。
ベーシックなルパンの活躍なのですが、なんだかんだでルパン三世を彷彿させる・・・逆ですね。ルパン三世はオリジナルルパンを彷彿させ…ます。豪華客船からの脱出する時の彼女は不二子かクラリスか?考えすぎか^^。 続きを読む投稿日:2016.09.13
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大空のサムライ
坂井三郎 / 光人社NF文庫
これが空戦というものか~ただ一心に何かを考えていた。
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反戦でもなく、ましてや戦争礼賛でもありません。ただただ、戦闘機乗りとしての視点の戦記です。
刻々と変わる戦況に対応して次々と下す判断。大局的な流れの中での死をも覚悟する精神。それらを支えるフィジカ…ル能力。なによりも零戦パイロットとしてのプライドがここにあります。 生きるにおいて、このようなプライドを持って生きたいと思わせる一冊でした。 続きを読む投稿日:2017.02.09
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オービタル・クラウド 上
藤井 太洋 / ハヤカワ文庫JA
希望と悪夢は軌道上で別れてる
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オービタル(軌道)のクラウド(雲)。小さな宇宙空間推進装置「スペーステザー」の集まりがまるで雲のように見えることからこの題名。導入部は科学用語も多く何のことやらさっぱり分からず「雲」をつかむような話…でした・・・が、話のが進むにつれて目が離せなくなります。
大雑把な流れは、「天才宇宙科学者が北朝鮮のテロに加担して、それに立ち向かう主人公チームの話」なのですが、ここかしこに宇宙へのフロンティアスピリッツが溢れています。宇宙という希望へと向かう話は個人的にとても好感がもてました。 このところ(2016年)「火星の人」や「ゼログラビティ」など宇宙モノはサバイバル要素が強いように感じていましたが、やっぱり宇宙は「ライトスタッフ」がいいなぁ。 続きを読む投稿日:2016.06.22