食いしん坊花子さんのレビュー
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144
このユーザーのレビュー
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冷たい校舎の時は止まる(下)
辻村深月 / 講談社文庫
こんなに良い小説が読めるなら……!!
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ぐんぐん読み進めて、あっという間に下巻の終盤に。
もはや読み進めることがもったいなく……
けれど、しっかり最後まで味わいたい、今の勢いを失うことなく……と、
「すごく読みたい、でも読みたくない」という…、葛藤を抱えたまま、ラストに突入しました。
とにかく登場人物が魅力的で
「うわー、絶対こんな人いないんだけど、絶対、好きになってしまう!」とか
結構そんなミーハーな気持ちにもなりました(そういう楽しみ方もできます)
伏線も素晴らしく、読み進めているうちに気づいた瞬間、
その巧みさに鳥肌立ち、その優しさに涙がでました。
確かにボリュームがあるので、なかなか手にとりにくいとは思うのですが……、
こんなに良い小説が読めるなら、大好きなどら焼きを3週間ぐらい我慢してもいいと思いました。本気です。 続きを読む投稿日:2017.03.08
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ロードムービー
辻村深月 / 講談社文庫
『冷たい校舎の時は止まる』と併せて読みましょう。
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『冷たい校舎の時は止まる』の番外編のような短編集ですが、
『冷たい校舎の時は止まる』を読んでいなかったとしても、充分、楽しめます。けれど、読んでいたら、10倍くらい、感動が増幅します。
と、いうわけで…読んでからがおすすめですが……あちらは長編なので、読むのが大変だよう!ということであれば、こちらを読んでしまうのもアリです。
そうしたらきっと、『冷たい校舎の時は止まる』が読みたくなるでしょう。きっと。
そうして「辻村深月……、恐ろしい子!」となるのです。 続きを読む投稿日:2017.03.08
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シャーロック・ホームズの十字架
似鳥鶏 / 講談社タイガ
第一弾『シャーロック・ホームズの不均衡』より面白い!
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そうか、第一弾はこのためにあったのか……と納得。
第一弾は設定にやや振り回された感がありますが
第二弾はテーマがはっきりしてきて、それがとても面白かったです。
「二頭の象が争う時、傷つくのは草だ」
…アフリカの諺として引用されるこのテーマはずっしりきます。
軽めのタッチでとんでも設定で始まったこのシリーズ、なんだかおもしろくなってきた……、
続きが楽しみです! 続きを読む投稿日:2017.03.17
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チャタレー夫人の恋人
D・H・ロレンス, 木村政則 / 光文社古典新訳文庫
従来のイメージとは……?
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もともと「従来のイメージ」というものがなかったので、
「従来のイメージ」を覆すと言われてもちょっとピンとこなかったのですが……。
チャタレー裁判とか、そういったイメージは確かにあり、世間的に「卑猥な…」イメージがあるのでしょうか。全く、卑猥さなど感じませんでした。それどころか「生きる」ということにとても真摯な作品だと思います。コニーがなぜ、メラーズに魅かれたのか。そしてそれを周囲の人間がどう受け止めたのか。読み進めていくうちに、とても新しく、第二次世界大戦より前の時代、ましてやこれが「古典」だとは思えませんでした。
中盤以降、読み進めるのが本当に惜しく、けれどやめることができず、苦しくなるほどでした。
そして、最後の手紙。
人間という存在をここまで描き切ることができる小説の素晴らしさに、
ただただ、脱帽です。
生きているというこては、本当に素晴らしい。この作品を読んでそう思いました。 続きを読む投稿日:2017.02.20
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冷たい校舎の時は止まる(上)
辻村深月 / 講談社文庫
人を選ばず、おすすめしたくなる小説。
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読み始めて少し進んだあたりから、
ぐんぐん、ひきつけられました。
なにか、よくわからない、でも怖いことがおきてる……という
ざわざわ感がなんともいえず、不気味で、ますます引き込まれました。
心理描…写が巧みなうえに、とても読みやすく、
ハラハラドキドキしているうちに、
結構なボリュームのはずの上巻を読み終えてしまいました。
キャラクターひとりひとりも、それぞれしっかり物語を背負っていて、
その描き分けと熱量に「これは力作」という印象を受けました。
そして、ずいぶん昔になってしまったけれどすごく「学生時代にこんな風な仲間がいたら」なんていう気持ちにもなりました。
ボリュームはあるけれど、これは人を選ばずにおすすめできる小説だと思います。 続きを読む投稿日:2017.03.08
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モモンガの件はおまかせを
似鳥鶏 / 文春文庫
キュートで脱力系な面白さ。でも、本格ミステリ!
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待望の楓ヶ丘動物園シリーズ第四弾です。
似鳥鶏さんのシリーズの中で最も大好きなシリーズです。
飼育員のメンバーのキャラ立ちぐあいと、動物たちとの掛け合い、
ちょっとしたボケとツッコミが、ほのぼの…します。そんな反面、物語ではやはり“動物”と人間の関係や社会問題を抉り出す
筆がますます冴えてきていて、今後も期待している作家さんです!
動物たちのちょっと笑ってしまうようなかわいさはたまりません! 続きを読む投稿日:2017.05.13