TANさんのレビュー
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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし
渡邉格 / 講談社+α文庫
稲妻の語源
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”自力で採取した麹が最大に活動するのは、自然農法で収穫された米であった。”こんな記載には、非常な不思議さを感じます。活動の場所を選択し、試行錯誤を繰り返しながら、酒種パンなどを完成する記録ですが、筆者…の生い立ちや、マルクス経済学に基づく筆者のパン職人としての考え方にも、興味を感じました。稲妻の語源も解ります。 続きを読む
投稿日:2017.04.05
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分解するイギリス ──民主主義モデルの漂流
近藤康史 / ちくま新書
今後もモデルであり続ける
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イギリスのEU離脱という選択が、最近の社会事情の変化などにより、不安定化したイギリスの民主主義の結果であるという分析です。小選挙区制、二大政党、議院内閣制により安定した民主主義政治を行ってきたイギリス…の政治が、各制度の機能不全により不安定化し、国民投票が、予想に反した結果となったと、最近の社会動向から結論付けています。そして、民主主義のモデルとしてではなく、イギリスにける問題の分析から、学ぶ必要があることも、強調しています。 続きを読む
投稿日:2017.07.05
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すごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学
杉山修一 / 幻冬舎新書
重要なのは窒素フロ-
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木村リンゴ園の実例から、自然栽培の科学的、技術的分析を行っていますが、筆者自身も触れているように、木村リンゴ園の分析結果はまだ少なく、一般論の説明となっています。有機栽培を含めて、畑に窒素成分などをあ…らかじめ投入しておき含入量を多くすることが栽培の基本であるのに対して、自然栽培では、窒素などを流入させるメカニズムが確立することが必要であり、そのための多様な植物、生物を共生させること、窒素を代謝する細菌叢が存在することなどが必要であることが理解できます。さらなるデ-タの分析を期待したい内容でした。 続きを読む
投稿日:2017.06.04
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超能力微生物
小泉武夫 / 文春新書
発酵の奥深さ
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極限状態に生きる微生物の説明から始まりますが、中盤で、藍染料の製造、柿渋の製造など、歴史的に既に日本人などが利用していた技術と、微生物のかかわりの説明に移行します。発酵という現象の奥深さに、改めて驚か…されます。世界の発酵食品などの記述には、どのようにしてそんなことを思いついたのだろうと考えさせられます。未来に向けた微生物を利用した展望については、大いなる期待を抱かされます。 続きを読む
投稿日:2017.06.09
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ヤマケイ新書 クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー
田口 洋美 / 山と溪谷社
自然が戻ってきたという単純な問題ではない
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自然保護の流れの中で、ツキノワグマ、イノシシ、カモシカなどの個体数は回復しており、それ自体は喜ばしいことであるが、一方、日本における農業人口の激減を背景とする耕作放棄地の増加、狩猟人口の減少などにより…、野生動物の生活圏と、人間の居住圏の間の緩衝地帯が消失してしまったことが、人間と野生動物のトラブルの原因と分析しています。また、人間の居住圏に侵入したクマなどは、排除されてしまうために、人間の居住圏に侵入することのデメリットを野生動物に伝えることができていないことも原因の一つと分析しています。江戸時代の開墾がさかんに行われた時代から、現在までの歴史的背景に基づいた分析は、自然保護の観点からは問題もあると思われますが、非常に説得力のあるものでした。 続きを読む
投稿日:2017.07.12
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今が地政学でわかる!リアルな新世界地図
三橋貴明 / メディアソフト
それにしても、文字が小さかった
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ロシアとEUの関係、中国とEUの関係、トランプ大統領の支持基盤など、地政学に基づく分析は、非常に解りやすく、面白いものでした。しかし、タブレットで対応しましたが、文字が小さく苦労しました。読む前に、対…応を考えておく必要があります。 続きを読む
投稿日:2017.07.12