ぼくたちが 知っておきたい生理のこと

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  【まとめ】
  １　生理の症状に悩む女性たち
  生理は、女性特有の健康課題。生理痛をはじめとする月経困難症、過多月経、PMS、PMDD（月経前不快気分障害）といった生理にまつわる不調は、女性にとって落とし穴…のようなもの。男性と同じ道を歩いていても、女性の行く道にはあちこちに落とし穴があって、そこに落ちてしまう人がいる。では公平にするにはどうすればいいのか？答えは、「落とし穴を埋める」。それによって女性が男性と同じように歩けるようになることは優遇ではないき、男性が何か損をすることもない。
  
  生理にともなう身体的症状や精神の不調（月経困難症）を患う女性は約900万人いるとされる。
  生理痛がある女性のうち「かなりひどい（薬を服用して会社を休むほど）」が2.8％、「ひどい（薬を服用すれば仕事ができる程度）」25.8％、「月経痛はあるが我慢できる程度」47.9％で、「月経痛は感じない」は27.6％だったとわかっている。生理痛の場合は原因がはっきりしており、時間経過で治ることを知っているから、我慢する女性が多い。
  
  生理痛は筋肉痛に近い。子宮内膜を排出するために、子宮はギューギューと収縮する。このギューギューを起こすのが、プロスタグランジンという物質で、痛みのもとです。生理中の痛みを「子宮が握りつぶされるよう」と表現する人もいるが、まさにそういうことが起こっている。しかも子宮だけじゃなく、周囲の血管や、胃などの内臓も一緒にギューギュー握るようにして収縮させてしまうから、血流が悪くなって冷えを感じたり、胃が痛くなって吐き気がするといった、さまざまな不調が起きる。
  
  生理にともなって生活上困ることがあるのなら、それは対処すべき課題。酷ければ婦人科を受診すべきだが、「これが普通」と思って我慢している人も多い。あまりに重ければ子宮内膜症のリスクがあるため積極的に受診するべきだ。また、体調が悪ければしっかり休む、という意識に社会全体が変わっていくのが一番理想である。
  
  ２　生理中のホルモン増減
  いきなり生理の話をするのではなくて、段階を踏んでいくことが大事。身体つきが変わりはじめてから初潮がくるまで、少なくとも1年はあるため、1回や2回で教えるのは無理だ。本来なら学校でも、男女ともに、男の子と女の子の身体の違いや、どう変化していくのかについて何回かに分けて教えていく必要がある。しかし、いまの時点ですべての学校にそうした性教育は期待できないので、家庭で親から話してあげると、子どもの不安や戸惑いも減る。
  
  今、生理の負担を軽くするために低用量ピルを服用する人が増えている。低用量ピルとは、エストロゲンとプロゲステロン、2種のホルモンが配合された錠剤。女性の身体では約28日前後のサイクルでホルモンの量が変動しながら分泌されるが、それを錠剤として内服することで、脳が「いまホルモンが十分に分泌されているぞ」と錯覚し、これ以上出す必要はないと判断する。そうすると排卵が起きなくなる。低用量ピルを服用するというのは、生理期間を不調に悩まされず過ごすための選択肢の一つ。
  
  メンタルに影響が出やすいのは、生理中より生理前。PMS（月経前症候群）と言われ、下腹部の痛みや腰痛、頭痛、むくみ、便秘、倦怠感や眠気、ニキビといったものがある。情緒面が不安定になる人もおり、気持ちが沈む、イライラする、涙もろくなる、集中力が低下する、気が張ってリラックスできないなどの症状が現れる。抗うつ作用を持つエストロゲン、抗不安作用のあるプロゲステロン、幸せホルモンのセロトニンの分泌が減り、気持ちが不安定になっていく。
  
