しもpさんのレビュー
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一路 (上)
浅田次郎 / 中公文庫
浅田ワールド全開!
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浅田次郎ファンとしては、待ってましたの時代小説。
ひとり、またひとりと出てくる役どころの設定が面白く、目の前にその姿が浮かんでくる。新たな出演人物が出てくるタイミングも「ここだ!」というところに出され…るから堪らない。
さらにそれぞれの台詞が軽妙、かつずしりと胸に響く。
笑いあり、涙ありはいつもの通りだが、当時の時代背景や使われる言葉が美しいと感じるのは浅田次郎ならではと思われる。
著書の「壬生義士伝」とも、あい通ずると感じさせる見事な作品だ。
早く下巻を読みたくて仕方がない。 続きを読む投稿日:2015.11.21
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一路 (下)
浅田次郎 / 中公文庫
あぁ、せつない!
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上巻を読んだ後の下巻への期待たるや「早く読みたい!」と思うと同時に、読み終わった後の虚脱感に襲われるという相容れない感情が、数日の間心の中でせめぎ合っていたが「読みたい!」という感情が、どんどん膨らん…で行き、結局購入してすぐさま読み始めた。わずか数日間、現(うつつ)の世に舞い戻っていたこの身が、「あっ!」と思う間もなく小野寺一路の元へ舞い戻ってしまった。「ふむふむ・・」「なに?」「おー、こうきたか♪」「いや、それはないだろう!!」などと一人ごちながら読み進むうちに、老眼と結膜炎とドライアイに侵された眼(まなこ)が、悲鳴を上げ始めた。どんなに眼が悲鳴をあげようが、「読みたい!この先どうなるか知りたい!」というおのれの欲求が、しょぼつく眼を叱咤激励し、御供頭である小野寺一路とともに、行列に付いて行く。というほどに、読み進むうちに感動し、笑い、そしてドライアイでひりつく眼をうるませてくれた。時に、「この登場人物は著者では無いのか?」とあからさまに楽しませてくれたり、姫の淡い恋がどうなるかハラハラさせつつも、脇役がしっかりと落としどころをわきまえている所たるや、まさに「アッパレェー!」である。しかし、最後は・・・せつない。江戸時代に生きた人々の有り様が、まるで目の前に見えているような、特に謹厳実直なまでに御殿に仕えなければならない侍や、国の主である殿様の心情がひしひしと伝わってきた「一路 下巻」を、「一所懸命」読ませていただいた。さて、また上巻から読むとするか。 続きを読む
投稿日:2015.11.30