レビューネーム未設定さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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64(ロクヨン)(上)
横山秀夫 / 文春文庫
仕事って大変
2
ドラマ化されるので慌てて読んだ。
男性版お仕事小説、というにはちょっと仕事が物騒か。
横山先生作品ではおなじみの、警察官が主人公だけど現場で捜査する
いわゆる刑事さんではない人が主人公。
今回は警察…と外とをつなぐ広報官。
マスコミ対応とかするところです。
一気に読まされました。
最後は予想よりも一捻りあって満足。
ただたくさんの登場人物とその肩書き、退職した人まで出てくるもんだから
整理しきれずちょっともったいなかった。
パワーバランスが頭に入ってるほうが確実に楽しめます。
ドラマではこの人の多さは混乱せずに見れるかな。
あまり堅苦しく昭和のおじさんドラマにならないことを祈る。
続きを読む投稿日:2015.04.14
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叫びと祈り
梓崎優 / 東京創元社
すでに独自の世界を持っているので、今後に期待大
2
短編集です。どの話にも斉木が出てくるので連作短編っていうのかな。
表紙が外国の歴史ある街の建物といった風情で、初出がミステリ・フロンティアだからモダンミステリみたいのを想像してたんだけど、なんと砂漠が…舞台の話から始まります。
いい意味で話がどう展開するのかわからず楽しめました。
ミステリだと思って読んでるので、主軸の謎がどの話もちょっと無理があるのが残念ですね。
ただそれぞれ舞台がとても魅力的なので、むしろミステリにしない方がいいような。作者はミステリにこだわりがあったのかなぁ。
特殊な状況(一般の日本人にとっては)であるからこそ説得力のある、そして驚ける動機が多かったのでそこにいかに感情移入できるかがカギだと思うんだけど、舞台設定に寄り添えないまま謎解きがされると、ミステリとしてはむしろ納得、素直に考えるとそういう理由だよね、という結果に・・・
しかし主軸ではないところに仕掛けられているイタズラの見事なこと。やられたー、とワクワクしちゃいますよ。
ところでこれは蛇足ですが、ミステリとしては統一感がなくて少し落ち着きませんでした。
ミステリにもジャンルがありますが、日常系なのか本格なのか社会派なのか・・・死人は出るのか出ないのか(笑)
そこは新人さんのしかも連作短編ならそろえた方が気持ちいいかな。
たぶん引き出しがたくさんあり過ぎるんでしょう、ということでこれからも期待して追い続けようと思います。 続きを読む投稿日:2014.05.11
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まぐだら屋のマリア
原田マハ / 幻冬舎文庫
寓話でもないし・・・
2
専門学校を出て老舗料亭で板前の修業をしていた柴紋(しもん・男)は
料亭での兄弟子たちとの確執や、料亭で昔から行われていた不正事件に
巻き込まれて都会を後にし北へ逃げる。
その北の果ての小さな食堂で、一…人で店を営んでいるマリアという女性に出会う。
舞台設定がどんなにご都合主義でも小説になるものはある。
でもこの話、舞台も登場人物もエピソードもどこまでも型通りなのに
それ以上のものがいつまでたっても出てこない
すみません、挫折しました
ところで電子版の表紙、これいったいなんだろう?
ヘンなイラストなの
そういえば本物の方の表紙の雰囲気はやり過ぎだと思う、この話には
続きを読む投稿日:2017.03.10
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石燕夜行 骨きりの巻
神護かずみ / 角川文庫
キャラは渋めでよいです
2
江戸時代で妖怪がうろついてて、町では骨だけ残して人が殺されてる。
全体的に寄席の話みたいに渋い印象だけど、登場人物がイイ男だったり
気味の悪い老人は結構茶目っ気があったりと楽しめます
主人公は表紙を見…て浪人のような剣士だろうと思ったら見間違ってた
持ってるの筆だわ
絵師でした
ちょっと主人公の石燕(せきえん)と謎の男鏡花(きょうか)のイメージが掴みずらくて残念
そして鏡花が謎すぎて不満
続きを読めってことか
と思ったら
現在3巻まで出てますが、続きが出てません
3巻で鏡花が意識不明のままなんですが、どうなってるのでしょうか
残念 続きを読む投稿日:2017.03.27
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お伽もよう綾にしき ふたたび 1巻
ひかわきょうこ / メロディ
安定の面白さ!
1
「お伽もよう綾にしき」の続編です
相変わらず男はカッコよく、女は頼りがいのあるたくましさ(笑)
ひかわ先生の作品はどれもそこは外さない!
新九郎やおじゃる様の過去も前作より詳しく描かれていて満足
小さ…なすずとお父さん呼ばわり(笑)されてた18歳の新九郎の話が
もっと見たい。ってかそれメインでさらに続編をお願いします 続きを読む投稿日:2017.05.06
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さいはての彼女
原田マハ / 角川文庫
なんともステキな女性たち
1
短編が4つ入ってます。
こういうのは「女の子応援小説」とでも言うのでしょうか?
「お仕事小説」とは違って、年齢的にみんな働いてるけどスポットは仕事よりも彼女たち自身。
恋に仕事に、そして自分自身の立ち…位置に悩みや葛藤を抱える彼女たち。
どこにでもある、誰にも覚えのあるそのモヤモヤを旅を絡めて描いていく。
うまいなぁと思うのは決して説教臭くなく、いい話にしようという押しつけがましさもないところ。
なのにそんなに力の入っていなさそうなシーンでうるっとしちゃうのよね。
この人の書く女性はみんなさっぱりしていて気持ちがいい。
イケメンの父を持つ涼香はカッコイイ父が大好きだったが、その父は浮気した挙句に出奔。
それ以来イケメンはパンドラの箱と戒めていたのにイケメン社長に恋してしまう。
『 「おれ、涼香がいいんだよ」
これが効いた。 』
しかしその後
『 「おれ、涼香がコワいんだよ」
これがまた、痛いほど効いた。 』
これで一気に涼香が好きになってしまった。
よく考えると実は都合が良すぎるところもあるんだけど、それは小説としての舞台設定みたいなもので全く作品を損なうものではない。そこにいる彼女たちがどう思い行動するかが主題だからね。
読めばきっと清々しい気分になれますよ。
続きを読む投稿日:2014.07.08