文豪はみんな、うつ
岩波明(著)
/幻冬舎文庫
この作品のレビュー
平均 3.6 (18件のレビュー)
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電子書籍の割引期間の最終日が来て、何か選ばなくちゃいけないような脅迫観念に駆られて、ついコレを選んでしまった。私は「期間限定お買い得」に極めて弱い。いっときは財布がパンパンになるほどにクーポンを入れて…いたのだけど、最近はアプリの中にクーポンが無数に入っている。このクーポンを使うために1日の予定をやりくりすることも多い。私はクーポンを買い物に利用しているのか、クーポンのために買い物をしているのか。依存症の典型的な症状。コレ病気かも。まぁ、生活を脅かすほどじゃないからまだ医師にかかるつもりはない(←「私は依存症ではない」と言うのは依存症初期の典型)。
まぁどちらにせよ、自殺や心中に至るような「うつ病」と比べたら、かわいいもんである。〆切間際にならないとスマホのメモアプリに向かい合うことがどうしても出来ない困ったちゃん(←私か)も、かわいいもんである。いかん、なかなか本題に入らない。
本書は、文学者ではなく立派な精神科医の岩波明さんが、文豪たちの精神病の診察を、巷に言われている診察に意義を唱えながら分析したものである。
夏目漱石のうつ病は有名だ。しかし巷では幻覚を伴うことから統合失調症(精神分裂症)と言われてきたが、岩波明さんは幻覚や妄想を伴う「精神性うつ病」と診断する。漱石の凄いのは、病気がひどくなっても名作を次々と書いていたところだろう。
愛人と心中した有島武郎も、恋愛は心中の原因ではなく自殺のキッカケだったろうと診断する。有島武郎は、自らを否定する典型的なうつ病だった。「生まれずる悩み」の高潔な人格からどうして心中に至るのか不思議だったけど、納得した気分になった。
芥川龍之介の自殺は、長いこと私の謎だった。時代に殺されたのか?しかし、昭和の閉塞感が始まるずっと以前から彼は長いこと病気だった。岩波明さんは適切な薬を処方していれば、この稀代の文学者は生き残ったのではないかと言う。一般的に言われている芥川統合失調症説は説得力ある根拠で否定する。一部に言われている青酸カリ自殺も否定する。彼はうつ病だった。身近なトラブルが彼を追い込んだにせよ、時代が殺したわけではない。後に彼の文学を読むときの参考になりそうだ。
宮沢賢治を躁うつ病で分析しているのは、大きな間違いではないとは思うが、あまり参考にならなかった。確かに若い頃の短歌や詩に幻想或いはホラーの描写はあるが、それは病気が描かせたとは誰も思わないだろう。死因も明らかに病死である。
太宰治が心中を繰り返したのは、明らかに時代のせいだった。この頃毎年数百人規模の情死(心中事件)が起きていた。その中で、太宰治も死ぬ理由をそこに見つける。ある批評家は太宰治を境界例(境界性人格障害)と決めつけているようだが、太宰は社会的適応能力は十分にあった。文豪だからこそ、遺した文章は多岐に渡り、関係者の証言も多い。それを精神科医の権威(東大教授)が診断するだから、間違いないだろうと思える。当時不治の病だった結核にかかり、実生活でもストレスが溜まった上での疲はい性うつ病で心中自殺をしたというのが、太宰治の場合の真実だったのだろう。
文豪の自殺や心中は、多くはうつ病が引き起こすものだった。適切な治療を施せば防げたものなのかも知れない。文豪は、しかしうつ病をも作品制作のエネルギーにしていた。痛し痒しではある。昨今のSNSに追い詰められた芸能人の自殺も、時代に追い詰められたのではなく病気だったし、適切な治療を施せば防げたのかもしれない。でもだからこそ素晴らしい演技が遺せたのだとも言えるかも知れない。本人は不本意だろうけど、それでも精神科にかかる勇気を持ってもらいたい。アメリカではとっくにそうなっている。
まぁ軽度アスペルガーの症状である「追い詰められると固まってしまう(〆切を守れない)」私が偉そーに言えることではない。因みに、先週発病した〆切守れない病は、この場で「お休み宣言」することで追い込んで最悪の場面は回避することができた。皆様のご協力有難うございました。しかし、「この手」はもう次回使えないだろう。果たしてどうするか?続きを読む投稿日:2022.04.10
精神科の医師である著者による、明治から昭和の文豪たちの精神分析。
「島田清次郎」のことは知らないことだらけ。投稿日:2024.01.31
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