Still alive まだ生きている 救急隊員が見た阪神・淡路大震災ドキュメンタリー・コミック
高田郁(川富士立夏)(原作)
,奈良郁子(作画)
/文春e-Books
作品情報
阪神・淡路大震災から25年。
消防官の葛藤を軸に震災下の人々を描いた、ドキュメンタリーコミックを電子復刻しました。
救急救命士の野上と、通信指令室に勤務する逆瀬。
1995年1月17日午前5時46分、突如起きた大地震に二人は対応しようとするが・・・・・・。
震災当時の「消防は何もしてくれない」という声は本当だったのか。
※この作品は、阪神・淡路大震災を経験した救急隊員への取材に基づいて作られたフィクションです。作品中の人物・団体はすべて架空のものです。
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商品情報
- 著者
- 高田郁(川富士立夏), 奈良郁子
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-Books
- 書籍発売日
- 1998.03.01
- Reader Store発売日
- 2020.01.17
- ファイルサイズ
- 42.1MB
※この商品はタブレットなど大きなディスプレイを備えた機器で読むことに適しています。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
阪神・淡路大震災を描いた作品です。
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奈良の被害はそう大きくはなかったものの、震度4(奈良)はこちらではめったに体験しないし、早朝と言うこともあり非常に恐かったことを覚えています。
しかし実際、被災された方々がどんなに辛い思いをしたか、被災者に対する心ない言動に辛い思いをさせられていたか、想像を超えるものがあったと思います。
この作品によって少しでも彼らの気持ちに近づけるのではないか..そんな風にも思いました。
この作品は、野上というT市の救急隊員、逆瀬という同僚の通信員、そして消防士の娘美里の視点からみた震災ドキュメンタリー。 救急体制の貧困さと助けたいのに助けられないジレンマに悩まされる救急隊員、被災者の様子やマスコミの暴力がリアルに描かれてます。
作中にもありますが当時、T市の消防車はたったの6台。この6台で救急隊員は瓦礫の下に生き埋めになった人たちを助けるために走り回ったのだそう。
通報のあった頭部出血多量の男性を助けるために出動した救急隊員が途中で瓦礫に埋まっている若い男性に出くわす。 周囲の人は当然「助けたって」と言う。救急隊員は「トリアージ」(災害時などの特殊な状況において、重症者を選別、助かる見込みのある者から優先的に治療・搬送すること)することを要求された。結局、目の前の若い男性を救出し、その後、最初に通報のあった男性のところに駆けつけたらその男性は息をひきとった後。
家族は「今更担架なんかいらんわい!なんで生きているうちに来んかったんや!(略)お前らや!お前らが殺したんや-!」と号泣。救急隊員は引き返し、こうつぶやく。
「担架が重いな。誰も乗せていないのにどうしてこんなに重いんだろう。」彼らの苦悩が痛いぐらいに伝わって、正直、読みながら涙、でした。
また、この作品は震災当時のマスコミの無神経さをも描いています。「煙がどんどんあがっていて温泉街に来たような感じがしています」...ひどい。だったらあんたら観光に来てるんかっ!ってつっこみたくなる。
そういえば当時、「こんな大地震が東京で起こっていたら...」とやたらテレビで言われていたのを思い出しました。まるで神戸だったからよかったといいたげな発言。聞いていた私は許せないと思ったのを覚えています。関西人として聞き捨てならん。
とはいえ、それらのような当時の悲惨な状況だけだったら重い作品で終わっちゃうんですが、阪急電車が復旧して走るシーンやラストで震災での救助活動から救急隊の仕事に対する誇りをもてなくなった野上救急隊員が仕事への誇りを取り戻すところでは救われる思いがします。
あれから12年。自然災害はどうしても避けられないもの、これらと今後うまくつきあっていくために地震に強い建物を作るとか救急災害体制をしっかりさせるなど、国や自治体の課題はまだまだたくさんありますよね。震災の犠牲になった方々の死を無駄にしないように、震災の教訓を今後にも生かしていかなければ!と思います。まずは防災グッズの準備から。
最後にこの震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りします。投稿日:2009.07.24
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