つたもみじさんのレビュー
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帝都物語 第壱番
荒俣宏 / 角川文庫
虚実ごった煮オカルトファンタジー
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明治の末、江戸から東京へと大変換を遂げようとしている帝都。大蔵省の若き官吏・辰宮洋一郎と、軍人・加藤保憲。依童として加藤に攫われる、洋一郎の妹・由佳理。奇門遁甲、陰陽五行に陰陽道、蟲術、風水、土砂加地……泉から湧き出るような知識に圧倒されながらも、特に「神霊篇」は読み難さを感じて結構な時間が掛かってしまった。幸田露伴や森鴎外、渋沢栄一など実在の人物の登場や、当時の都市計画など。物語は面白かったけど、なんとなく後味は悪いなぁ。ああ、なんか洋一郎をブン殴りたいよ…グーで。 続きを読む
投稿日:2017.05.09
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猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷
小路幸也 / 徳間文庫
ある日、帰宅すると妻が猫になっていた。
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ある日、帰宅すると妻が猫になっていた。大学で研究職にある和野和弥は、古き時代から続く蘆野原一族の長筋の生まれ。事(災厄)を為す(祓う)力を持つ。表舞台に出る事はなく、少しずつ変化していく時代の中にあっ…て淡々と事を為し、暮らしている。事の見立てをする家系に生まれた幼馴染の和泉と、猫になった妻・優美子と、猫から人間になった娘・多美。やがて妻が猫になるのは事の前触れである事を知る。仄々とした日常は、サラサラと流れるような穏やかさで。心地よく、美しい世界観と文章でした。なぜ妻は猫になるのか。その不思議もまた良し。 続きを読む
投稿日:2017.06.30
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人形式モナリザ Shape of Things Human
森博嗣 / 講談社文庫
Vシリーズ第二弾。
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Vシリーズ第二弾。練無がバイトをしている蓼科のペンション・美娯斗屋に遊びに来た紅子、紫子、保呂草の三人。安価で休暇を満喫する筈が、私設の「人形博物館」のステージで行われていた「乙女文楽」演者が殺される…という事件に遭遇する。各シリーズを摘み食いしているけれど、Vは他よりもキャラが立っているせいか、主要キャラの人間関係などに重きを置いて読んでしまう傾向にある。とりあえず林を殴ってもいいだろうか…グーで。今回も消去法で割り出した人物が犯人であったのか、黒幕がいるのか。保呂草の裏の顔が、紅子にバレる行も面白い。 続きを読む
投稿日:2017.07.13
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黒猫の三角 Delta in the Darkness
森博嗣 / 講談社文庫
キャラクターが個性的なVシリーズ第一弾。
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Vシリーズ第一弾。各シリーズを摘み食いのようにして読んでいるのですが、こちらはキャラクターが個性的。1年に1度。決まったルールの元で起こる殺人。プロローグでの「事件に関わった四人組のうちの一人が記述し…ている」てのがズルい。消去法で割り出した人物が、そのまま捻りなく犯人だったので拍子抜けではありましたが。殺人の動機についての考察は面白いです。紅子は勿論だけれど、個人的には練無がとても気になる存在。著者さん喫煙シーンを書くのが多い気がするのですが、流石にステーキ屋でスープ飲んでる時にまで煙草吸ってるのは…。 続きを読む
投稿日:2017.07.13
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デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?
森博嗣 / 講談社タイガ
生きているという概念。
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新たに発見された、生殖可能な一族とスーパ・コンピュータ。ナクチュと酷似したその施設の調査に、ハギリはヴォッシュ博士に呼ばれ参加する。一方、ナクチュの頭脳は再起動し、新たにトランスファの存在が明らかに。…人工細胞やメモリィ、通信機能を取り入れ機械に近づいてゆく人間。生きているという概念。ネットワークを自由に飛び回り、増殖や合体を繰り返しながら学習してゆくトランスファ。デボラとベルベットの目に見えぬ攻防。サリノの扱いは、ちょっと可哀想な気もする。アネバネも馴染んできたけど、ラストのウグイの仕草…か、可愛い。 続きを読む
投稿日:2017.07.13
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薔薇十字叢書 蜃の楼
和智正喜, toi8, 京極夏彦 / 富士見L文庫
薔薇十字叢書の変わり種。SFチックな幻想小説。
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薔薇十字叢書。昭和二十七年。初の長編小説「蜃の楼」を上梓した関口巽は、刑事・木場、担当編集・桜木と共に東京の街を彷徨っていた。スカイツリー、東京オリンピック、霞が関、市民・学生運動…。連続神隠し事件の…犯人と目される・黒衣を纏った”S”を捜し、時代を超えて関口は東京を彷徨い歩く。ずっと「夢オチじゃあるまいな…」と、思いながら読んでた。うん、まあ…夢オチ、ではないか。ノスタルジックな昭和の景観や、隔離された喫煙コーナーに文句を言う木場、これはこれでSFチックな幻想小説みたいで面白かったです。 続きを読む
投稿日:2017.07.13