小説版 ゴジラ-1.0
山崎貴(著者)
/ジャンプジェイブックスDIGITAL
作品情報
【小説版登場!】映画『ゴジラ-1.0』の小説版が登場。焦土と化した日本に、突如現れたゴジラ。残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。
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商品情報
- シリーズ
- 小説版 ゴジラ-1.0
- 著者
- 山崎貴
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- ジャンプジェイブックスDIGITAL
- 書籍発売日
- 2023.11.08
- Reader Store発売日
- 2023.11.08
- ファイルサイズ
- 3.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (18件のレビュー)
-
今年1月、「ゴジラー1.0」のモノクロ映像版を観た。機会があれば是非観て欲しい。カラー版に残っていた「特撮色」が上手い事消え去って、まるで戦後間も無く作られたのではないかと錯覚するようなリアル感が時々…襲って来ることによって、ゴジラというとんでもない怪物を招来させてしまった「時代」という化け物が浮かび上がる作品になっていた。
小説版は、映画のあとに読んだり聴いたりした方が良いと思える(私はaudibleで聴いた)。幾つかの興味深い「監督自身の世界観の表出」はあるのだけど、映画俳優たち個々の感情表現の方が、ナレーターの台詞回しを残念ながら凌駕しているからだ。何よりもゴジラの存在感は、映像を見ていないとイメージしにくい。
その上で、「小説版描写」によって興味深かったことを幾つか。
・1946年夏、ビキニ環礁で原爆実験が行われ、古代恐竜のゴジラも被爆した。小説ではその描写は、正に原子炉の暴走のように描かれる。また、ゴジラの発する「熱線」は「物質の水蒸気爆発」を起こし、その後には「巨大なキノコ雲」さえ残っており、今迄のゴジラ映画以上に「原爆映画」になるように、少なくとも脚本段階では、監督は思っていたようだ。映画では少し薄まっているのが残念。
・秋津の言う「情報統制はこの国のお家芸だ」と言う台詞や、ゆきかぜ元艦長堀田が「(米国や日本の)軍事行動は大国の刺激するために不可能だ」と言ったり、元海軍技術士官野田が最終決戦に向けて元兵士に呼びかける言葉「日本政府も米軍も当てにできない今、我々(民間市民)しかこの国の未来を切り拓くことができないんだ。これは命令ではありません。」等の台詞は、そのまま映画に使われた。ここまで日本政府と同等にアメリカ米軍を構造的に批判する作品を作るのは、日本のエンタメ映画としては珍しいのではないか。反対に言えば、よくぞアカデミー賞とれたな、と思う。
・私には、これが山﨑貴監督作品でヒットした「永遠の0」のアンサー作品のような気がしてならない。「永遠」は、原作はもとより、映画オリジナルの最後ニヤッと笑って特攻して死んでゆく主人公含めて、私は「糞映画だ」と思っている。今作では、あろうことか冒頭主人公は、特攻命令に背いて不時着するのである。それでも尚且つ「お前は逃げた」という死亡兵士たちの声に苛まれ続けているという設定である。「永遠」と真逆の主人公なのだ。
敷島が「僕は生きているんでしょうかね」
と愚図っているのに対して、この時18歳設定の典子は
「生きている限りは、生きていかなくちゃならない」
と、母親のように主人公をかき抱く。最後の最後まで、エンタメらしく奇跡を演出しながら、「生きて、抗え」とテーマを貫き通した。
山﨑貴監督は、「永遠」に満足していなかったのだ、と分かり、私は嬉しかった。2回も観たはずなのに、audible聴きながら恥ずかしい顔になってしまった。
・ゴジラ初上陸のときに銀座を歩いていたのは晴見通りで、典子が落ちたのは外堀川。その時の犠牲者は死亡者3万名、被災家屋二万以上らしい。
・銀座にやってきたとき、勇敢にもアナウンサーがゴジラを実況中継していた。朝日新聞社前の松田ビル屋上だった。これは生中継ではなかった。録音のためだったのだ。勿論、ゴジラの尻尾の一振りで亡くなって仕舞う。ただ、この時の録音が、ゴジラを最終決戦で相模湾に誘導するための「ゴジラの咆哮」に使われていた!アナウンサーの死は無駄ではなかった!という事は小説で初めて知った。
・「何故、ゴジラは何度も日本を襲うのか」というよくある疑問に、野田は「この前の上陸で、ここもゴジラの縄張りの一つに加えられた。(録音された)ゴジラの声で、ゴジラは別個体に縄張りを荒らされたと考え、追って来る、はずです。」と答えている。これは映画にはなかった台詞(?)。
・最後、沈みゆくゴジラに対して、まるで荒ぶる神に敬意を表するように、海軍兵士は思わず「敬礼」をした、とある。これは映画にあったろうか?ハリウッド映画では、決して出てこない場面のはず。もしかして、編集で削ったか?海外進出するなら、賛否両論ある場面だろうと思う。
・典子の最後のアザは、私は気がついていない。あった?(もしあれば、とんでもない可能性が浮かび上がる)
・これら重要な疑問が湧いた。もう一度観ないといけない。えっ?アマプラに入ったの?
続きを読む投稿日:2024.05.01
映画を観た後に読んだのだけれど、映画の空気感が見事に活字に落とし込まれていてすごい。ワンシーンワンシーンが鮮明によみがえってくる。しかし、小説としてはあまりに淡泊で面白みはほとんどない。面白くするため…にはせめてこの3倍の分量は必要だと思う。映画には映画の、小説には小説の表現方法があるのだなと勉強になった。続きを読む
投稿日:2024.05.22
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