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にっぽん怪盗伝 新装版
池波正太郎 / 角川文庫
池波流「ヤラレ役」の美学!
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犯行の一部始終が現在進行形でドキュメント感たっぷりに描かれているもの、過去に犯した犯罪の「業」や「報い」が思わぬ形で自分に巡り戻ってきた盗賊の苦悩を描いたもの、盗賊としてのプロ意識を忘れてしまったため…に自滅に追い込まれた盗人の悲哀を描いたものなど、世に出ている一般的な捕物帳作品にはみられない、「ヤラレ役」である盗賊たちの姿が赤裸々に描かれている作品集です。
ちなみに、この作品には一般的な捕物帳作品で主役としてえがかれるような「警吏」の活躍シーンは、各エピソードのラストシーンで主役の盗賊たちの「末路」にかかわるシーンを除いてほとんど出てきませんので、もしかしたらビギナーさまには物足りなく感じることがあるかもしれませんが、普段ヤラレ役に甘んじている彼らの生々しい姿が感じられると思います。 続きを読む投稿日:2016.08.03