梅原猛、角川春樹、吉本隆明、石川好・・・文学、歴史、思想等について中上健次が熱く語る対談集を完全収録。『君は縄文人か弥生人か』の対談相手・梅原猛とは、晩年近くに交友があった。死の半年前の1992年5月、故郷・和歌山県新宮市で、中上は梅原、原田芳雄(俳優)らを招いて、御燈祭りセミナーを企画したが、腎臓癌治療のため慶応病院に緊急入院、やむなく参加を見合わせることになった。『俳句の時代』は、角川春樹との3回の対談。サブタイトル「遠野・熊野・吉野 聖地巡礼」の通り、場所を移して行われた。中上健次の紀州熊・・・
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数多くの対談をこなした作家・中上健次。文学者、女優、アーティスト、音楽家・・・・・・、96の“危険”な対談&座談を完全収録。
1980年までに編年体の「全対話」を2冊刊行した中上健次は、数多くの対談をこなした作家として知られ、徹底的に時代と相渉る作家の試行錯誤の跡そのものであった。
文学者だけではなく、ある時は女優と、ある時はアーティストと、またある時は音楽家と作家は飽くことなく語り続けた。そこには、外交辞令のかけらもない。
中上的な愛嬌とサービス精神に対話者は瞬く間に打ち解け、中上の発するオーラの圏内に引き込まれてしまう。それは、石原慎太郎だろうと、蓮實重彦だろうと同じである。
80年代文学論から風土論、安吾論、セリーヌ論まで、中上の射程はどこまでも延びてゆく。黒田征太郎を相手に、「俺がいちばん危険だ」と語るこの物騒な作家は、だが誰よりもデリケートな感性を、そこかしこで披瀝もしている。高橋三千綱に対して「お前の小説を読んでると、こいつはやっぱり戦争がほしいんだなっていう感じがする」と語るとき、彼は「戦争を知らない子供たち」の一人として、その世代意識の死角を鋭く突いていたのだ。
だから、放たれた矢が自身に返って来ることを作家が意識しなかったはずはなかった。やはりどこまでも中上は、危険な男なのである。
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※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
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梅原猛、角川春樹、吉本隆明、石川好・・・文学、歴史、思想等について中上健次が熱く語る対談集を完全収録。
『君は縄文人か弥生人か』の対談相手・梅原猛とは、晩年近くに交友があった。死の半年前の1992年5月、故郷・和歌山県新宮市で、中上は梅原、原田芳雄(俳優)らを招いて、御燈祭りセミナーを企画したが、腎臓癌治療のため慶応病院に緊急入院、やむなく参加を見合わせることになった。
『俳句の時代』は、角川春樹との3回の対談。サブタイトル「遠野・熊野・吉野 聖地巡礼」の通り、場所を移して行われた。中上健次の紀州熊野サーガ(物語群)の符牒「(夏)芙蓉」をめぐって角川は、自らの「言語感覚」との共通点を、「キーワードは〈芙蓉〉なんだよ」の一言に集約させている。中上健次は、熊野大学定例の俳句吟行では、専ら講評に徹したが、現代作家には珍しい本格的な俳句鑑賞者だった。
『解体される場所』は吉本隆明、三上治との鼎談で、昭和の終焉後に行われた。ここでの解体される場所とは、旧左翼的な尻尾を引きずった戦後思想、文学の理念のことであり、またサブカルチャー的なものに浸透された文化の総体も指していた。
その他、ノンフィクション作家・石川好との対談『アメリカと合衆国の間』、各種インタビューも収録。
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