パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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イル・コミュニケーション 余命5年のラッパーが病気を哲学する
ダースレイダー / ライフサイエンス出版
とにかく前のめり。かっこいい。
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今年の初読み。社会や政治をストレートに語る隻眼のラッパーが、自らの生涯と考えを抜群のリズムに乗せて書きあげた1冊。
様々な体験が人生の流れの分岐点であるように、病気になるということは病気になった後の…自分に進むのだ、などの熱い言葉がこれでもかと出てきて、しかし押しつけがましくない。なかなか得がたい読書体験でした。
なお、発行当初は固定レイアウトでしたが、2024年初にリフロー形式に差し換えられて読みやすくなっています。 続きを読む投稿日:2024.01.15
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白亜紀往事
劉慈欣, 大森 望, 古市 雅子 / 早川書房
旧作ながら新鮮
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昔々あるところで、恐竜さんと蟻さんが出会うことから始まる壮大なお伽噺。設定の巧妙さと筋立ての力強さ(強引さともいう)が面白かったです。
「三体」の四年前、作家として駆け出しの頃の作品らしい。最近、日…本オリジナルの旧作短編集が出ているようですが、新作が出たら読みたい。 続きを読む投稿日:2024.01.22
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スーフィズムとは何か イスラーム神秘主義の修行道
山本直輝 / 集英社新書
遠い国なのに、不思議なほど近い感性
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NARUTOなどのジャンプ漫画に見られる師と弟子の関係性や道の極め方がスーフィズムと似ていてムスリムに人気らしい。「神秘主義」と訳されるとおどろおどろしく感じるけれど、人道支援NGO活動を行い社会に生…きて奉仕するように「教条的な伝統芸」ではない面が多くある。武道や茶道に似た「型」の重視、人間の弱さと向き合う姿、ある教団では最高位奉仕職が料理長、など多くのエピソードが興味深かった。 続きを読む
投稿日:2024.01.24
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NHK 100分 de 名著ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』2024年2月【リフロー版】
日本放送協会, NHK出版 / NHK 100分 de 名著
全く知らない著者・本・解説者でした
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ローティは米哲学会東部部会長の時に哲学は物事の本質を追究などしていないししてはいけないという「アンチ哲学」の主張で居場所を失った反逆者。
では哲学の役割はというと、絶対的な言葉(終極の語彙)を見つけ…て会話を止めることではなく、それさえも改訂に開くことで会話を止めないこと。その矛先は自由民主主義・人権基礎づけ主義にも向かい、トランプ現象やブレグジットや極右の台頭を生み出す分断の根源に迫る。あり得べき連帯は人々の核心や本質の承認によるものでなく、苦痛や辱めを基礎として「われわれ」とは違った人々を「われわれ」の範囲に入れていくことであり、それを担うは文学者やジャーナリストだ、という主張が興味深かった。ただ、「リベラル」をはじめとして語彙がかなり独特そうで、原著へのハードルは高くなったような気がする。
続きを読む投稿日:2024.02.09
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イスラームから見た西洋哲学
中田考 / 河出新書
西洋思想の内側からは得られない視点が多数
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様々な西洋哲学者の考えをイブン・タイミーヤを初めとするイスラーム法学者らの考えと対照させるところが流石にユニークで、硬軟織り交ぜた文体もよかった(おそらく体調が悪くて打ち込みと口述が混淆しているのでし…ょうが)。
1900年に没したニーチェが「今後2世紀はニヒリズムの時代だ」と予言した通り真偽善悪が揺らぐ中、一見それらしい社会課題に右往左往することはニヒルの深淵から目を反らしているだけで、ニヒルの闇を直視しないと希望があっても見えてこないというメッセージは厳しい。畳み掛けるような「おわりに」の数ページを何度か反芻したい。 続きを読む投稿日:2024.02.13
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トランスジェンダー入門
周司あきら, 高井ゆと里 / 集英社新書
トランスを通して見えてくる、マジョリティをも含む社会課題
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トランスのみならずジェンダーについて、自分がいかに無知だったかよく分かった。そして、まだよく分かっておらずグルグルと考えている。
トランスの人は「出生時のラベリング」と「ラベル付けられた性らしさを求…められること」の2重の違和を抱えている。後者は私自身にも付きまとってきたが、シスでヘテロというマジョリティでも抱えている課題へも多く言及されていて、社会や制度の不備や直す手立てなど様々な角度からの手がかりが得られてよかった。 続きを読む投稿日:2024.02.24