新版 北朝鮮入門―金正恩体制の政治・経済・社会・国際関係
礒崎敦仁(著)
,澤田克己(著)
/東洋経済新報社
作品情報
2011年12月の金正日死去で始まった金正恩体制の北朝鮮は、
核・ミサイル開発の速度をそれまで以上に速めているように見える。
2016年1月には「初の水爆実験に成功した」と主張、
大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発も進展している。
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も実戦配備に近づいている模様だ。
北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本にとって直接の脅威となる。
国民的な関心の高い日本人拉致問題の解決も進んでいない。
日本の安全保障を考えるならば、北朝鮮を知ることは必要不可欠である。
隣国である以上、嫌いだから無視すればいいということにはならない。
本書では、何が問題なのかを知り、問題解決に近づけるために、
気鋭の研究者と新聞記者が、
金正恩体制、経済、社会、国際関係、核開発に至るまで、
日本人にとって理解不能に近い、謎に包まれる北朝鮮の全体像を
平易かつ網羅的に解説。
図表、用語解説、北朝鮮の憲法、関連年表、文献紹介など、
資料も充実しており、この一冊で北朝鮮のすべてがわかる!
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この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
-
【191冊目】情報の網羅性や内容からすると教科書・資料集的な位置付けにある本。しかし、通して読んでも耐えられるほどの物語性もある。北朝鮮の内政・外交・社会・対韓国・対米国・対日本の入門書として素晴らし…いと思う。
以下、読了直後で印象に残っていることを備忘的に。
・北朝鮮が核開発乗り出した要因として、同盟国であった中国及びソ連からの援助と安全保障の提供を期待できなくなったことが大きい。文化大革命時に金日成批判が中国で巻き起こったときはソ連に接近し、しかし、その後も米中国交正常化、米ソのデタント、ソ連崩壊、中韓国交正常化などなど。結局中国もソ連も頼れないと気付いたとき、米国に対抗にするため、核開発に走ったと見たら理解できそう。
・苦難の行軍と呼ばれた1990年代後半の経済危機を乗り切るため、北朝鮮は日本にも接近。拉致問題を認めたのも、この時期に日本からの援助を引き出すためという文脈に位置付けられる。
・韓国国民にとって、北朝鮮は恐ろしい敵であった。これは長年の反共教育の賜物でもある。しかし、金大中の太陽政策を経て、多くの情報と実情に触れることとなり、北朝鮮は援助と哀れみの対象ともなった。経済的な負担を回避したい多くの韓国国民にとって、現実的な望みは「半島統一」よりも「現状維持」である。
・イデオロギーが両国の紐帯の重要な部分を担っていた時代は終わり、中国が北朝鮮の完全な庇護者であった時代も終わった。中国は北朝鮮を対民主主義陣営の緩衝地帯とみなしており、より実利重視で現実的な目で見つつある。
あと、金正恩が強硬な姿勢を強めつつあり、トランプ大統領が誕生した今、北朝鮮とそれをめぐる国際情勢は新たな局面に入ったと言わざるを得ないだろう。続きを読む投稿日:2017.05.15
北朝鮮について包括的(政治・経済・軍事など)に書かれている本でした。
この本を読めば北朝鮮に対する基礎的な知識が身につくと思います。
日本が70年代ぐらいまで北朝鮮に好意的反応を示していたのは驚き…でした。続きを読む投稿日:2020.10.19
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