東京ホロウアウト
福田和代(著)
/創元推理文庫
作品情報
コロナ禍の中、オリンピック開催が間近に迫る東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と発生。さらには鉄道の線路が爆破され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの人々がひしめく東京は陸の孤島に――。この危機から東京を救うため、物流のプロ・長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!/解説=大矢博子
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商品情報
- シリーズ
- 東京ホロウアウト
- 著者
- 福田和代
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2021.06.11
- Reader Store発売日
- 2021.06.14
- ファイルサイズ
- 2.5MB
- ページ数
- 444ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (7件のレビュー)
-
あとがきによると『ホロウアウト』=『からっぽになる』という意味らしい。
福田さんお得意のテロによるパニックものなのだが、こういうテロがあるというのは非常に興味深く、いろいろ考えさせられた。
この作品…は単行本の刊行が2020年3月、私が読んだ文庫本の刊行が2021年5月なので、当時はまだオリンピックが現実に開催されるのか、開催して良いのかと落ち着かなかった頃だ。
作品ではオリンピック開催を直前に控えた東京で、配送トラック運転手を狙った青酸ガステロ事件が連続し、鉄道の線路が爆破、高速道路のトンネルで火災が起き…と東京周辺の道路が次々寸断されてしまう。
つまり東京が孤立してしまうのが犯人の狙いなのだ。
これまでテロというと大人数の人間が集まる場所を狙った爆破や毒ガス事件など、人を直接的に狙うものというイメージだった。あるいは小説などでは発電所を狙ったテロというものもあった。
だが物流やゴミ処理を狙ったテロというのは盲点だった。
確かに新型コロナウイルスが蔓延し始めたころのあの物流の混乱や狂騒を思い出すと、こういうことを人為的に引き起こす犯罪もあり得るだろうと思う。
作中に度々出てくる、物流とは人体を駆け巡る血液のようなものという表現。ゴミ処理もまた人体を駆け巡ったあとの排泄物として例えられるだろう。
物流システムが精密に組み上げられた交通のダイヤグラムのように、生産から私たちの手に届くまで複雑な過程を経ていて、その均衡が少し崩れるだけでたちまち崩壊してしまう脆いものだということも分かった。
それは人々の生活がより豊かに便利になるように考え抜かれたシステムなのだが、そこには配送トラックなどの物理的な手段はもちろんのこと、何より現場で働く人々の不断の努力があってのことだと改めて考えさせられた。
この事件の犯人はある意味そうした便利な生活の犠牲者でもある。
生きていくためには食べなければならない、物を使わなければならない。だが食べたからには出ていくものもあるし、物が壊れたり新しいものを買えばゴミも出る。
その食べていくためのものが手に入り、ゴミが適切に処理される。当たり前だと思っていることがいかにたくさん人たちの大変な努力により成り立っているのかということが何度も訴えられる。
この作品のヒーローは警察官ではない。配送トラックドライバーたち。
世良を中心にドライバーたちが協力しあって道路情報を交換しあったり、犯人を包囲していく終盤は楽しかった。
危機的状況になって身の危険を感じて逃げ出すドライバーも責められない。だが一方でその状況を何とかしようとそれぞれの立場で知恵を絞り実行する人たちもいる。
ちょっと上手くいきすぎな感もあるが、そうした爽快感もまた福田さんらしさか。
あとがきにある福田さんの懸念(もちろん私も当時は懸念した)を余所に、オリンピックは開催され、いくつかの問題やトラブルはありつつも終了した。オリンピック開催の是非はともかく、そこにもオリンピックに関わった膨大な人々の努力があったことを改めて思う。続きを読む投稿日:2022.01.24
物流トラックVSテロ犯罪
内容ももちろんおもしろかったが
日々私たちの生活のために生活物資を運んだり
日々の生活から出るゴミを処分してくれている
人たちに尊敬の念が深まりました
自分が知らない職業…を知れてとても勉強になったし
もし物流が止まってしまったらどうなるのか
怖い気持ちにもなった
そんな日の目を見ない業種の人たちが団結してテロ犯罪と立ち向かうのもよかった続きを読む投稿日:2024.02.13
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