コモンの再生
内田樹(著)
/文春文庫
作品情報
知の巨人が語り尽くす、日本への刺激的処方箋
いつの間に、日本はこんなに生きづらい、貧しい国になってしまったのか?
なぜ、こんなにデタラメな政治がまかり通る世の中になってしまったのか?
その答え、実は「コモン」ですべて説明できるのです。
AIによる大量失業、富の一極集中、アンチ・グローバリズム、人口減少による高齢化と過疎化・・・・・・
いよいよ限界を迎え、音を立てて軋んでいる資本主義。
その背景には、昔はどこにでもあったコモン(共有地)の喪失がある。
今こそ分断を超え、新しい共同幻想を立ちあげるときだ。
絶望の果てに光を見出す希望の書。
巻末に文庫版特別付録として、東京大学大学院准教授・斎藤幸平との対談「心地よい、新しいコモンについて語ろう」収録!
21世紀の新たな「囲い込み」を警戒せよ!
そこには、ディストピアしかない──。
・西部劇「シェーン」は「コモンの消失」という悲劇を描いていた
・「貧困は自己責任」と切り捨てる心理
・「青年」も「旦那」も消え、子どもおじさん・おじいさんが出現
・「一罰百戒」で委縮するテレビ局や大手メディア
・ディープ・フェイクの時代を生き抜くために
※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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商品情報
- シリーズ
- コモンの再生
- 著者
- 内田樹
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2024.03.06
- Reader Store発売日
- 2024.03.06
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (5件のレビュー)
-
昔は下水工事の土管が置かれ、"原っぱ"と呼ばれた"共有の土地"は沢山あった。
こうした「コモン」な土地は、地価が上がると資本主義的な考えで「私有地」になった。
資本家たちの土地買収で、"原っぱ"は柵で…囲まれ、「私有地につき立ち入り禁止」の看板が立った。
だが今、高齢化や過疎化が進んだ地方では、土地を私有財産として維持し難くなり「コモンの再生」が始まっている。
都心でも空き家問題が進んでいるが、私有財産ということで行政が手を出せなくて困っている。
土地の私的所有はやめた方がいい時代が来ていると感じる。
世の中の出来事にモヤモヤを感じた時「この人の見解を知りたい」と思う人は、池上彰さん、佐藤優さん、養老孟司さんくらいだったが、内田樹さんが加わった。
内田樹さんを気に入った点は、自分の考えをはっきりと言い切る事。
あとで間違いと分かったら、言い分けせずに誤りを認める事。
誰も正解を知らない未来予測は難しいですからね。
内田樹さんの基本的な考えや価値観は自分と重なる部分が多いと感じた。
受け入れがたい意見がほとんどないので、反論できないと言うのが正しいかもしれない。
例えば、こんな意見。
・人にして欲しいことは、自分が率先して楽しそうにやればいい。
・「目先の損得にこだわって巨大なリスクを看過する」傾向が強まっている。
・今の日本は、「希望を語れば噓になり、不安を語ればなじられる。」だからしかたなく昭和懐古の過去を語っている。
・健康な人は健康のことをあまり気にしない。健康に対する不安を煽る社会は不健康だ。「健康」の範囲を狭めて「不健康」な人を増やしている。
・「選択と集中」がもてはやされた結果の「○○ファースト」は、集中先を狭め、集中先に属する人の私利私欲を増長させることになっている。
・「自由」と「平等」は相反するので共存しない。自由は強者の思想で、平等は弱者に手を差し伸べる思想。
天皇制や憲法については、
・今の制度で起きている具体的な被害事実がどれだけあるのか列挙せよ。
・学術的に原理的に誤っているとかいう話には興味がない。
・修正することでどれだけ住みやすい社会になるのかを定量的に示してくれ。
というスタンス。
何を議論するのかも定まっていないので、改正自体に切迫感を感じていないようだ。
その他、
「グローバル資本主義」と「新自由主義」は、パンデミックのせいで大幅な軌道修正が図られることになった。
コロナ禍ではっきりしたのは、生活に必要なエネルギーや食糧を輸入に頼っているだけでなく、マスクや消毒液も自給できない国になっていたという事実。
でも皆精一杯働いているではないか。
安価なものは海外で作らせて、日本の国民は何で生活費を稼いでいるのか。
何をしてるかと言うと、富裕層に金を使わせる(つまり富裕層の満足度向上の)ために働いている人が増えている。
世の中の仕組みを変えていく時期にきていると感じる。
そのためには、政治の力が必要なんだけど、、、続きを読む投稿日:2024.05.19
雑誌連載を書籍化したものだから、よく言えば気軽に読める、悪く言えば予定調和で想定の範囲内。タイトルは大袈裟過ぎるかな、「内田樹の人生相談室」でもいいと思うがそれじゃ売れないか。
それにしても著者は大…分リベラル色が強くなった様に感じる。「東京ファイティングキッズ」の頃はもっとバランスを取っていた気もするが。世の中が右(右が革新、左が保守という考えもあるが)に偏り過ぎたからそう錯覚しているだけかも知れない。
江崎書店袋井店にて購入。続きを読む投稿日:2024.05.12
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