  
  ３　生理を理解するためのコミュニケーション
  女性同士はわかり合っているかというと、そんなこともない。上司の女性が部下の女性に対して、自分の経験ありきで対応してしまうケースがある。生理が軽い女性は基本、重い女性のことがわからない。男性だと「そうか、つらいのか」とすんなり受け止めるところも、自分にも生理があるだけに「私はそんな経験をしたことないし、大げさに言っているだけなんじゃないか」と思ってしまうことがある。上の世代の女性には「生理についての常識は変わるもの」という意識を持ってもらいたい。
  
  アンケートでは、女性は生理でつらいとき相手に「察してほしい」と思っていて、男性は女性に対して「察したい」と思っている。心身がしんどいときに理路整然と説明することはむずかしいと考える女性が「察してほしい」となるのもわかる。でも男性はどこまで「察する」ことができるのか。
  お互いどれぐらい自己開示できているかによる。付き合いたてでも「私、生理のときは調子が悪くなる」「怒りっぽくなる」という前提を女性から伝えていれば、デートの日に生理になったと聞かされれば男性も察して、「じゃあ、にぎやかなところにいくのはやめて、家でゆっくりしようか？」と言えるだろう。
  結局のところ、こうしてほしいという理想を暗に求めるよりも、どうしてほしいかをはっきり言い合える関係になるほうが早い。わかってほしい合戦ではなく、言葉にして伝えるほうが確実。
  
  ４　生理を理解するための社会づくり
  女性は寿退社、または妊娠出産したら退社という時代ではとっくになくなっている。女性のライフステージが変わっても働きつづけてもらうにはどうすればいいか、企業も考えなければならない。女性を優遇して働きやすい環境を整えるというよりは、同じ仕事をしているのに男性は困らず、女性だけが困るような状況をなくそうということ。産休、育休の制度を整えること、管理職の大半を占める男性に、生理について理解してもらうこと。
  
  高尾さんは企業向けに生理のための研修を行っているが、対象は男性管理職よりも当事者の女性向けが最も多い。生理は当事者もわかっていないことが多い。まずは自分について知らないと、自分の働き方も見えてこない。そして女性も、世代が違う女性のことは案外知らない。
  
  上の世代はいまの時代の生理、妊活、妊娠出産についてアップデートしてもらって、下の世代には更年期のことを知ってもらう。ちょうど管理職と部下の関係にある女性同士のあいだで、「知らない」という理由からすれ違いやトラブルが起きることもある。知ってさえいれば、避けられるであろうトラブルだ。
  もちろん、管理職に就いている男性やオジサン世代に向けても研修する。ここで高尾さんが伝えたいのは、生理や更年期の仕組み、それからいまどきの妊活事情といったディテールではなく、女性には身体のことが理由で「休みを取りたい」日があるということだ。
  
  本来なら生理のことを知るうえで、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ（SRHR）という概念が欠かせない。これは「性と生殖に関する健康と権利」と訳され、身体、感情、精神、そして社会的な幸福がセクシュアリティ生殖のすべての局面で実現できていることをいう。
  生理はもともと生殖にまつわる現象であり、そのことで女性が不利益をこうむったり、医療へのアクセスが簡単ではなかったりする状態は、女性の健康と権利が守られているとはいえない。女性の生理、それから更年期にこれだけ注目が集まっているのは、労働人口としての女性を見たときに、女性に、より継続的かつ効率的に働いてもらうにはどうすればいいだろう、という観点から考えられている点は否めない。しかし、女性も男性も、労働人口である以前にひとりの人間であるから、その人自身が健やかに快適に過ごすことが大事。
  
  男性も女性も、知識をアップデートすべきなのだ。続きを読む

  投稿日：2023.05.14

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  E

  漫才師の博多大吉さんと産婦人科医の高尾美穂さんの対談形式。
  女性の身体（生理だけでなく更年期のことも）について「男性」「産婦人科医」双方の意見と、アンケートでの男女別回答が見られる一冊です。
  
  生理は…女性であっても主観でしか分からないため、個人差について初めて知ることも多かったです。
  男女関係なく、一度目を通しておくと良いなと感じました。
  
  こういう本が性教育で活用されたらいいのにな。
  男性バージョンとかもあれば読んでみたいですね。続きを読む

  投稿日：2024.03.23

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