hariboさんのレビュー
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同志少女よ、敵を撃て
逢坂冬馬 / 早川書房
デビュー作とは思えない
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デビュー作とは思えないほど内容がしっかりしていて、次作も読みたいと思った。
こういった話がたくさん語られてきているのにも関わらず、今も続く国同士の争いを思うと居た堪れなくなる。
同じ過ちを犯しては…いけないと言い続けていても未だに無くならない戦争。誰もが経験したくない殺戮。
国のトップの責任で犠牲となるのは国民なのだ。
戦争をテーマにした作品は多々あるけれど、この作品は登場する人物の様々な立場に立って読み進めることができ、より深く戦争について考えさせられる。
ロシアとウクライナの戦禍、アガサクリスティー賞を受賞した本作は、今読む1冊だと思う。 続きを読む投稿日:2022.08.06
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護られなかった者たちへ
中山七里 / NHK出版
護られなかった人たちの護ったもの
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ミステリーだけど、ミステリーよりも現代社会を考えさせられる内容。
コロナによる給付金の不正取得。
議員や国税の人間が絡んでいたり、家族全員で詐欺を働いたり…。
誤送金による電子計算機使用詐欺。
…
何年経っても無くならないオレオレ詐欺。
強盗、賽銭泥棒…。
世の中どうしてしまったのだろうと思うくらい、金絡みの犯罪が増えた気がする。
全ての人に護るべき物や人があって、それが犯罪を起こすキッカケになったのかもしれないけれど、そこに至る前に何か対応できる社会になってほしい。
世界的に戦争や疫病で不安定だから、心は荒み、ますます犯罪は増えていくだろう。
そんな中、自分はどうやって大切な人を護っていくか考えさせられた。 続きを読む投稿日:2022.08.05
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小説8050
林真理子 / 新潮社
他人事ではない
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育児の大変さと、現在の社会問題をリアルに考えさせられるお話だった。
自分の子供が引きこもりになってしまったらどうしよう。
自分の子に限ってそんなことないとも言えない。
出産を迎える私にとって…は、とても重たい話に感じた。
また親を尊敬する良い機会となった。
過度の期待は子供を壊す。
だからといって期待をしなければ、子供は拗ねてしまうだろう。
小説に出てくるようなイジメは、本当にあるのだろうか。
最近のイジメはSNS等を使って陰湿になってきていると聞くけれど、親の目が届かなければエスカレートするのは当然。
大人の社会でもイジメが存在するのだから、自分たちで制御ができない子供は尚更だと思った。
中学でイジメに会い、引きこもり、そのまま20歳を迎えた子供は、本当に社会復帰できるのだろうか。
深く考えせられる内容だったし、家族の絆や人の優しさの描写に涙が溢れた。
ただこの話しのように、上手く問題解決できる家族は数少ないだろうとも思う。
こういった現実をより多くの人が知る必要がある。
完全解決は難しいだろう。
時代は変化し環境は常に変化をする。
解決は難しくても、さまざまな問題が可視化され、人としてのモラルが守られる社会を常に作り続ける状況を作らなくてはならないと思った。
フィクションではあるが、こういった痛ましい事件がなくなることを願いたい。 続きを読む投稿日:2022.07.05
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血と骨(上)
梁石日 / 幻冬舎文庫
争いが生むもの
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今更だけど読みたいと思っていた作品。
ヤンさんの作品ならではの描写。
受け付けない人も多いと思うけれど、ロシア・ウクライナ問題をはじめ、今も世界のどこかで起きている紛争を考えると読んでおいた方が良…い物語だと思った。
主人公はとてつもなく自己中心的な人物だけれど、誰にでもこれだけのわがままな部分があるのではないかと思う。
それが表に出るか出ないかの話。
そして戦争はまさにこの自己中心的な考えから生まれる、最も最悪な状態。
主人公の息子が最後に自分の選択が間違っていたのかと回想する場面があるけれど、まさに今、目の前にある問題に対して真剣に向き合い、後悔しないようにしなければならないと思った。 続きを読む投稿日:2022.07.04
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流浪の月
凪良ゆう / 創元文芸文庫
さすが本屋大賞受賞作品
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久しぶりに読んでて胸がギュッとなる本に出会った。
さすが本屋大賞受賞作品。
世の中フェイクニュースで争いが激化するような時代、やはりありとあらゆる情報を正しく理解する事、選択すること、発信すること…はより重要だと思った。
ただ、このような子供が出てくる話しの場合、個人的にはいつも違和感を感じてしまう。
彼女のはなしⅠは9歳の更紗目線で書かれているのだけれど、9歳にしては異様に表現が大人だったり、比喩が入ったり、冷静だったりする。
嫌なことをされても本当の事を言えないのだけれど、9歳児はもっと単純で、逆に素直に言うだろうと思ってしまった…私だけだろうか…
ただ、これも物語だからこその話。
話はとても面白いので☆4つ。 続きを読む投稿日:2022.06.04
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スモールワールズ
一穂ミチ / 講談社
全ての人に
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読んだ後に自分のこれまでの人生を振り返った。
他人から見れば物語になるような壮絶な人生ではないが、自分にとってはその時々で色んな苦労があったなと思う。
全ての人がそうだと思う。
本書はオムニバス…形式で主人公6人の人生がそれぞれ書かれているのが、バラバラのお話しにも関わらず、一冊の本として繋がりを感じられるのが凄い。 続きを読む投稿日:2022.06.03