デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)
西井敏恭(著)
/翔泳社
作品情報
企業と顧客が「直接」対話する時代の「デジタルマーケティング」に本当に必要なこと新規顧客と継続顧客の育て方、デジタルコミュニケーションの基本が1冊になりました!売上は顧客がもたらすもの。しかし、一言で「顧客」といっても、・はじめて買ってくれた人・一度買ったきり、関係性が途切れた人・何年も継続して買ってくれている人……など、顧客状態や関係性はさまざまです。本書は、いわゆる「新規とリピート」の観点から顧客について多角的に分析。デジタル時代における、新規顧客と継続顧客、さらにはロイヤルカスタマーをどのように生み出し、デジタルの接点を通じてコミュニケーションし、強固な売上の土台を築いていくか、その基本的な考え方をまとめました。【著者紹介】ECをはじめとするデジタルマーケティングの第一線で活躍する西井敏恭氏(オイシックスドット大地株式会社 執行役員、株式会社シンクロ代表取締役社長)が、自らのビジネス体験をもとに、実践的なノウハウを語ります。ECはもちろん、顧客と直接コミュニケーションするデジタル時代のマーケティングに携わる方に必須の基礎知識が満載です。【目次】1章 デジタルでマーケティングは何が変わったか2章 顧客と売上を「新規」と「リピート」に分解する3章 「F2」の壁を超えるには4章 CRMは心理学である5章 「広告費は売上の10%」は正しいか6章 優先度の高い広告をやり切る7章 サイト改善とKPI8章 選ばれるブランドになるには9章 社内調整とチームづくり※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
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この作品のレビュー
平均 4.1 (19件のレビュー)
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大切なのは、1年目の新規顧客が、2年目も継続しているかを確認すること。新規のお客様からどのくらい売り上げがあるのか、継続顧客からどれくらい売り上げがあるのかというように売上を分解してみる。
1回招待…できて、そのあと自分で商品を買うまで(F2)までが新規。
F2転換率のところがもっともインパクトが大きい。その後のF3転換率は同じくらいになる。
F2をいかに引き上げられるかがポイント。続きを読む投稿日:2023.05.05
でも、マーケティングという言葉はふわっとした感じで使われることが多く実はちゃんと答えられる人はほとんどいないんですよね。本やウェブで調べてみると、様々な定義がありますが、ウィキペディアの「マーケティ…ング」の項にはシンプルに「売れる仕組み」という言葉が出てきます。その面接で私は「マーケティングとは売れ続ける仕組みづくり」と教えていただきましたなぜなら、自社の製品やサービスは一度売れば終わりではないからです。
マーケティングという言葉について、 もう一人、私に示唆を与えてくれた人がいます。現在所属しているオイシックスドット大地の高島社長です。高島さんはマーケティングを「買いたい気持ちづくり」と定義しています。今まで企業が主体となって「どう売るか」だったマーケティングの世界が、デジタル化によって消費者も情報発信の主体になったとき、企業の「売りたい気持ち」というのは見透かされてしまうようになった。だから、マーケティングは企業の売りたい気持ちをどのように消費者の買いたい気持ちに変えていくかだと。
マーケターの目線としては「どう売るか」ではなくて「買いたい気持ちをどう作るか」。さらに言えば、「買いたい気持ちをどう作り続けるか」が重要になってくるのです。
■デジタルマーケティング施策の重要度
【最重要】
SEO、SEM、メールマガジン、アフィリエイト、スマートフォン最適化、アクセス解析
【重要】
メールマーケティング、SNS
【進化】
ビッグデータ、DMP等
【次世代マーケティング】
AI、AR、VR
■デジタルの3つの特性
・検索性:検索ができること
・双方向性:企業だけでなく消費者も情報発信ができること
・即時性:その日その瞬間の状況に合わせたコミュニケーションができること
この「2回目も買いたい」という体験がすごく重要で、2回買ってくれると3回目まで買ってくれるお客様の割合は60~80%くらいになったりします。つまり、長期的に1年以上使い続けていただくためには、まずは2回購入してもらうこと。そのための施策を「F2転換施策」と言います。
ここまでは従来の通販の世界などでよく言われる「F2転換」の説明です。ただ、私自身はF2に関して少し違う見方をしています。どういうことかというと、いわゆるF2は、実は新規に近いのです。広告で新規顧客を獲得し、クーポンで2回目を買ってもらうといったところまで私自身は「新規」と呼んでいます。
結局このF2転換率のところが最もインパクトが大きいんです。会社によってはF2転換率が5%のところもあるかもしれない。でも、この5%を10%と2倍にできれば、その後の数字も同じように上げることができます。
商材にもよりますが、30~60日以内に再度購入しない場合は、その後のリアクション率は大幅に下がります。つまり自社の商品やサービスではどの期間までだったらF2転換しやすいかを理解することが大切です。特にF1としてはじめて購入した状態に近いうちに、なるべく早く施策を実施する必要があります。
…
答えは「お試しセットがなくなる前」、つまりお試しセットを申し込んでから8~9日目です。商品がなくなる前というのも大事ですが、何もしなくてもお客様が2回目を買おうと思っているそのピークのところで、いかにタイミングを逃さずにグラフのラインを上に持っていけるかがポイントです。
商品と密接な関係があるのが、コミュニケーションの中身です。たとえば、旅行代理店ではじめての南米旅行を申し込んだ人がいるとします。はじめて南米に行くので不安だけと、行きたいから思い切って申し込んでみた。それなのに、出発するまで旅行会社から何の連絡もない。やっとメールが来たかと思えば「入金してください」という内容だったとします。それって最悪じゃないですか?
