風の十二方位
アーシュラ K ル グィン(著)
,小尾 芙佐(訳)
/ハヤカワ文庫SF
作品情報
〔ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞〕銀河のかなたのフォーマルハウト第二惑星で、セムリは〈海の眼〉と呼ばれる首飾りを夫ダーハルに贈ろうとするが・・・・・・第一長篇『ロカノンの世界』序章となった「セムリの首飾り」をはじめ〈ゲド戦記〉と同じく魔法の支配するアースシーを舞台とした「解放の呪文」と「名前の掟」、『闇の左手』の姉妹中篇「冬の王」、ヒューゴー賞受賞作「オメラスから歩み去る人々」、ネビュラ賞受賞作「革命前夜」など17篇を収録する傑作集。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 風の十二方位
- 著者
- アーシュラ K ル グィン, 小尾 芙佐
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫SF
- 書籍発売日
- 1980.07.24
- Reader Store発売日
- 2017.04.28
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 528ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (27件のレビュー)
-
世界観や設定以上に、思索や詩情が印象的な短編集でした。というより、世界観や設定についていけなかっただけ、とも言えるけれども……。
短編集全体としてみると、正直読みにくかった。先に書いたように世界観が…つかみにくかったり、設定がよく分からないまま読み進めたものもいくつかあって、ル・グウィンは短編向きの作家ではないのかな、と最初は思いました。
ただそんな短編を読み進めていくうちに、なんだか深遠で厳かな気持ちになってくるような気がします。思索的な文章や物語の世界観が、分からないなりに伝わってくるからこそ沸いてくる不思議な感覚ともいうべきか。
以前読んだ同著者の『所有せざる人々』もなかなかに難しい内容だった記憶はあるけど、それでも読んでいくうちに惹きこまれていくものがあったのですが、この『天の十二方位』は短編集全体で一つのル・グウィンという作家自体の世界観を表しているようにも思います。一つ一つの短編は独立しているけど、どこか共通している詩情があって、短編を読み終えるごとにそれが染みわたっていくような、そんな感覚です。
分からないなりに印象的だった短編の話。
「セムリの首飾り」は童話のようなファンタジー。小人のような宇宙人を見つけた科学者たち。その小人たちがやってきた目的は?
西洋の昔話のような冒険譚と言葉や設定の数々、メルヘンチックな話でありながらも、時の流れの無情さなどを感じさせる。
「四月は巴里」冴えない学者の元に突然、別の時代の錬金術師が現れて……
突飛な展開の多いファンタジー作品ですが、時代やそして種族を超えた絆であったり、温かさが印象的な短編。
「名前の掟」は魔法使いが出てくる、ザ・ファンタジーといった内容で面白かったのだけど、明るいファンタジーではなくどこか重々しさが漂っていてそれも印象的だった。
「九つのいのち」クローン技術を扱った短編。これも話は難しかったけど、ずっと生活を共にしていたクローンがいなくなっていく中で、残されたクローンが何を思ったか。哲学的なことも考えさせられる思索的な短編。
「地底の星」
迫害された天文学者は、追手から逃れ鉱山で働くことになるが……
天文学者が鉱山労働者たちに天のことを語るシーンであったり、また天の星の美しさに魅せられていた天文学者が、天とは正反対の地底の銀の鉱脈の美しさに想いを馳せ、そこに星空と同じような美しさを見出していく様子が印象的だった。『天空の城ラピュタ』でパズーとシータが地下に逃げて、そこで飛行石の明かりに包まれるシーンがなんとなく思い浮かぶ。
「相対性」は樫の木が語り手。車に乗っていると車窓の風景が近づき、そして離れていくけれど、その感覚をユニークに、そしてどこか、重々しく神々しく描いた短編。切り口が面白かった。
「視野」は宇宙から帰ってきた後、光に過敏に反応するようになってしまった宇宙飛行士の話。これも解釈が色々と難しいけれど、人智を超えたものの神々しさと、そして怖さが印象に残りました。
「オメラスから歩み去る人々」は別のアンソロジーで既読でしたが、改めて読んでも考えさせられる。理想の都市オメラスで暮らす人々。しかしその都市にはある秘密があり……
初めて読んだときは、少数の犠牲と、多数の幸せ。少数の犠牲を割り切れない人たちの行動が印象的でしたが、改めて読んでみると語り口が絶妙で、この語り口ゆえ、読者にもある問いがなされていることが感じられました。誰かの犠牲や苦しみなくして、繁栄や幸福があり得ると思うか? と。
合う、合わないのある短編集だと思うし、面白い、興奮するといった価値基準で測れない短編集でもあった気がします。自分にもこの短編集が合ったのかどうかもよく分からないけど、それでも「面白くない」「わけわからない」と一概に切り捨てられない、どこか魅力的な短編集でした。続きを読む投稿日:2021.01.17
冬の王……!!
読み始め、ど、どういう状況……?とまったく理解できずうんうん言いながら読み進め、圧倒的な、
ラストで
喉がグッてなる そしてまた最初へ戻る
死角のない完璧な物語って、存在するのだと… ウギャー!闇の左手同軸続きを読む投稿日:2023.04.12
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。