太平洋戦争の失敗・10のポイント
保阪正康(著)
/PHP文庫
作品情報
真珠湾攻撃に始まり、終戦の玉音放送に終わった太平洋戦争。国力のすべてを傾注して戦い抜いてた三年九ヵ月、しかしその結末はあまりに悲惨であった。大勢はすでに決しながら、多くの人的・物的損害を被ってなお遂行され続けた戦争。当時の戦争指導の諸相をつぶさに検証するとき、そこには近代日本の矛盾がすべて凝縮され、日本人のありのままの姿が見事にさらけ出されていると筆者はいう。大局の見失い、希望的観測に終始し、精神主義に陥り、現場の実情を繰り返されたミスリードの数々。その萌芽は、すでに大戦果をもたらした真珠湾攻撃の段階からあった。とくに連合艦隊指令長官・山本五十六が戦死すると、問題点・矛盾は急速に先鋭化していく。本書は、ミッドウェー敗戦、ガダルカナル撤退、アッシ島玉砕、インパールの惨劇といった代表的事例を中心に、10のテーマをもとに失敗の本質を鋭く分析、日本と日本人に痛切な教訓を投げかける力作評論である。
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商品情報
- シリーズ
- 太平洋戦争の失敗・10のポイント
- 著者
- 保阪正康
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 1999.12.01
- Reader Store発売日
- 2019.08.09
- ファイルサイズ
- 12.5MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (5件のレビュー)
-
(2006.08.27読了)(2006.06.17購入)
先に読んだ「失敗の本質」では、作戦や戦闘について詳しく書いてあったけど、よくわかりませんでした。この本は、分かりやすいのですが、知りたいことが…十分書いてあるわけではないので、ちょっと物足りなさが残ります。でもこれぐらいが丁度いいのかもしれません。
聞きなれない地名が出てくるので、地図を見ますが、日本からかなり離れていることにびっくりしてしまいます。ミッドウェーは、日本からハワイへ向かう途中にあります。ガダルカナルは、ニューギニアの東の方にあります。ラバウルは、ガダルカナルより、ニューギニアに近いところにあります。ちょっと南下するとオーストラリアがあります。アッツ島とかキスカ島は、北の方、アリューシャン列島の西の端です。
インパールは、インドです。ミャンマー(ビルマ)との国境に近くはありますが。ルソン島、レイテ島は、フィリピンです。グアム、サイパン、硫黄島は日本の南のほうですが、フィリピンよりは東のほうにあります。こんなに広げたら守りきれないとは考えなかったのでしょうか?短期決戦のつもりだから、守ることなど考えるわけないだろう!
●捕虜としての扱い(29頁)
特殊潜航艇に乗っていてハワイで捕虜になった人の話では、アメリカは国際法の枠内で捕虜を守ると告げられ、実際にその通り扱われてびっくりしたということです。
国際法を遵守しなければならないというのは、日本にはその当時、考えとしてなかった。(南京事件の原因もこの辺にあるのではないでしょうか。)
●ミッドウェーの敗因(49頁)
負けた理由としては、一つには暗号が解読されていて、日本の作戦情報が筒抜けになっていたという事実が挙げられます。日本海軍の暗号がアメリカに解読されていて、機動部隊がどのように行動を起こすかを、ミッドウェーのアメリカ軍は知っていた。
●戦死ではなく餓死(80頁)
ガダルカナルには延べ6万人のアメリカ兵が投入されましたが、その中で死んだ兵士は約千人、戦闘で傷ついた人が、およそ4千5百人といわれています。これに対して日本は3万2千人の兵士が参加して、2万4千人が戦死、戦病死、もしくは行方不明。この2万4千人もの人の中の、大半は餓死をしているという記録が残っている
●輸送船は潰す必要がない(96頁)
第一次ソロモン海戦の時、第八艦隊がアメリカの機動部隊と戦って大きな戦果を挙げた時、輸送部隊まで徹底的に壊滅するという作戦を採らなかった。海軍の方針としては、基本的には艦隊決戦であるから、輸送船まで追い掛け回して潰しても、あまり意味がないと判断して引き上げてしまう。
●山本五十六は即死ではなかった(129頁)
山本五十六が前線視察のために飛行することをアメリカ軍は日本軍の暗号を解読して知るとブーゲンビル上空で待ち伏せし、撃墜してしまいます。
ブーゲンビルには日本の陸軍28連隊が駐留しており、落ちた飛行機を見つけます。山本五十六が死んでいるのを確認したところに、海軍の捜索隊がやってきて、後を引き受けます。海軍が作らせた死体検案書には、心臓のところにピストルを打ち込んだ後があって、白い背広を着ていましたから、そこだけ血で赤くなっていた。
●捕虜も敵に損害を与える(136頁)
アメリカやイギリスといった連合国では、精一杯戦って捕虜になるのは決して不名誉ではない。捕虜には食事を提供しなければいけない。居住空間を保障しなければいけない。捕虜になる事は、ある意味で敵に大きな損失を与えるわけです
●戦果の確認(231頁)
アメリカは、攻撃の後に確認のための航空機を飛ばして、その空母の名前から、今何度の角度で沈んでいる、最終的に沈んだのは何時何分とすべて写真にとって確認し、それを戦果にする。当時の日本にはそこまでの余裕はなかった(戦果を過大に報告していたというよりは、自分でも信じていたのでしょう。確認もせずに。)
著者 保阪 正康
1939年 北海道札幌市生まれ
同志社大学文学部社会学科卒業
ノンフィクション作家、評論家
一連の昭和史研究で菊池寛賞受賞
☆関連図書(既読)
「南京への道」本多勝一著、朝日新聞社、1987.01.20
「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20
「七三一部隊」常石敬一著、講談社現代新書、1995.07.20
「失敗の本質」戸部良一・寺本義也・他著、中公文庫、1991.08.10
「長崎の鐘」永井隆著、中央出版社、1976.06.20
「五十年目の日章旗」中野孝次著、文春文庫、1999.08.10
「極光のかげに」高杉一郎著、岩波文庫、1991.05.16
「収容所から来た遺書」辺見じゅん著、文春文庫、1992.06.10
「戦場から届いた遺書」辺見じゅん著、NHK人間講座、2002.12.01
「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
(「BOOK」データベースより)amazon
真珠湾攻撃に始まり、終戦の玉音放送に終わった太平洋戦争。国力のすべてを傾注して戦い抜いた3年9カ月、しかしその戦争指導には多くの問題があった。大局を見失い、希望的観測に終始し、精神主義に陥り、現場の実情を観ずに犯したミスリードの数々…。今なお日本と日本人に痛切な問題を投げかける10テーマから、その失敗の本質に迫った傑作評論。続きを読む投稿日:2010.02.14
太平洋戦争に関する10の論点を大きな視点でとらえて、簡潔に穏やかに解説してくれます。
ミクロな知識を得るというよりも全体的、マクロ的にみた位置付けを理解するのに適しているように思います。
戦争指導者に…対する一面的な批判をするのでなく、政府、軍、国民、いろいろな角度から公正に検証を重ねている印象です。
良書だと思います。続きを読む投稿日:2021.02.10
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