この作品のレビュー
平均 3.5 (4件のレビュー)
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同志社大学で組織神学を専攻し、チェコのプロテスタント神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカの研究をした後、外務省に入省するという異色のキャリアを歩んできた著者が、非キリスト教徒に向けて神学の基本を解説して…いる本です。
神学の基本的な知識に関しては、本書で何度も取り上げられているアリスター・E・マクグラスの『キリスト教神学入門』(教文館)などの著作に譲り、本書ではもっぱら信仰によるコミットメントに基づいて議論が進められるキリスト教神学の特色に的を絞って解説をしています。
神義論の解説では、神の「収縮」を説いたユルゲン・モルトマンの立場がくわしく紹介され、そこから神の創造がみずからの外部に人間と自然を創造したのではなく、収縮による神の自己限定が創造的にそのなかへと働きかけることのできる場所をつくり出したという創造論上の立場がありうることを説明しています。またキリスト論においては、啓示に基づくバルトの「上からの」キリスト論に対立するパネンベルクの立場を紹介し、非キリスト教徒の読者にとっての実存からキリストに迫っていくアプローチがありうることを説明しています。
いわゆる「入門書の入門書」ともいうべき内容が扱われていますが、「できるだけわかりやすく書いたつもりだが、水準は落としていない」と著者が語っているように、じっくりと腰を据えた議論が展開されています。続きを読む投稿日:2016.08.26
僕は無神論者なので、批判的に見ますけれど
とても丁寧に神学というものをどう考えているのかを説明していたと思います。
・キリスト教は、救済を目的とする宗教です。より正確に言うと、「真の神であり真の人で…あるイエス・キリストが唯一の救い主である」ことを信じることによって救われる宗教です。救済は、人間にとって、主体的な問題です。キリスト教の場合は、神からの人間に対する呼びかけにどう答えるかが、問題の核心になります。それだから、キリスト教について、純粋に客観的なアプローチはありません。主体的な参与(コミットメント)を必要とする事柄に関して、純粋客観的な記述をするというこおとは、範疇(カテゴリー)が異なるので不可能です。
・日本では、キリスト教が近代主義と親和的で、知的な宗教であるという印象があります。これは、現代に影響を与えている日本のキリスト教が、明治期以降、日本の近代化の過程で導入されたからです。このキリスト教は、啓蒙主義の嵐をくぐり抜けて、近代的な世界観と折り合いをつけることに成功したキリスト教です。もっともキリスト教が啓蒙主義とつけた折り合いは、表面的なレベルにとどまり、神学的に深く考察すると、キリスト教は人間の理性と衝突します。キリスト教は、人間が原罪を持っていると考えます。それですから、人間が造りだした文化や社会制度に肯定的価値を付与することは、根源においてできないのです。
・キリスト教は人間の良心に積極的な価値を付与しません。両親は、人間の内部の力によって担保されているのではありません。あくまでも外部からの、神の啓示によって人間の良心が呼び出されるのです。神からの召命を抜きに人間の良心は成立しません。
・バルトは、日常的に教会に通うキリスト教徒を、語りかける第一義的対象者と考えました。こういうキリスト教徒に対して、資本主義社会の小市民的な文化と福音を混同してはならないとバルトは警鐘を鳴らしました。しかし、教会の外側の人は、バルトにとっては第二義的な対象に過ぎませんでした。このようなバルトの姿勢に私は物足りなさを感じるのです。
・私は、「神はどこにいるか」という問題を学術的に解決することはできないと思っています。神は、人間と人間の関係において見出されるのです。具体的な人間と人間の関係で「上にいる神」を実感するというアプローチをとるしかないと思います。言い換えると、人間が他者に奉仕する過程において神を知るのです。続きを読む投稿日:2022.02.03
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