エタンプの預言者
アベル・カンタン(著者)
,中村佳子(翻訳)
/角川書店単行本
作品情報
65歳、元大学教師。リベラルで、しがらみのないインテリのつもりだった。まちがえた選択をし続けて65年。どうやら私は、社会から取り残されたらしい。フロール賞受賞のほか、ゴンクール賞、フェミナ賞、ルノードー賞、アカデミー・フランセーズ小説賞、ジャン・ジオノ賞の6賞候補! 現代社会への痛烈な批判を込めた超弩級の注目作!かつてタレント歴史学者を夢見たロスコフは、落ち目だった。95年に「冷戦下米国のソ連スパイ事件」を巡る書籍を刊行したが、翌日CIAが機密解除、本は一夜にして紙くずに。妻とは離婚し大学を退職、酒浸りだったロスコフは、同性愛者の娘のフェミニストの恋人に刺激され、研究を再開、サルトルやボリス・ヴィアンと親交があったアメリカの詩人・ウィローについての書籍を刊行する。客わずか5人の出版記念トークショーの席上、ロスコフはウィローが黒人であることを記述しなかった理由を問われる。翌朝掲載された匿名のブログ記事が炎上し、ロスコフはレイシストだという非難にさらされる。さらに自分を擁護するツイートに返信したロスコフは、炎上を煽ってしまう。ツイートした知人は、極右政党に入党していたのだ――。
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商品情報
- シリーズ
- エタンプの預言者
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川書店単行本
- 書籍発売日
- 2023.04.24
- Reader Store発売日
- 2023.04.24
- ファイルサイズ
- 2.5MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
「思うにあなたは、この世界にパラダイムシフトが起こったことを理解していないんじゃないでしょうか」
これは本文中で、デュトネールという編集者であり、国営ラジオのパーソナリティであり、多数の文芸誌で評論…を発表する女性マルチタレントが、主人公ジャン・ロスコフに言った言葉である。この物語では「マッカーシズム」「レイシズム」「文化の盗用」「トランスジェンダー差別」など出てくるのだが、冒頭のセリフに言い表されるように、ロスコフは言ってしまえばやらかしてしまう。つまり、元大学教師の65歳の男性が、社会に取り残されたままなのを自覚せず(受け入れず)に、本を出版して再起を図ったところ、ネットで袋叩きに合う。というものだ。これは、ここまで国際的や社会的なことだけじゃなく、日常や職場でも自分の知識や経験をアップデートできないまま振る舞ってやらかしてしまっている人はいる。というか、自分もこうならないように常に意識していないと、様々な場面でロスコフの二の舞になりかねない。
作中でロスコフが執筆した本のタイトルは「エタンプの預言者」。アメリカの詩人ロバート・ウィローについて書いたもの。ウィローはサルトルや社会学者エドワード・フランクリン・フレイジャーと親交があったり、W.E.B.デュボイスやマルコムXなど実在の人物たちも物語の中に登場するので非常に現実味がある。正直きちんと知らないことばかりだったので、調べながら読み進めることも多かった。ちなみにこんまりまで出てくる。少し登場しただけだったが、これもアメリカでの実際の出来事とこの物語の内容を重ねて描いていたのだろう。この辺りもちゃんと知らなかった。自分もロスコフと変わらない。
この物語の中で、ロスコフは今までずっと色々とやらかしてきている。どちらかといえば、全てにおいてやらかしてしまっている。一作目の本の執筆でも真実を見誤った、酔っ払ったままツイートしたりリプライの相手を確かめなかった、娘の恋人である女性から自らの問題に気づくためにくれた本を読まなかった、など怠らなければ避けることができたかもしれないことをことごとくやらかしてしまっている。こういう人いるよね~って思うけど、自分は大丈夫か?と問うことを忘れてはいけないとも思う。
第八章を読んで、こういうエンディングに向かうのかと思ったが、第九章では、それはそうかと苦笑するしかなかった。ちょっと期待しつつ落胆もしつつ第十章のエピローグでどんな結末を迎えるのかと思ったら、まさかの結末で驚いた。確かにそんなこともちょっと出てきてたけど、そうなるとは思っていなくてびっくり。ロスコフはやっぱりやらかしてる。続きを読む投稿日:2023.07.01
面白かった
社会についていけないおっちゃんのあれやこれや
私も30年後これになってるかもと恐れ慄きました投稿日:2024.02.09
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