ツクヨミさんのレビュー
参考にされた数
1057
このユーザーのレビュー
-
風の大陸 第三部 風雲の都市
竹河聖, いのまたむつみ / 富士見ファンタジア文庫
本編、始動
0
序章的な1巻、外伝風の2巻に続き、この3巻でようやく本編が始まりました。
メインキャラ3人(ティーエ、ラクシ、ボイス)の過去が少しずつ明らかにされるとともに、大陸にある国やその歴史なんかも分かってきま…す。
バトルシーンにしても、本巻では強大な敵が明確な目的を持って襲ってくるので、これまで以上の迫力を感じました。ライトノベルとしては硬めの文章も、この作り込まれた世界の魅力を引き立てているように思います。 続きを読む投稿日:2014.03.05
-
ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート
櫛木理宇, ヤマウチシズ / 角川ホラー文庫
幽霊だけじゃない
0
シリーズ第2巻です。
今回も、主人公が所属するオカルト研究会には怪奇現象に悩む学生たちが続々と訪れます。サブタイトルにもあるように幽霊てんこ盛りの巻となっていますが、やはり血なまぐさい描写などはないの…で、あまり怖くはありませんでした。
その代わり、本巻では生身の人間の悪意が強調されています。そっちのほうは(グロテスクではないものの)ちょっとぞっとするかも。
へなちょこ主人公がこよみ相手に頑張れるのかも読みどころですね。
この2巻には短編5話+エピローグが収録されています。基本的に1つの事件は1話で完結しますが、1巻や前のエピソードに出てきた人物が後でさらっと登場することもあるので、できるだけ順番に読むのがオススメです。
続きを読む投稿日:2014.03.05
-
別冊 図書館戦争II 図書館戦争シリーズ(6)
有川浩 / 角川文庫
「別冊I」よりは甘くない(たぶん)
0
「別冊I」と同じく恋愛を主軸としている以上、恋愛要素苦手な方にはオススメできません。ただ、甘さ的にはこの「別冊II」のほうがまだマシかと……。
本書のメインは表紙イラストの2人ですが、ほかに堂上&小牧…の昔話なども収録されています。個人的には、緒方副隊長のエピソードが心にしみました。 続きを読む投稿日:2014.04.01
-
風の大陸 第四部 宿命の都
竹河聖, いのまたむつみ / 富士見ファンタジア文庫
地味だけど……
0
この「第四部」は本編2巻に相当します。前巻でも何人か新キャラが登場しましたが、今回はさらに増え、各陣営の立ち位置もはっきりとしてきました。物語はこれから、より大きなうねりに突入していくのでしょう。
本…シリーズは初出が1980年代~となっており、ラノベのファンタジーとしては古典と呼んでいいと思います。ギャグらしいギャグもなく、硬質な文体でひたすらシリアスに展開していきます。最近のラノベに比べると地味なのは否めませんが、哀愁ただよう文章には古典作品ならではの味わいがあります。
惜しいのは、地の文に「~のだ」が頻出して気になってしまうことです(私だけかもしれませんが)……。 続きを読む投稿日:2014.05.17
-
女王国の城 下
有栖川有栖 / 創元推理文庫
ジェットコースター、下り
0
シリーズ第4作はとうとう上下巻に分かれました(※文庫版の場合)。前作『双頭の悪魔』から15年以上経っての発表だというのに、前作脱稿後すぐに書き始めたのかと思うくらい、違和感なく仕上がっています。江神の…アリスも推理研のみんなも、いい意味で変わっていません。
変わったのは、著者の力量でしょう。本書は、独特の舞台設定や深みのある人物造形といったシリーズならではの魅力を引き継ぎながらも、物語としての面白さでは前3作を上回っています。江神シリーズはどの作品も好きなのですが、現時点では本書が最高です。ページをめくるたびに驚いたり、冒険映画を観ているように痛快な心地になったり、駆け抜けるように一気に読み進んだり、残りページの少なさに読み終えるのが惜しくなったり……。まるで計算しつくされたジェットコースターのように、極上の楽しさを味わわせてくれる作品でした。
この下巻で、物語は一気にスピードを増します。特に前半は胸躍るシーンの連続でした。ジェットコースターが下り坂を駆け抜けるとともに、事件も解決へと向かいます。最後の最後まで、まんまと驚かされました……。 続きを読む投稿日:2014.07.05
-
最果ての東 2nd end 迷える狼たちよ踊れその罪と共に
十文字青, THORES柴本 / 講談社ラノベ文庫
光を探して
0
表紙を見てもわかるように、この2巻のキーキャラクターは鳴海です。1巻同様、視点をちょくちょく変えながら話が進みますが、視点がリアンやジョニーの場合でも、話の中心にいるのはやっぱり鳴海だったりします。
…全体的に重苦しい雰囲気がただよう中、リアンの恋愛エピソードは微笑ましく感じられました。できれば彼にはもっと悶々とし続けてほしいのですが……。
これまでヨミーなどの「狭い世界」を描いてきたこのシリーズも、そろそろ新展開の予感。今後、リアンたちがさらなる活躍を見せてくれることを願います。 続きを読む投稿日:2014.08.20