ドキュメント 太平洋戦争への道
半藤一利(著)
,土門周平(解説)
/PHP文庫
作品情報
歴史の真相を探るとき、そこには必ず「そこに至るまでの過程」と、「その原因となった火種」を見出すことができる。昭和16年12月8日未明の真珠湾奇襲に始まる太平洋戦争開戦にも、もちろん「そこに至るまでの過程」があった。本書は、日本がなぜ、太平洋戦争開戦を決定するに至ったのか。その過程を克明に描いた歴史ドキュメントである。一般的に「太平洋戦争への道」といえば、満州事変から論じられることが多いが、著者は「“海軍がなぜ開戦にノーといえなかったか”遠因をさぐるため」に、あえて昭和5年のロンドン海軍軍縮条約批准をめぐる統帥権干犯問題を第1章においている。それは、「複雑に絡んだ昭和史の謎を解く鍵は統帥権という“魔物”にある」からだという。手記や資料から歴史的事実のみを徹底的に拾い出しつつ、11年間におよぶ昭和史の転換点をドラマのように活写した文章は、長年『文藝春秋』の編集に携わった者の芸そのものである。
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商品情報
- シリーズ
- ドキュメント 太平洋戦争への道
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 1999.04.01
- Reader Store発売日
- 2017.09.08
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 392ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
-
膨大な資料に基づく半藤一利ワールドはさすが。失礼な書き方かと思うが、昭和天皇の人間らしさの部分がよく出てきて面白い。この人の持論としては、海軍が腰抜けで陸軍強硬派を抑えられなかったのが太平洋戦争開戦で…あるというもの。 我々の世代にとって太平洋戦争は資料でしかほぼ知りえないものであるので、色々な側面から見つめ直してみるのが良いでしょう。 とは言え、ここまで太平洋戦争に至るまでの過程を大局的な観点から語ることができるのは氏ならではである。 なお、読み物としては一級品。さすがの筆致である。続きを読む
投稿日:2017.04.27
このレビューはネタバレを含みます
このところ、ずっと近代史(主に戦争について)の本やドキュメンタリーを読んだり見たりして勉強してきたが、この本には詳細かつ複雑な情報が山盛りで、読み通すのに時間と根性が必要だった。
レビューの続きを読む
この時代の戦争への道…を見る時、情けないのは、誰も本気で戦争をする気がなかったにも関わらず、だれも戦争を止められなかったのではないか、と思えるところだ。希望的予測と甘い判断で、戦争に突入してしまった。
また、戦争を後押ししたものとして国民感情があるが、それを形作られるのにメディア(新聞)が大きな役割を果たしていたことだ。大衆は煽られやすく、一方向に傾きやすい。判断は情報に左右される。今のマスコミも腰抜けで、政府への批判はないに等しい。よほど目と耳を澄ましていないと、グローバルな視野で判断することはできないだろう。
『「昭和史の転回点」はどこにあったのか』は、この本のサブタイトルだが、これを、ずっと考えている。これを、この先の未来に生かすことが、筆者の願いであったはずだ。
こうして読んでいて、暗澹とした思いになるのは、筆者が書いているように、結局、戦争が国力の争いであるということ。一度、始まってしまうと、国を亡ぼすまで終わりが見えてこない、ということ。
ここから今のウクライナ侵攻について考えると、ロシアが強大な国力を持つ国だけに、経済制裁をしても効いてはこないし、戦争の終わりまでには、まだまだ長い時間がかかるのではないかと思えることだ。一方、ウクライナは小国だが、欧米を中心に世界が結束して支援をしているため、簡単に国力の底が尽きることは考えにくい。
戦争など、起こしてはいけない。それが、どうして学べないのだろうか。
「『そうです。日本はこれらの条約をことごとく破りました。日本は公然たる戦争をやりました。満州の自衛とか自己決定とかいう議論はでたらめです。しかし日本は満州を必要とし、話は要するにそれにつきるのです』。しかし、このような人々は少数派に属する。日本人の大多数は本当に彼ら自身をだますことについて、驚くべき能力を持っている(駐日大使グルーの分析)」続きを読む投稿日:2023.04.07
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