子規の音(新潮文庫)
森まゆみ(著)
/新潮文庫
作品情報
三十五年という短い生涯ながら、明治期、俳句に短歌に果敢な革新運動をしたと評される正岡子規。彼が詠った詩句のなにげない情景は、いまなお読む者の五感を喚起する。松山から上京、神田、本郷、上野、根岸と東京を転々としたのち、東北旅行、日清戦争の取材を経て、晩年の十年を病に苦しみつつ「根アカ」に過ごした全生涯を、日常を描いた折々の句や歌とともにたどるユニークな正岡子規伝。(解説・角田光代)
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商品情報
- シリーズ
- 子規の音(新潮文庫)
- 著者
- 森まゆみ
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2019.11.01
- Reader Store発売日
- 2020.04.17
- ファイルサイズ
- 12.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
-
谷根千、上野あたりにゆかりの文学者について書いてきた森まゆみ氏だが、最後に子規を書きたい、一番、親愛と共感が深いからとのこと。
私事だが、夏井いつき著の「子規365日」を読んで、子規その人に興味を持ち…、子規本人の「仰臥漫録」を通り、最後にこの本に辿り着いた。
正岡子規は幕末に松山の貧乏士族の家に生まれ、大志を抱いて上京、最後に根岸に10年間住んでそこで死去した、その一生が書かれている。思い残すことはないというほどに。
子規といえば「病気なのに大食漢」「病気なのにネアカ」
生涯の親友、夏目漱石の「神経衰弱で胃弱」と、良く対比される。
性格の違いだろう。
生涯、バイタリティーにあふれ、何にでも興味を持ち、興味を持ったらやってみる人だったことが分かる。
・松山にて立身出世を望み、松山中学は自分のような大志を抱く者がいるところではないと罵倒して退学。
母子家庭だったため叔父を頼って上京した。
・まだ、藩士の子弟を藩が面倒を見る時代だったため、育英制度を利用し、ついに帝国大学へ入学する。
この頃俳句を始める。
大学では生涯の友・夏目漱石とも出会う。
真面目な漱石はきちんと卒業したが、自分のペースで興味のあることを極めたい子規に、ひとコマずつ教科が変わる学校という制度は合わなかったようだ。
・旅ばかりして、野球にも熱中。
しかし、生涯の病を得て喀血。
一生付き合うことになる病だが、創作の糧でもあった。
・子規の病をひどくした理由の一つは、病をおして従軍記者として大陸へ行ったことだろう。
武士の血を引く人。戦後の私たちとは考えが異なる。
新聞社の皆が戦地へ行くのに、自分だけ行けないのは男として情けない、と嘆かれ、誰にも止められなかったという。
・帰国して入院。ここで滋養のあるものを食べるよう言われ、家族や友人が食料を調達に走ったのが、後の子規の大食いのはじまりかもしれない。
・うつる病にもかかわらず、大勢の友人知人門人が子規の家を訪れた。
子規自身、人が来ないと寂しがった。
自分が遠からず死ぬことが分かっている。
死者が一番恐れることは忘れられることだ。
病気と果敢に戦い、何でも文章に記し、精力的であったが、自分の死後のことを考え、その後は力及ばないと焦ればこそ、妹にさんざん文句を言い、弟子たちに長々しい説教の手紙を書きもした。
痛い、痛いと声をあげて泣いた。
・ひじょうに人間くさい。
そんなところが愛されたのだろうか。
もういけない、というほど病状が悪化すると、弟子は子規の看病のために家族で近くに引越し、友人知人たちも3日に一度のローテーションを組んで交代で子規の家族を助けて看病をした。
何という人間関係だろう。
「子規の音」とは、体の自由を奪われ、かわりに研ぎ澄まされた感覚の一つ、彼の耳が病床で聴いた、かの日の東京の音である。
森さんも、子供の頃は聞いていた音。
今は様々な近代的騒音にかき消され、遠くに押しやられてしまい、または廃れてしまった、懐かしいもののひとつである。続きを読む投稿日:2020.06.24
とても読みごたえがある一冊でした。
作者が子規が辿った道を訪れていて私もやってみたいなと思いました。時代が流れ、まだその場所に残ってる店があるのはとてもありがたいですね。
病床の子規のもとにいろんな…人たちが訪れ、看病し、句会したりしてるのは当時の病気の観点から言えば近寄りたくないのでは?と思いましたが人柄なんでしょうか。色んな人に支えられ、また影響を与え、必死に生きた子規。子規の周りはとてもあたたかい。続きを読む投稿日:2023.02.09
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