【特集1】ふたつの戦争、ひとつの世界 2022年2月24日、世界中が「いま、なぜ」と問うなか始まったロシアのウクライナ侵攻。その終わりはいまだ見えず、戦禍は拡大している。2023年10月7日に起こったハマスの襲撃が引き金となり、イスラエルはガザ地区への凄惨な攻撃を開始した。人質解放のための束の間の「戦闘休止」は平和に結実するのだろうか。 私たちが生きている世界では、いまも人が殺し、殺されている。その現実を直視しつつも、けっして平和をあきらめないために。停戦への道と世界のこれからを考える。【特集2・・・
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【特集1】軍拡進行国家
「日本は米国と共にある」――国賓待遇でアメリカを訪問した岸田首相は、米国議会の演説でこのように述べた。共同声明では、より詳細に自衛隊と米軍の一体化を推し進めることが明記されている。問題はこうした大転換が国民的議論もなく、もっぱら閣議決定と外交の場だけで決められていることだ。
「一体どこを向いて政治をしているのか」──旧統一教会問題や裏金問題に感じた政治への不信感がいっそう深まる。国民との社会契約である憲法に反することが堂々と行なわれている。
アメリカの戦争に日本が巻き込まれ、国民の生命が犠牲となるリスクは高まった。現在、急ピッチで進められている政策変更、法案のどこが危険なのかを探った。
【特集2】SNSと子どもたち
生まれたときからスマートフォンが存在する。思春期にInstagramやTikTokがある。
滞在時間を一秒でも長くしようとするアテンション・エコノミー。「密室」で行なわれる性加害や性搾取。いまや子どもたちの窓であり、居場所でもあるオンライン空間について、私たちはどれほど知っているだろう。
心身への影響をさらに可視化し、検証すること。市場に翻弄されず、公共空間として自らの手で育んでいくこと。新たな仕組みづくりは急務だ。
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【特集1】地方対中央
分権型社会という理念を掲げて約四半世紀が過ぎた。しかし、いまや国は地方自治を軽視し、国と自治体の関係は対等とはほど遠い。そのいびつさが最も端的に表れているのが、沖縄に対する構造的差別だ。
「地方」は集権化した「中央」よりも劣っている? いや、「不便」「何もない」とみなされてきた地域には多様な魅力と文化が根づいている。その事実に、多くの人たちは気づき始めている。
ゆがんだ対立構造を乗り越えて、ゆたかな対話と交流を生み出すことはできるのか。新しい自治のかたちを構想するために現場から問いかける。
【特集2】暴力の起源──植民地主義を問う
イスラエルによるガザ地区への攻撃では街は見境なく破壊され、死者は3万人を超す。イスラエル高官はそのパレスチナの人々を「人間動物」と呼んだ。他者を「野蛮」なものと断じる植民地主義のロジック──。
今もそのロジックに翻弄され、暴力にさらされている地域は、アフリカにも、アジアにも、ラテンアメリカにもある。なぜ国際社会は暴力を止めえないのか、収奪をうけた人々は、植民地支配といかに格闘しているのか。
吹き荒れる暴力の淵源にある植民地主義を、足もとから見つめる。
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【特集1】トランプふたたび
2016年大統領選によるトランプ大統領の誕生は熱狂と分断の時代の幕開けを告げた。国内のみならずアジア、中東、ヨーロッパなど、世界中を振り回したトランプのアメリカは幻滅と妥協、不信と極端化の渦を増大させながら、自壊していった。だが、そこでもたらされた「遺産」はバイデンのアメリカにも色濃く息づいている。
米中対立やふたつの戦争という危機のもと、2024年の今、ふたたび吹き荒れるトランプ旋風。その風はどこから吹いているのか。何をもたらそうとしているのか。アメリカ内外の軋みを直視し、私たちに突きつけられた問いと向き合う。
【特集2】人権を取り戻す
ジャニーズ性加害問題などを国際社会から批判され、「あったのに、なかったこと」にされてきた問題の深刻さを日本社会は受け止めることとなった。認識のギャップはどこから生まれたのだろう。
女性・性的少数者・外国人労働者への差別、原発事故対応・・・・・・日本は様々な人権侵害のリスクを国連などから指摘されている。だが政策に十分生かされず、司法も人権救済に遠い。「息苦しさ」を強いる構造が、いま問われている。
ビジネスも様々な社会活動も、もはや人権への配慮なくしては成り立たない。そして、国際的な人権救済システムは大きく進展し、人びとの実践は国内にもある。人権はどこか遠くの話ではない。
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【特集1】さよなら自民党 派閥・世襲・裏金
30年前の1994年1月29日、政治改革関連4法が成立した。改革の矛盾や問題点は様々に指摘されてきたが、今回の裏金事件でついに破断界に達したかに見える。
企業・団体献金を原則禁止してカネのかからない政治を実現するため導入された政党交付金を受け取りながら、法をくぐり抜けての多額の企業献金受け取りは、改革の趣旨に反し、国民主権や議会制民主主義を歪めるものだ。
政治腐敗を繰り返す自民党の自浄作用には期待できないとすれば、われわれ主権者が選挙によって鉄槌を下すしかない。90年代の政治改革はなぜ失敗したのか、次の時代の政治変革には何が必要かを考える。
【特集2】働けど、働けど
どこの職場でも人員が削減される中で、労働時間やストレスばかりが増えている。物価がどんどん高くなる一方で、賃金は増えそうになく、税金や社会保険料で手取りは目減りする。働きつづけたからといって、「老後の安心」は手に入らない。こんな社会にだれがした?
