老人はAI社会をどう生きるか
平松類(著)
/祥伝社新書
作品情報
進む高齢化と歩調を合わせるかのように、AI(人工知能)の技術革新と社会への浸透も進化を続けている。では老人は、AIとどのように向き合えばよいのか。眼科医として多くの高齢者の診察・治療に関わり、その悩みや不安をじかに聞いてきた著者は、日本ディープラーニング協会の資格を取得してAI技術も学んでいる。病気や介護、認知症、お金、人間関係など、さまざまな不安を抱える老人たちにとって、AIとAIが産み出す社会は福音なのか脅威なのか。著者は言う。「AIの進化で老後の不安はなくなります」。ただし、「AIとの付き合い方を間違わなければ」である。老人が正しくAIと付き合うための完全ガイド。
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商品情報
- シリーズ
- 老人はAI社会をどう生きるか
- 著者
- 平松類
- 出版社
- 祥伝社
- 掲載誌・レーベル
- 祥伝社新書
- 書籍発売日
- 2020.11.30
- Reader Store発売日
- 2023.08.04
- ファイルサイズ
- 2.9MB
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この作品のレビュー
平均 3.0 (5件のレビュー)
-
乱読の一冊として。
眼科医の書く内容だからとしても、内容が薄く散文的。
誰のために何のために書かれたのかよくわからず。投稿日:2021.01.12
AIの機能解説は他本に譲るとして、本書では「AIをどう考えるか。どう捉えるか」に言及している点が面白い。
これからの未来、AIが社会実装にされる際、今の生活がどう変わっていくのかを想像するのは本当に難…しい。
そういう意味ではAIの機能も含めて、特長を掴む必要はある。
しかしその解説は非常に難しいので、そこは割り切って他本に譲り、ここはAIが今後実装された場合に、我々側がどうやって対処すればよいかにフォーカスされている。
逆の意味では「AIに対し上手に対処ができないと、生きていくのは大変だよ」という警告でもあるのだ。
タイトルこそ「老人が」となっているが、これは全世代に該当するだろうと思った。
若い人は「適応力があるから意識しないで大丈夫」と思われがちだ。本当にそうだろうか。
私は本書を読んで、逆に若い世代も含めてどの世代においても注意が必要と感じてしまった。
本書は「新しい思考法」の提案をしてくれている。
世代関係なく、この思考法、発想法に身に付けない限り、今後生きていくのは不便なのではないかということだ。
我々のようにこれから老人に向かっていく世代は、今までの社会と異なる未来の変化にものすごく戸惑うだろう。
本書でも記載の通り、二極化の加速は免れない。
これはAIに限らず、様々な社会の仕組みが二極化を引き起こしているので、原因が一つではない点でも話を更に複雑化させている。
若い世代も結局はこの社会の仕組みに組み込まれている以上、そこを上手く乗り切れる人は上位に入れるかもしれないが、若年層でも着いて行けずにこぼれ落ちる人が必ずいると思ったのだ。
「変化に適応」ということでなく、「難しい社会に着いていけない」という人が、少なくない一定人数で出てくると思ったのだ。
私は逆にこちらの方が問題のような気がしている。
若者は確かに適応力があるので、変化があれば対応できるかもしれない。
上手にスマホを操っているのもその現象なのかもしれないが、中には「生まれた時からあるから使えているだけ」という人も多いだろう。
つまり、今後の変化に適用できるかどうかは未知数ということだ。
本書を読めば本質に気が付くかもしれないが、「AIを知れば知るほど、自分がしっかりしないといけない」ということに帰結する。
これは、AIが人間の作業を完全に置き換えることにならない点を見ても明らかだ。
確かに人間よりもAIの方が得意なことはある。
一方でAIでは到底人間に追い付けないこともある。
これは高度な部分でもAIと人間の差があったり、「え?こんなこと」と言うくらいものすごく小さな部分でも差があったりするのだ。
本書でも例が出ているが、ちょっとした想定外のことがあると、過去データから分析して対応しているAIにとっては対処が難しくなる。
「たまにAIは突拍子もない答えを出す」というのも、AIの特徴だったりする。
一方で、当たり前のことではあるが、計算能力などは人間がAIに敵う訳がない。
AIは所詮計算機である以上、答えはあくまでも計算で出したものであって、AIの感情や意識が表出されたものではない。
しかも複雑な計算であればあるほどその途中過程は全く見えない訳なので、答えだけ見てもどうしてその回答になったのか知りようもない。
AIがあなたのことを慮って答えを出すことはあり得ないし、「AIがこの方が良いと思う」という意見もない。
単に計算上出た答えであるという状況の中で、どこまでAIを信じて、どこまで信じないのか。
それは「あなた自身がしっかりしてくださいね」という身も蓋もない話になっていくということなのだ。
「このAIは90%の信頼度があります。そのAIがこの答えは90%の確率で『A』が正しいと言っています」
こんなことを言われていく中で、我々は「Aかそれ以外か」の選択を常に迫られていくのだ。
案外とAIは役に立たないのかもしれない。
一方で技術の進化はすさまじく、AIは我々の知らぬ間に益々社会に実装されていく。
確かに日常生活は便利になるだろう。
日常生活の中で、「Aかそれ以外か」究極の選択を迫られるケースも少ないだろうから、それで案外不便ではない訳だ。
そういう意味ではどんどん自動化される社会は便利になる一方で、人間が考えなくなるという警笛も本書では鳴らしている。
「オートマ免許とマニュアル免許の車の話」は例として秀逸だと思った。
確かに医者がこのような状況になっていくのはものすごく想像できる。
改めてAIで医療は進化するかもしれないが、どの人間の医者を信じればよいかは結局自分次第だ。
今でも天気予報で雨の確率50%と言われ、傘を持つ人もいれば、持たない人もいる。
それで濡れて帰ることになって、憤る人もいれば、諦める人もいる。
そういう社会が益々加速されていくということなのだ。
これはこれで何だか疲れそうだし、風情とはかけ離れた世界だ。
よく考えれば天気だって、その日の風や空の様子を感じれば、何となくのことは予想が出来るはずなのだ。
「90%の確率でAです」よりも、あなたの直感がBと予測している時にあなたはどうするのか。
「あなた自身がしっかりしてくださいね」
AI社会は益々人間力が試されていくということか。
これは心して係らないといけない。
老人に限らずすべての人間に試されていくということなのだ。
(2022/8/27)続きを読む投稿日:2022.08.30
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