この作品のレビュー
平均 4.4 (11件のレビュー)
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ビギナーズクラシック「紫式部日記」を買った時近くにあった。冒頭を読むと、~それにしても私の人生とは、なんとまあ次々と大切な人を喪い続けた人生だったろうか。思えば、この悲しみから目をそらすまいと決めたこ…とが、私を『源氏の物語』の作者、紫式部にしたのだ。・・
「姉君」の話をしよう。あれは長徳元(995)年、私がまだ若い娘で、父や弟と一緒に京の邸に暮らしていた頃のことだった・・ と始まる。
そう、これは山本氏が残された史料をもとに、想像を駆使して描いた『紫式部』の人生の独白なのだった。これがめっぽうおもしろい! ずんずん読み進めて一気に読んでしまった。
・・私は後になって書いた『源氏の物語』で、登場人物たちを次々に私と同じ目に遭わせた。光源氏は三歳で母を亡くし、六歳で祖母を亡くす・・
本文には独白の合間合間に「紫式部日記」、「紫式部集」の本文と読み下しが入る。独白の根拠を示している。これが私にはとてもしっくりきた。山本氏の解釈としての独白文が、なるほど、と真実味と凄みをもって迫ってきた。また歴史的出来事もはさんであるが、それらは「小右記」「権記」「御堂関白記」から「日本紀略」「今昔物語集」、また「枕草子」「蜻蛉日記」「古今和歌集」「栄花物語」などなどによって、心境を紡いだ。いやはや実に多くの史料を読み込んで書いてある。
私は和歌が苦手なのだが、当時は自分の心境を和歌によって現わしてしたのだ、ということがわかった。
「紫式部日記」では清少納言を悪しざまに書いている、と流布されているが、山本氏の解釈は少し違う。そこには清少納言と紫式部との漢詩への思い入れと解釈の深さの違いがあるのだ、とする。定子はじめ道隆一族、清少納言は、『香炉峰の雪は』の一文に見られるように漢文の素養があり、それが定子後宮を輝かしいものにしている。そして「枕草子」の存在で10年後の今になっても輝きが増している。それが『枕草子』の力だ。それに比べ彰子後宮は地味だ。彰子様もそれを分かっている。が、しかし定子後宮にとって、漢文とは風流な装飾品でしかなかった。漢文とはもっと自省的な深い意味を持つものなのだ、とする。
また、「紫式部日記」は4つの部分に分かれ、後段のつけたした部分は何故そうしたのか、その紫式部の真意を推理するのも日記を読む醍醐味です、とビギナーズクラシック「紫式部日記」で言っていたが、この「ひとり語り」では、娘の賢子のために書き足したとしている。賢子は父も早くに亡くし後ろ盾がない。あの子は女房になるしかない、と紫式部は考えていて、女房の心得をつけたしの部分で書いた、としている。
しかしこれを読む限り、紫式部と道長は、紫式部が『源氏物語』を書く以前には面識はなかった。大河はドラマなのであるが、ちょっと設定が大胆かなあ、という気もする。でも、倫子と紫式部は母方のはとこ同士、道長とは6代遡る冬嗣からの子孫。お互いの曽祖父の曽祖父が冬嗣なのだった。
単行本「私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り」角川書店2011.10 を文庫化したもの
2020.2.25初版 2022.11.25第7版 購入続きを読む投稿日:2024.05.04
例によって大河ドラマの影響で読んでいます。紫式部さんの内なる思いが肉声で聴こえてきそうなほどリアルな描写でスイスイ内容が入ってきました。肉声というか吉高由里子さんのお声で再現されてしまっていますが。笑… それはそれでまたドラマを楽しめるのでぜんぜん良しとします。続きを読む
投稿日:2024.03.24
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