本音で対論! いまどきの「ドイツ」と「日本」
マライ・メントライン(著)
,池上彰(著)
,増田ユリヤ(著)
/PHP研究所
作品情報
ドイツの学費は大学まで無料。出産費用もタダ――その一方で10歳前後にて、大学進学か就職かをある程度選択せねばならず、就活も存在しないため就職はかなりハード。一方仕事は、バカンスを約一カ月取得し、一人当たりの労働生産性は日本人よりも高いという事実。そして少子高齢化対策として難民を積極的に受け入れるドイツ。昨今は、ドイツ礼賛本一辺倒からドイツ批判の本も書店には並ぶ。メルケル首相の退陣が近づくなか、ドイツでは右傾化の動きも活発になっている。日本だけを見ていては見逃してしまう問題をドイツと比較することで、浮き彫りにしていく。本書は7章構成で各章巻頭には、各章の対論テーマ、それに付随する資料を掲載し、対論の内容の理解が進むように構成した。いまのドイツを知ることは日本を知ることに他ならない。社会人の教養として読むべき一冊である。
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商品情報
- 著者
- マライ・メントライン, 池上彰, 増田ユリヤ
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2021.08.26
- Reader Store発売日
- 2021.09.03
- ファイルサイズ
- 23.1MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (12件のレビュー)
-
「職業:ドイツ人」(引っかかるがちゃんと冒頭で解説してくれている)のマライ・メントラインさん、おなじみ池上彰氏と増田さんによる対談形式。初版が昨年の9月だからまぁまぁ情報は新しい。
マライさんの事は…今回初耳だったけど、会話の端々から知性や有能さが滲み出ている…二度の日本留学に加え、15年の在日歴でも「毀誉褒貶(きよほうへん)」って言葉が出てくるか?
自分が対談の場にいたらドイツの話よりも先に、彼女について色々聞き出そうとするかも笑(他のお二方の手前、聞かずじまいになるのがオチなんだろうけど…)
ドイツ国内の土地柄から対談は始まる。各地方を日本の地方に当てはめ、特に「同じドイツ語圏のウィーンは京都に似通っている」ってくだりは、行ったことすらないのに納得できた。その感覚がまた刺激的で面白い!
池上氏は相変わらず会話が解説になっていた笑
全章要約したいけど自分の技量では…(以下略)恒例の、特に気になった箇所だけ抜粋↓
【労働】
バカンス好きとかノー残業のイメージは前からあったけど、仮に残業したら別の日から残業した時間分を差し引く「時間バンク」って制度まで備わっている。ノー残業然り、そうやって長所ばかりに目が行っちゃうんだよなー笑 でも「日本は全然なってない」とか言って優劣付けちゃうのは違う気がする。
あちらはあちらで即戦力第一主義だったりと、就活面はなかなかに厳しそうだし。
【教育】
「(日本の学生は)出来合いの正解を求めている」マライさん…手厳しいけど的を得ています。テスト形式一つを取ってもそう。マークシート形式が一般的な日本で論述問題を出そうものなら、「採点基準は先生の主観だ」といちゃもんを付けられる。今まで意識してこなかったけど、「平等/公平」へのこだわりはここにも表れていたのかと。
平等を唱えているわりに、教育格差が出ちゃうプロセスもまた嫌らしい。
【政治】
わが国の首相が短期間で変わる理由について、以前別の本の著者が「彼らも日本人でシャイだから、顔を覚えられる前に辞めたがるんだ」ってジョークを飛ばしていたのを何故か思い出した。実際、戦後-昨年9月時点でドイツでは8名が首相を務められたが、対して日本は34名。
ドイツでは周辺国からも支持されるから長期政権化し易い。日本側だって勿論シャイな訳じゃないけど、世襲制に近いから変な義務感に囚われて長続きしないのかなと思えてくる。
…読後はまぁまぁ息切れ状態。
この世の諸問題を一身に浴びたみたいなのもあるけど、途中何度も立ち止まって考えていた。それだけ思うところがあったり、或いは曖昧にしたまま生きてきたんだと痛感したり。
同時に「隣の芝生は青い」と言いますか、お国事情が違う他国を引き合いに出す思考にも陥りがちだったのかと。
何が正しいのかをまずは自分の頭で考えアウトプット出来るようになっておかねば…と言うのが、何もかもが主体的な御三方を見て導き出した答えである。続きを読む投稿日:2022.05.10
第1章 日本とドイツ―それぞれの出会い
第2章 日独の働き方を考える―ドイツ人ノー残業伝説は事実なのか?
第3章 教育を考える―議論スキルを阻害するものは何か?
第4章 社会保障を考える―人は何を頼り…に生きるのか?
第5章 家族のあり方を考える―幸福の起点には何が必要か?
第6章 政治のあり方を考える―「非リア充の時代」が来るのか?
第7章 持続可能な社会に向けて―意地&見栄で加速してもいいじゃないか!続きを読む投稿日:2022.07.04
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