小説
宮尾登美子 電子全集
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平家物語への思いを綴った随筆と、数少ない中短篇を収録。少女小説誌に掲載していた“幻の秘蔵作”も本邦初再録!
『宮尾本 平家物語』を脱稿した後に執筆した随筆『平家物語の女たち』は、平清盛を育てた祇園女御、清盛の妻・時子をはじめ平家物語に登場した女性たちの生き様を物語に添って紹介。平家の女性たちに寄せる宮尾の思いを綴っている。もう一つの随筆『義経』は、『宮尾本 平家物語』とともにNHK大河ドラマの原作にもなった史実や伝説などを織り交ぜながら、宮尾の抱く義経像が描かれて興味深い。
中短篇集『影絵』は、昭和37(1962)年に第5回女流新人賞を受賞した『連』、1970年代に発表された『卯の花たくし』『影絵』『夜汽車』の4篇を収録。短篇集『菊籬(きくまがき)』は処女作『村芝居』、『菊籬』『宿毛にて』など初期と円熟期の8篇をまとめた。短篇『舞い扇』は、宮尾が夫とともに高知から上京した昭和41(1966)年に創刊された少女小説誌『別冊 女学生の友』(小学館)に掲載され、今回が初再録となる。
付録は、『平家物語』の朗読や平家の女性たちをテーマに講演を行なっている元・NHKアナウンサーの加賀美幸子さんに『平家物語』の魅力を訊く。また、宮尾が上京間もない頃に、前田とみ子の名で少女向け小説『舞い扇』を書いていた時代をなぞらえながら、川村湊が解説する。
※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
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栄枯盛衰に翻弄された女たちの悲哀も描いた、宮尾本の後半を収録。インタビューは友人の野田弘志画伯にインタビュー!
宮尾の見事な筆致が際立つ、「三 朱雀之巻」では、栄華を極める平家一門の没落への序章が描かれる。その幕開けとなるのは、源頼朝の挙兵だ。幼い安徳天皇を擁して福原に遷都していた平家は、富士川に軍を進めるが、水鳥の音に怯えて敗走。再び都を京都に戻した清盛は、熱病で死去する。時子は清盛の遺言を偽り、平家一門の奮起を促す。しかし北国で木曾義仲が挙兵し、惨敗した平家は西国への逃避を決める。
「四 玄武之巻」では都落ち、一ノ谷の戦い、壇ノ浦の戦いなど、物語の見せ場が展開されていく。幼い安徳天皇と三種神器を戴いて都落ちした平家の女性たちが過酷な運命を辿る中、時子は平家の血筋を皇統に残すため謀を巡らす。乱世に翻弄された女たちの生きざまが胸を打つ最終巻だ。
付録は、宮尾がこの執筆に専念するため、北海道に移住するきっかけをつくった友人、画家・野田弘志さんに宮尾の素顔を訊く。また、2001年に北海道の山荘で収録された、宮尾のインタビューも再録する。
※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
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全四巻からなる本作品の前篇二巻を収録。付録は宮尾をリスペクトする作家・玉岡かおるへインタビュー!
鎌倉時代に著された『平家物語』は,平家一門の栄枯盛衰を流麗な和漢混交文で描いた軍記物語だ。七五調を主体としたリズム感溢れる文体は、琵琶法師によって語られ、後世の文学に多大な影響を与えた。宮尾は少女時代から親しんでいた『平家物語』に、自身の解釈を加味した『平家物語』を書きたいと願い、その思いが結実したのが『宮尾本 平家物語』である。平成17(2005)年放送のNHK大河ドラマ『義経』の原作にもされた。宮尾が『宮尾本 平家物語』の執筆を始めたのは73歳の時で、北海道有珠郡壮瞥町に山荘を建て、東京から移り住んで取り組んだ。平成11(1999)年11月から『週刊朝日』で作品の連載が始まり、原文にはない平家の女性たちの生きざまも描いた歴史絵巻を約4年の歳月をかけて完成させた。「第一巻・青龍の巻」では、栄達を重ねる平清盛と平家一門を支えるその妻・時子の姿を中心に描写。「第二巻・白虎之巻」では、時子の働きもあって清盛が天皇の外祖父となり栄華を極める一方、その横暴ぶりを綴る。
付録では自他ともに認める宮尾ファンで、半世紀前に『平家物語』を読んで感銘を受けたという作家・玉岡かおるに話を訊く。 -
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