だれかに負担を押し付けることのない持続可能な社会へと変えていくことはできるのか? 経済を足元から見つめ直す。
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【特集1】リベラルに希望はあるか
欺瞞、偽善、無力・・・・・・「リベラル」が批判と冷笑の対象とされるようになって久しい。
リベラルな価値を掲げる欧米諸国においても、ウクライナ戦争、ガザ人道危機の深刻化を経て、その「法の支配」や「普遍的人権」が現実にはなにを意味するのか、二重基準がいっそう鋭く指摘されている。また、ポピュリズムの台頭によって排外主義が高まり、社会における多様な個人、価値観の共存が揺るがされている。
日本のリベラルとはなにか。
平和主義との結びつきは過去のものとなるのか。
歴史的ななりたち、根源的な批判をふまえ、その可能性を探る。
【特集2】受験という迷路
子どもたちは苛烈な競争の渦中にある。そして親たちは「我が子の将来」のために「降りられない競争」に没入する。
その競争は、公正に行なわれているのだろうか。
子どもたちの心に大きな「傷」を残すことはないのだろうか。
親たちは不安を煽られてはいないだろうか。
人生の岐路として、9割以上の生徒が少なくとも一度は経験している受験。その経験を「自分事」ではなく社会の問題として捉え直すと、何が見えてくるのだろうか。
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■特集1 リベラルに希望はあるか
戦後日本の「リベラル」と平和主義─その所与条件と歴史的経緯・・・・・・小熊英二(慶應義塾大学)
『世界』の起源・・・・・・石川健治(東京大学)
〈座談会〉「リベラルである」とはどういうことか─今そこにある問題から考える・・・・・・杉田 敦(法政大学)×五野井郁夫(高千穂大学)×池田弘乃(山形大学)
現代の政治的対立軸とは何か─日欧の福祉国家再編をめぐって・・・・・・田中拓道(一橋大学)
絶望と希望が隣り合わせのこの世界で─なぜ行動するか・・・・・・畠山澄子(ピースボート共同代表)
安倍派パーティー券事件の深層・・・・・・上脇博之(神戸学院大学)
〈ルポ〉岸田首相と統一教会─関連団体トップとの写真流出の裏側・・・・・・鈴木エイト(ジャーナリスト)
娯楽としての暇アノン─SNSで扇動される誹謗中傷・・・・・・安田浩一(ノンフィクションライター)
〈新連載〉島に帰る 第1回 ホームとフィールド・・・・・・榎本 空(エスノグラファー)
〈追悼〉ぼくたちは山田太一でできている─巨匠から届いた二〇通のハガキ・・・・・・渡辺一史(ノンフィクションライター)
世界の潮
COP28 化石燃料からの脱却に「合意」できたのか?・・・・・・深草亜悠美(FoEJapan)
国立大学法人法改正 運営方針会議をめぐる謎・・・・・・米田俊彦(お茶の水女子大学)
オスプレイ 生産停止へ─放置され続けた欠陥・・・・・・平安名純代(沖縄タイムス)
■特集2 受験という迷路
受験後遺症の大人たちが子どもを追い詰める・・・・・・鳥羽和久(作家)
不正入試事件が示す社会的空気・・・・・・中村高康(東京大学)
〈対談〉小学・中学受験のリアル・・・・・・小針 誠(青山学院大学)×森 いづみ(日本学術振興会特別研究員)
見すごされる高校受験のなかで・・・・・・相澤真一(上智大学)
うちの子は特別だから─少子化、独自性、韓国の「教権崩壊」・・・・・・朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
スケッチ 「問い」へのアプローチ・・・・・・小川 哲(小説家)
夜店 政治とエビデンスの複雑な関係─なぜ「合理的な政策」は困難なのか?・・・・・・杉谷和哉(岩手県立大学)
〈対談〉欲望・身体・美─問いとしての障害・・・・・・キム・ウォニョン(作家)×伊藤亜紗(東京工業大学)
AIをクィアする─プロメテウスの子どもたちはどこへ行くのか・・・・・・清水知子(東京藝術大学)
給食費無償化はなぜ必要か?・・・・・・福嶋尚子(教育行政学者)
所得再分配の壁─世論調査と実験からの模索・・・・・・松本朋子(東京理科大学)
イスラエル 展望なき強硬姿勢のパラドックス・・・・・・辻田俊哉(大阪大学)
壊れた対話を取り戻す─原発事故をめぐる対話メソッドと哲学者の思考・・・・・・星 暁雄(技術ジャーナリスト -
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【特集1】ふたつの戦争、ひとつの世界
2022年2月24日、世界中が「いま、なぜ」と問うなか始まったロシアのウクライナ侵攻。その終わりはいまだ見えず、戦禍は拡大している。2023年10月7日に起こったハマスの襲撃が引き金となり、イスラエルはガザ地区への凄惨な攻撃を開始した。人質解放のための束の間の「戦闘休止」は平和に結実するのだろうか。
私たちが生きている世界では、いまも人が殺し、殺されている。その現実を直視しつつも、けっして平和をあきらめないために。停戦への道と世界のこれからを考える。
【特集2】ディストピア・ジャパン
世界各地で戦火がやまないなか、日本はそれでも平和を享受している――。それは事実なのか?
