琥珀の夏
辻村深月(著)
/文春文庫
作品情報
見つかったのは、ミカちゃんなんじゃないか――
『かがみの孤城』『傲慢と善良』の著者が描く、
瑞々しい子どもたちの日々。そして、痛みと成長。
かつて、カルトだと批判を浴びた<ミライの学校>の敷地跡から、
少女の白骨遺体が見つかった。
ニュースを知った弁護士の法子は、無騒ぎを覚える。
埋められていたのは、ミカちゃんではないか――。
小学生時代に参加した<ミライの学校>の夏合宿で出会ったふたり。
法子が最後に参加した夏、ミカは合宿に姿を見せなかった。
30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。
解説・桜庭一樹
※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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商品情報
- シリーズ
- 琥珀の夏
- 著者
- 辻村深月
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2023.09.05
- Reader Store発売日
- 2023.09.05
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 624ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (146件のレビュー)
-
読んでいる間も、読み終わってからも、不思議な、複雑な感情が、じわっと、存在している感じ。
もし仮に、この作品を数年後に読み返したとしても、この複雑さはそのまま存在し続けるだろう。
<ミライの学校>と…いう団体の施設の跡地で、白骨遺体が発見される―
そんな事件から始まり、主人公の近藤法子は、弁護士としてこの事件に関わっていくことになる。
そして、弁護士として関わるずっとずっと前から、法子は、この団体を知っていたのだ。
辻村さんの子どもの感情の描き方は本当に丁寧で、今回は、「あなたのためを思って」という、大人がよく子どもに発するこの、良かれと思ってされた表現が、後々その子どもを、ひいては大人になったその人をどれほど苦しめるか、ということが608ページに渡って描かれている。
解説は、こちらも少女の心を丁寧に描くことに長けた、桜庭一樹さん。
解説にあった、愛と平等の話が印象的。
P614「わたしは、子どもには<愛>と<平等>の両方が必要だったのだな、と読後にしみじみ考えた。家庭などのプライベート空間には<愛>があり、学校などの学びの空間には<平等>がある、それが理想だといったら、理想を語りすぎだろうか?」
P614「残酷な現実ではあるけれど、学校であれ、家庭であれ、理想的とはいえない環境で生きのびるしかなかった子どもは、いびつな足場に合う独自の魂の形を作って成長し、その形に固まり、自分だけのバランスでかろうじて立っているような大人になるのではないかと思う。そうやって生き残り、大人になってから、『その足場、間違ってますよー』と誰かの手で正しいものに急に変えられたりしたら、逆にバランスが取れなくなって倒れてしまうかもしれない。」
(これはトー横とかの子どもがまさにそうだと思う)
仕事で出会う保護者や子どものことを思う。
例えば保護者は、子どもが学校に行かないことに、困り果てている。保護者と話していると、「子どものためを思って」いることが多い。だけど、子どもは保護者と同じ方向を向いていなかったり、保護者が、「子どものためを思って」用意した道が合わなくて苦しんでいたり、家庭環境が複雑だったり。
子どもの話を聞くと、「そんな風に思ってたんだー!」ということも多々。
解説にあるように、足場が急に倒れることは、誰にとっても苦しい。だから、保護者も子どもも、少しずつ別の価値観や選択肢を知って、いびつな足場を自分で調整したり、受け止めたりできるようになれたらいいなと思う。
「こうしたら楽なのに」と思うことや、大人が代わりにやってあげられることだってたくさんあるけれど、それを子どもが自分で選んだり決断することが大切で、その選択や決断が子どもにとって苦しいものであっても、いろんな感情と向き合って、「自分で選んだ」「自分で決めた」ことを尊重してエールを送りたい。
その大切な瞬間を「あなたのためを思って」奪って、代理で決めてしまうことは、結果として子どもを苦しめる。
遠回りをしてでも、不登校の期間が多少長くなっても、子どもがじっくり向き合う時間に、じっくり寄り添う。
あなたのためを思うのなら。続きを読む投稿日:2023.09.29
辻村深月さんの書く文章は、ものすごく心を抉る。古傷が開く。
こんなに心を晒して大丈夫だろうか。血はでているだろう、止血できるのか、と心配になる。
登場人物の心情に潜りすぎると浮上するのに時間がかか…る。
でも、彼女らには幸せになって欲しいと願う。
続きを読む投稿日:2024.04.14
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