future4227さんのレビュー
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白い手
椎名誠 / 集英社文庫
古き昔の純朴な子どもたち
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まだ力道山が活躍していた頃、近所に上がり込んでテレビを観るような時代のなんとものどかで純朴な小学生の成長物語。近所の川でしじみを獲ったり、ザリガニを捕まえて食べたり(えっ!ザリガニ食べちゃうの?)、川…の中でウンコしちゃったり、女の子目当てにソロバン塾に頑張って通ったり、思わずクスッと笑みが溢れてしまうような当時の子どもたちの日常。通学途中、ある家の窓から毎日小さな白い手だけが見える。どうやら病気の少女が退屈しのぎに手だけを出しているようなのだが、ある日から突然その手が見えなくなり・・・。 続きを読む
投稿日:2024.05.21
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雪のなまえ
村山由佳 / 徳間文庫
田舎暮らしで家族再生なるか?
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2022年高校入試では東京、岐阜、大分、熊本で出題された。頑張り過ぎは良くない。大人も子どもも。苦しかったら逃げてもいいんだよという話。いじめをきっかけに不登校になってしまった娘のために、といいつつ半…分は自分のために父親は突然仕事を辞め、田舎への移住を決行する。反対する妻もなんだかんだと言い争いながらも、夫への理解を示していく。この奥さん素敵!田舎の保守的な空気に苦労するも、味方につければ心強い人々。そして学校へ行けない雪乃のために世話を焼く大輝くん。絶対惚れてるよね?雪乃ちゃんは何で気づかないかなぁ。 続きを読む
投稿日:2024.05.21
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小学五年生
重松清 / 文春文庫
さすが重松さん!小5の心理をよくおわかりです
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中学入試では定番となっている作品が多く収録されている短編集。特に「友だちの友だち」と「バスに乗って」は名作だと思う。あぁ、なんで男の子って自分の気持ちを素直に言えないんだろ。変にカッコつけたりとか異性…を意識したりとか、口では偉そうなことを言っていても、心の中は意外とナイーブだったり。ちょっと面倒くさい子たちだけど、こうやって大人になっていくんだよね。自分の小5の時を振り返っても思い当たることしきりの作品が多かった。 続きを読む
投稿日:2024.05.21
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コンスタンティノープルの陥落
塩野七生 / 新潮文庫
これぞ世界史上に残る名勝負
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日本では応仁の乱のほんの十数年前の出来事。トルコ帝国のマホメット2世は織田信長に似ている。大砲をメインにした戦法で、その後の西洋の戦法や築城法に革命を起こした。従来の慣習にとらわれず、合理的な思考で戦…いと統治を拡大していく21歳の王。懐柔策は使わず、逆らう者には一切容赦をしない。地中海一堅固な三重城壁を持つ都市を世界最大の大砲で攻めるトルコ。更に70隻もの艦隊を山越えさせるという奇想天外な戦法。攻守双方が知恵と勇気を振り絞った後世に語り継がれる名勝負ということがわかる。 続きを読む
投稿日:2024.05.21
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妖の掟
誉田哲也 / 文春文庫
ええ~話が戻ったー
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前作『妖の華』の衝撃的なラストから待たされること12年。続きが読めると期待していたら、なんと前作の3年前を描く前日譚だった。同時刊行のシリーズ3作目も更に時代が遡る話だとか。スター・ウォーズかよ。個人…的には先に進んでほしいのだが、どうやらその構想はあるらしい。姫川玲子シリーズばりのガチな警察小説と吸血鬼というホラー小説のなんともミスマッチな設定が面白い。主人公の紅鈴もかなりエグい連続殺人鬼なのに、天然っぽい性格とのギャップになぜか魅力を感じてしまう。この勢いでこのまま前作を再読するとしよう。 続きを読む
投稿日:2024.05.21
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凶撃の露軍 傭兵代理店・改
渡辺裕之 / 祥伝社文庫
当然舞台はウクライナ
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改シリーズでは8作目。代理店シリーズ通算26作品目。これまで常に最新の地域紛争を描いてきた渡辺氏。ま、当然今回はウクライナになるわな。ロシア軍によるキーウ侵攻の折、そこにリベンジャーズがいた!という設…定だけでワクワクする。短期決戦に失敗したのは彼らの活躍のおかげ!と思いたい。悪名高い民間軍事会社ワグネルとプーチン大統領との関係やマリ共和国暫定政権への関与。また、ウクライナは軍需物資の輸出国世界4位を誇り、その輸出先はなんと北朝鮮や中国、イランなどであるという。いつもながら勉強になる情報が満載。 続きを読む
投稿日:2024.05.21