20世紀の思想
加藤尚武(著)
/PHP新書
作品情報
マルクスからハイデガー、デリダまで、20世紀を代表する20人のエッセンスを解説。一冊で現代思想の全体像が見えてくる絶好の入門書。論理実証主義からプラグマティズムへ、現象学から解釈学へ、マルクス主義からコミュニケーション理論へ、という三つの流れから、今世紀を代表する哲学者の思想を取り上げ、方法論なき時代の見取り図を描く。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 20世紀の思想
- 著者
- 加藤尚武
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 1997.12.01
- Reader Store発売日
- 2018.02.09
- ファイルサイズ
- 2.4MB
- ページ数
- 248ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.6 (8件のレビュー)
-
20世紀の哲学と言うが、その流れの源流を捉えるために、ミル、ニーチェ、マルクスが取り上げられている。著者はヘーゲルを始めとしてドイツ観念論を専門としているようだ。地味に本文の末節として記されていたデカ…ルト以後始まったとされる心身二原論は、ドイツ観念論哲学者らが遡ってデカルトに源流を見つけただけであり、実際にデカルトが源流であったとは考えられない、といったあたりには唸らされる想いだった。著者はわりに淡々とつづって行ってしまっているけれど、所々に長年研究を続けてきた著者だからこそわかる含蓄がこめられているように思う。とはいえ、著者の姿勢にはいくらか疑問を覚える。著者は一体何を目指しているのか?その思想が序盤は読み取れず困惑した。ことごとく哲学者らを批判していく著者。20世紀哲学(マルクス主義、コミュニケーション理論、現象学、解釈学、論理実証主義、プラグマティズム)はどれもこれも「真理」なるものを見つけようとして、ことごとく失敗している。一つのモデルが壁にぶつかるたびにそれを否定し超克するモデルをつくりあげるが、実際に弁証法的にそのモデルが超克を果たしているかというと疑念を抱かざるを得ないと著者は言う。鷲田、竹田を初めとして現在日本では一定の価値を評価されている現象学も、著者は「彼らは言語でつくられたイメージを根源的現象だと捉えているとしか思えない」として批判している。確かにそこに現象学の弱点があるようにも思う。現象学は一定のレベルで説明できなくなり、だからこそ現在は他者という存在に頼ろうとしているのかもしれない。他者に頼ることである種の限界を超克する。他者に頼らなければそのイメージ=イデアみたいなものはどう生じるのか?といった壁に突き当たるはずだ。
では著者が本書で目指しているものは?と考えて、ようやくその答えらしきものが終盤になって見えてくる。著者は闇雲に哲学者や思想家は批判していたわけではない。著者は哲学は世界認識というモデルを越えていかなければならないとしているのだ。つまり具体的な問題が頻発している現在、世界認識という一種一歩距離を置いたところであれこれ悩んでいるのではなくて、むしろ、今現在の問題に対して哲学者は自然科学と人文、社会科学間の溝の橋渡しとならなければならないと考えているようだ。要するに今現在の著者は科学哲学サイドにいるということだろう。だが、科学哲学がポストモダン思想などによって科学側から見向きもされなくなっているというのもまた事実であり、著者はかなり苦しい現況を見すえて本著を記しているのだろう。とはいえ、著者は基本的に左系なのかしら?と思わされる。ヘーゲル、マルクスの流れは評価しているようであるし、科学哲学も評価しているようなので、哲学は社会制度を汲むべきであるし、働きかけるべきでもあると考えているのかもしれない。逆に西田や丸山についてはかなり厳しい。西田は二元論を超克するというイメージを持っているがそもそも西欧は二元論の壁に悩まされ閉塞しているわけではないし、丸山にいたってはありとある丸山の考え方が資料不足などからずれておりてんで的外れの主張をしているとして一蹴している。著者は結局のところ、アプリオリやアポテリオリ、総合命題、分析命題などといったものを判別すること自体が不可能であるとし、哲学をかなり現実的なレベルに持っていくためにヴィトゲンシュタインよりもさらに先を行きたそうではある。ヴィトゲンシュタインは哲学を終わらせるために論理実証主義を唱えたようだが、それも結局のところは無理やりな押し付けに過ぎなかったと著者は言うのである。真理がないとするならば真理はなくともよい、だがこれまでの哲学には必ず何か大切なものが含まれているはずである、その部分を選り抜いて現実的問題と折衝させられうるものを作り上げようではないか?とする著者の主張がうっすらと伝わってくる。とはいえ、言葉の間のずれだとか、深い意味合いだとかを理解しようとすると本著はかなり難解な内容となってくる。続きを読む投稿日:2011.06.20
1 J.S.ミル:多数者による少数者抑圧の危険性→「他者危害の原則(harm to others principle)」…政府や公共の機関は、個人の生活に対して、刑罰等を通じて干渉を加えるときには、そ…の個人の行為が他者に対する危害を含む場合に限られるべきである」
2 マルクス
3 ニーチェ
4 フロイト
5 フッサール
6 ハイデガー
7 サルトル
8 レヴィナス
9 デリダ
10 レヴィ=ストロース
11 フーコー
12 ラッセル
13 ウィトゲンシュタイン
14 クーン
15 ロールズ
16 ハバーマス
17 西田幾多郎
18 丸山眞男続きを読む投稿日:2018.11.18
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。