でも、南米に行くときの注意点とか、おすすめの服装や持っていくと便利なものを紹介するメールが、申し込んでから最初の5日間くらい毎日届いたとしたらうれしいですよねだから最初の段階で、いかにちゃんとコミュニケーションをとるか。特に最初の30日間が非常に大切になります。それなのに、うちのルールでは1週間に1回しかメールを配信できないことになっているという会社もあります。1週間ごとに1通、2通、3通、4通とメールが届いても、お客様からしたら、なぜそのタイミングでメールが来るのかよくわからない。
だから、まずはタイミング。いかに熱いうちにコミュニケーションをとるか。その次が中身です。南米旅行を申し込んだばかりなのに、「今度はアフリカもどうですか」なんてすすめるメールが来たら、「何これ?」ってなる。こういうのイヤですよね。申し込んだ直後というのは、お客様にとって不安でもあり、楽しみでもある時期です。だから、不安をして楽しい要素を増やせるようなコミュニケーションができれば、いい印象や信頼につながります。それはサプリメントでも、化粧品も同じです。
「お送りしたお試しセットは製造して1週間以内の作りたての商品です。届いたら早めにお使いください」と伝えれば、次の旅行のときまで取っておかないで使ってみようとなる。これ本当によくあるんです。お試しセットを旅行のために取っておくっていう使い方。でも何も説明がなかったらそうしますよね。そして結局、本商品の購入まで行かずにやめてしまう場合がすごく多い。F2転換にとっては、商品・タイミング・コミュニケーションが大事だということを忘れないでほしいですね。
私がよくやっているのは、はじめて利用してもらったお客様に「この度は登録していただきありがとうございます。弊社はこのようなサービスをしている会社です。個人情報は大切に扱いますのでご安心ください。発送の手配ができましたらすぐにご連絡します」という内容をすごくリッチなメールで送ること。これを画像が入らないプレーンテキストで送る会社が多いと思いますが、それだとお客様のテンションが下がってしまう。
さらに、発送手配ができた時点で、発送前に「手配ができました」と伝えるし、発送できたら「発送完了しました」と連絡する。届いたときに「お手元に商品は届きましたか?もし不備があればすぐに交換しますので」という連絡をする。最初にこういうことをきっちりやると、お客様にちゃんと誠意が伝わります。
実はオイシックスの社長は月に1回、お客様にヒアリングに行っています。お客様の家にあがって冷蔵庫とかを見せてもらう。注文している商品を見ると、魚を買っていない。この家は魚が嫌いなのかなと思っていると、冷蔵庫に魚が一杯あったりする。「どうしてですか?」とヒアリングしていくと、そこから新しいサービスができることもあります。
社長が家に来たら、お客様がびっくりするのではと思う人もいるかもしれません。でもそれが面白くて、「社長が家に来た」といって喜ぶ人が多いんですよ。そしてそれがまたリピートにつながったりする。意外な副産物なんですけど、考えてみたら確かにうれしい。だってそうじゃないですか。ある会社のサービスを利用していたらその会社の社長秘書から「ユーザー調査をしているので、今度行かせていただいてもいいですか」と電話がかかってきて、本当に社長がやってくる。そうしたら絶対その会社のファンになりますよね。だからお客様へのヒアリングは経営者自らやったほうがいい。
私が新規プロオーションを設計する際に、最初に改善するところがあります。それは、商品の注文完了メールです。はじめて商品を買ってくれた人に「ご注文ありがとうございました」というメールはどの会社でも送りますよね。でもモール系のショップの場合、文字だけの、誰も読まないような注意書きが一杯書いてあるメールが送られてくることが多い。そういうメールを、いかに自社が伝えたいことに変えるか。お客さんの不安を解消し、期待している情報に変えていくか。
ここまでのまとめ
1.自社のお客様を分析して、リテンション状況を把握する
2.リテンションの中でも、F2を重視して施策を実施する
3.F2だけでなく、ロイヤルティを上げて使い続けたくなる仕組みを作る
4.入口の体験を設計して、適切な広告費を算出する
一般論ではありますが、カートのところだけはちゃんと改善されるべきです。商品をカートに入れてから、離脱しているユーザーと購入完了しているユーザーの比率を見ると、購入完了ユーザーの割合は普通で50%くらい。いいサイトだと60%、悪いと30%くらいになる。この数字が下がるのは購入を完了する途中で、何らかの要因があって購入する気持ちが低くなってしまっているからなんですよね。続きを読む投稿日:2022.08.18
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