future4227さんのレビュー
参考にされた数
97
このユーザーのレビュー
-
インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)
ダン・ブラウン, 越前敏弥 / 角川文庫
ダンテの『神曲』を読みたくなる!
2
ダンテの『神曲』の文言を紐解きながら、フィレンツェ(上)、ヴェネツィア(中)、イスタンブール(下)とめまぐるしく舞台を変えながらストーリーは進んでいく。
映画も観たけど、このスケールはやはり映画では描…ききれない。
観光名所を巧みに紹介しながら、ラングドン教授による美術的価値のウンチクを盛り込みつつ核心に迫っていくというのはいつものパターン。
おかげで読んだ後はいつもその場所に実際に行ってみたいという衝動に駆られる。
残念ながら写真で我慢しているけど。
今回は地球を救うために人口爆発を防ぐという信念を持つバイオテロ。
バイオテロという手段はともかく、人口過剰であることは間違いないわけで、実際、何か手を打たないといけない深刻な状況にあるという点では共感できる。
この重たいテーマとダンテの『神曲』や数々の美術品を関連させたストーリーは、ダン・ブラウンでなければ書けないだろう。
そして、息つく暇もないような展開に最後までハラハラしどうし。
なんだかわけがわからないまま逃げまくって、逃げながら謎解きをして、最後は犯人を追いかけて・・・これを1日でやってしまうラングドン教授はすごいですね。
本題とは関係ないが、巻末の「謝辞」(刊行にあたってお世話になった人に作家が感謝を述べる欄)に作中の登場人物マルタ・アルヴァレスの名前を発見したことに密かな感動を覚えるのは私だけ?
マルタさんは実在の人物なのだろうか?気になるー。 続きを読む投稿日:2016.12.21
-
合本 悲しみのイレーヌ その女アレックス 傷だらけのカミーユ【文春e-Books】
ピエール・ルメートル, 橘明美・訳 / 文春e-Books
各賞総なめの衝撃ミステリー3部作!
2
日本語訳が刊行されたのは『その女アレックス』が最初なのだが、本当の刊行順は『悲しみのイレーヌ』が最初。
ここはやはり『悲しみのイレーヌ』から読むべきでしょう。
『その女アレックス』から読むと1作目のネ…タバレになってしまう上、主人公カミーユ警部の心情が今一つピンとこなくなってしまう。
このシリーズの面白さは、犯人は誰か?という謎解きだけにとどまらず、カミーユ警部を取り巻く人間模様が魅力的に描かれているところにある。
捜査チームの仲間や愛する人が否応なしに事件に巻き込まれていく。
一刻も早く犯人を見つけなければ、次の犠牲者が出てしまうというプレッシャーの中での捜査。
そしてストーリーの前半と後半で、事件の様相が根本的に覆る仕掛けもルメートルの巧みな作風である。
主人公のカミーユ警部もシャーロックホームズや杉下右京のような天才的な推理力や運動神経を持っているわけではない。
むしろコンプレックスの塊のような人間が、現場のたたき上げで地道に成果を積み上げてきたようなキャラクターだ。
そういう所が親近感を覚える一因でもあるし、読者は読み進めているうちに自然とカミーユにかなりの肩入れをしてしまうことになる。
そしていつも最後にはカミーユの運命に涙することになるのだ。 続きを読む投稿日:2016.12.21
-
傷だらけのカミーユ
ピエール・ルメートル, 橘明美 / 文春文庫
三部作の完結編。切ない余韻を残す傑作ミステリー
2
カミーユ警部シリーズ三部作完結編。
イレーヌの事件をかなり引きずってる内容なので一作目を読んでいない人にはちょっと分かりづらいかも。
カミーユの恋人が強盗事件に巻き込まれ、またしてもイレーヌの事件の再…来かと嫌な予感が頭をよぎる。
まったくの孤立無援の状態で孤軍奮闘するカミーユ。
後半、単なる強盗事件は全く違った顔を見せ始める。
とにかくカミーユが可哀想、切ない。
読み終わってみれば、タイトル通りの傷だらけのカミーユであった。 続きを読む投稿日:2016.10.28
-
君がやめてとねだるまで
草凪優 / 角川文庫
君がやめてとねだるまで
草凪優
タイトルに惹かれて
1
とりあえず本のタイトルがいい。思わずタイトル買い。内容は・・・んーかなり変態の領域。でも、ストーリーはともかく、作者の表現力、描写力は物凄い。よくこんな表現が思いつくなぁと、妙なところに感心してしまい…、官能小説なのに極めて冷静に読んでしまった。三部作らしいので、一応続きも読んでみるけど。 続きを読む
投稿日:2016.05.08
-
インフェルノ(上)
ダン・ブラウン, 越前敏弥 / 角川文庫
今度の舞台はフィレンツェ だ
2
ラングドンシリーズ第4弾。
初っぱなから何が起きているのか訳がわからないまま、絶体絶命のピンチが次から次へと襲ってくる。
今回はフィレンツェを舞台にした美術史とサスペンス。
建築物や美術品をネットで調…べながら読むと面白い。
ヴェッキオ宮殿の五百人広間は、一面絵画と彫刻に囲まれて見事としか言いようがない。
でも、ヘラクレスとディオメデスという彫像はラングドン教授も苦手らしいが、ちょっとあり得ないモチーフだな。
ヴァザーリ回廊は一度中を通り抜けてみたい。
まだ謎が多く残されたまま中巻へ突入。 続きを読む投稿日:2016.09.01
-
ちはやふる(29)
末次由紀 / BE・LOVE
ヒョロくんがカッコいい!
2
東京都予選決勝。ついに表紙を飾ったヒョロくんがめちゃめちゃカッコいい!自分の勝ち星よりもチームの勝利を第一に考える部長としての自覚。太一への心遣い。千早への思いやり。男気があるなぁ。そりゃあ、千早も感…極まっちゃうよな。でも、あれはやり過ぎ。ヒョロくん失神しちゃうよ。
おまけ4コマで前回からの続き物の福井県予選も、団体戦に慣れない新の不器用さがなんとも微笑ましい。 続きを読む投稿日:2016.07.09