上がらない賃金と長時間労働、ジェンダーギャップ指数125位、横行するハラスメント、G7最下位の報道の自由度、根深い外国人差別・・・・・・。
同じ人間であるにもかかわらず、人間が貶められる現実が広がってはいないか。それは「平和」なのだろうか。私たちの足もとのディストピアを見つめる。
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■特集1 ふたつの戦争、ひとつの世界
〈インタビュー〉ガザ、人類の危機─それでも守るべき価値とは・・・・・・中満 泉(国連事務次長、軍縮担当上級代表)、聞き手=国谷裕子(ジャーナリスト)
国際法と学問の責任─破局を再び起こさないために・・・・・・根岸陽太(西南学院大学)
この人倫の奈落において─ガザのジェノサイド・・・・・・岡 真理(早稲田大学)
イスラエルの焦り─この戦争に終わりはくるのか?・・・・・・錦田愛子(慶應義塾大学)
正義論では露ウ戦争は止められない─ウクライナからカラバフへ、拡大する戦争・・・・・・松里公孝(東京大学)
〈対談〉二〇二四年の世界と日本・・・・・・田中 均(元外務審議官)×佐橋 亮(東京大学)
「ふたつの戦争」と米国の世界戦略・・・・・・菅 英輝(九州大学名誉教授)
宝塚の悲劇 何がカナリアを追いつめたのか・・・・・・川崎賢子(文芸評論家)
大川原化工機「冤罪」事件の深層─警視庁公安部で何が・・・・・・石原大史(NHK)
〈新連載〉最後は教育なのか? 第1回 「お花畑」は現実化する─仁平典宏さんに聞く・・・・・・武田砂鉄(ライター)
世界の潮
岸田減税が不人気な理由・・・・・・吉弘憲介(桃山学院大学)
性同一性障害特例法 違憲決定の意義・・・・・・木村草太(東京都立大学)
■特集2 ディストピア・ジャパン
人間であることが困難な世界で・・・・・・松村圭一郎(岡山大学)
〈インタビュー〉反社会的で、善なるもの─いま小説を書くということ・・・・・・桐野夏生(作家)、聞き手=前川仁之
〈インタビュー〉入管はなぜ姉を同じ人間として扱ってくれなかったのか─ウィシュマさん死亡事件の真相を求めて・・・・・・ワヨミ/ポールニマ、聞き手=伊藤詩織
さよなら、ジャニーズ。さよなら、テレビ。─見えない再生の糸口・・・・・・林 香里(東京大学)
スケッチ カメレオン通り・・・・・・多和田葉子(作家)
夜店 歴史学は世界を変えることができるか・・・・・・松沢裕作(慶應義塾大学)
事故と故事のあいだ─膨張する中国のナラティブ戦略・・・・・・福嶋亮大(文芸批評家)
植民地主義者とはだれか─台湾とパレスチナのいまを貫く問い・・・・・・駒込 武(京都大学)
国家が国籍を奪う─英国の経験・・・・・・柄谷利恵子(関西大学)
『心的外傷と回復』について・・・・・・阿部大樹(精神科医)
意見が嫌われる時代の言論・・・・・・大澤 聡(批評家)
〈最終回〉再録・大江健三郎のことば 第6回 「持続する志」「再び持続する志」・・・・・・大江健三郎 解題=山本昭宏
〈新連載〉〈小さな物語〉の復興─『フランケンシュタイン』をよむ 第1回 戦争・・・・・・小川公代 -
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