hisashi9さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
内田樹 / 講談社文庫
教育崩壊の実態
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なぜ子どもたちが学びを放棄してしまうのか。
教育現場で起きている「学ばない」という問題の原因が分かりやすく書いてありました。
学校教育の制度、特に公教育の制度が根幹から揺らいでいることを感じさせられま…す。より良い次世代を、より良い社会を創り出し発展させていくために、そもそもの学校というもののあり方を議論してもいい時代に来ている気がします。 続きを読む投稿日:2014.05.01
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子どもの心のコーチング
菅原裕子 / リヨン社
子育てはじめたばかりで
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とてもありがたい本でした。右も左も分からなくて、子育ての秘訣は何か、知りたくて、すがるように読んでみました。
ヘルプとサポートの違い、子どもに教えたい三つのこと、子どもを幸せにするしつけ方、子どもの話…の聞き方など、非常に参考になることばかり書いてありました。 続きを読む投稿日:2014.05.01
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零戦 その誕生と栄光の記録
堀越二郎 / 講談社文庫
核心を黙して雄弁な語り
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宮崎駿監督の「風立ちぬ」を見て、この本を読みました。読むべき一冊でした。
まず、著者は職業人として素晴らしい方ですね。仕事に対する姿勢は本当に尊敬します。戦争の結末を予想できる立場にあり、それでも時代…の流れに逆らえず、体を壊してまでいま自分にできる全てをかけて仕事に打ち込む姿が感動を呼びます。どんなに難しい注文でも文句も諦めることもなくこなし、最後まで改良を重ねる仕事ぶりがすごいです。仲間への敬愛や戦争を引き起こした者への静かな怒りなどを見ると、この人を殺人のための兵器を作った人と単純には断罪できません。
優れた技術者でありながら、文章の見事さもまた驚きでした。記録としての確かさや目に浮かぶようなリアルさ、それから時折目が熱くなるような熱のこもった、けれど粛々とした書きぶりがたまらなく心地よかったです。
戦争へ向かう時の指導者の愚かさと、抗えぬ運命に対し市井の人が懸命に生きる姿を知ることができるという意味でも、この本は読む価値のある本でした。 続きを読む投稿日:2014.04.13
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黒田如水
吉川英治 / 角川文庫
一気に読めました。
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歴史小説を読まないのですが、NHKの大河ドラマにつられて読みました。読んでいてとても心地のいい文体で、目の前にその場面が見えるような臨場感でした。
官兵衛という人が事実書かれてある通りの人なら、かくあ…りたい。そう思える生き様を躍動感たっぷりに味わうことができました。面白かった。物語は秀吉軍に従軍して三木城攻めを成し、凱旋帰郷したあたりで終わるのですが、え?続きは?もう終わり?と思うくらい終わり方が唐突です。彼の後半生も知りたくなりました。
そうそう、如水としての彼の人生は一行も書かれていないのに、なぜタイトルが官兵衛ではなく、如水なのか。もし理由があるのでしたら、誰か教えてください。小説の中にその答えもあったのかも知れませんが…。 続きを読む投稿日:2014.04.01
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美愛眞
武者小路実篤 / PHP文庫
高齢に達してもなお
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ピュアな著者の人柄が素敵すぎる。
中学・高校時代に武者小路実篤の小説を読んで、はまったことを思い出し、また著者の作品を読みたくなって読んでみた。本作は著者が80歳を超えて執筆されたものだが、それでも愛…すること、世界は美しいということ、その純粋さを瑞々しい言葉で伝えてくれる。ああ、やっぱり武者小路って素敵な人だったんだろうな。他の作品も早く電子化されてほしい。
評価は個人的な思いも込めて星5つにしているが、誤字が多いのは気になります。電子化に際して発生したものだと思うが、読みずらいので、そこはどうにかしてほしいと思った。しかし、それを考慮しても、次へ次へと読みたくなる本ではあった。 続きを読む投稿日:2014.02.09
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風流夢譚
深沢七郎 / 志木電子書籍
複雑な気持ち
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たぶん新聞か何かの書評を読んで購入したと思います。しばらく読まずに他のものを読んでいたので、なぜ読もうと思ったかも忘れながら、本棚にあったので読みました。
夢の話をわざわざ本にする必要があったのか?誰…でも見る夢の突拍子もない展開や表現が確かに面白く、短編ながらストーリーテリングの妙技を感じました。が、夢は夢。しかも一晩限り見た夢の話で、他愛もない。些細な妄想をモチーフに、敢えてこの短編を出す必要がどれほどあったのか。
いや、必要はあったのでしょうね。この短編は特別の目的を持っていて、そのために発表された。その当時の時代における意味や、政治的・言論的重要性は、あまりにも年月が経ちすぎて私には分かりませんが、作者のように世の中のあり方を見ている人がいるということは理解できました。
人物が特定できる形で、その人を不快な表現でもって描写しているという点において、読むべきではなかった、読みたくはなかったと思います。しかしながら、その時代を写す重要な作品である、とは言えると思います。文体としての面白さや物語としての読み応えは十分に感じられるので、星は三つにしておきます。(つまり、評価のつけようがありません。すみません)
作者の他の作品を読んだことはありません。 続きを読む投稿日:2014.04.02