外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD
フレッド・ピアス(著)
,藤井留美(著)
/草思社
作品情報
よそ者、嫌われ者の生き物たちが失われた生態系を元気にしている! ?
生態系を破壊すると言われる外来種だが、実際には、環境になじめず死滅するケースが多い。定着したものも、むしろ、受粉や種子の伝播を手助けしたり、イタドリやホテイアオイなど、人間が破壊した生態系を再生した例もある。
著者は、孤軍奮闘する外来種の“活躍”例を、世界中から集めた。
「手つかずの自然」が失われている昨今、自然の摂理のもとで外来種が果たす役割を「新しい生(ニュー・ワイルド)」としてあえて評価する。
外来種のイメージを根底から覆す、著名科学ジャーナリストによる知的興奮にみちたサイエンス・ノンフィクション。
R・ドーキンス『利己的な遺伝子』共訳者で進化生態学者の岸由二氏による解説付き。
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この作品のレビュー
平均 3.4 (24件のレビュー)
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(01)
面白い、というのは、この本は大いに笑える(*02)という点で面白い。
確かに邦題は煽りが過ぎている。悪者かどうか、という価値観に著者の主張がそれほど左右されているわけではない。この邦題は、原…題の方にある副題"Why Invasive species will be nature's salvation"(外来種が自然界の救世主たりうるわけ)の反語表現にあたり、「新しい野生」"THE NEW WILD"には価値観は表明されているが、煽りはないといえるだろう。
したがって、煽り文句の「悪者」に殊更反応する必要はないが、しかし、本来の副題からしても、そこには、西洋の自然や野生に対する価値観、あるいは本書においても言及されているようにキリスト教的価値観に与えたダーウィニズムの問題、そして、外来で侵略的でも救世主でもある「ジーザス」こそが、新しいエデンを創造するという宗教的な読み方まで含まれている。
(02)
シニカルな物語、という点で本書に多数収められた説話は、悲しくもあり、とりわけ、現場から遠く離れた島国(*03)から冷めて眺めれば、笑えもする。その点で、愉快な小噺集としても読めるだろう。
それらの話が、現実か、科学か、捏造か、偏見か、という問題は、この分野に熱心に失心している世界のとある部分のごく少数の人類にとっては大いに問題ではあるが、さしずめ、大多数の人類にとって、この世界のこの野生は、まるでもともとの自然であり摂理(*04)であるかのようにさりげなく進行するので、真偽を論ずるまでもない。つまり、話が面白ければよいのであって、そこにある社会的問題や科学的問題は人類に関係がありはするが、関係ないものとして神視点から、話を楽しむことも可能だろう。
(03)
外来、というのが社会の問題であるのか、自然の問題であるのか、あるいは、有史以前の問題であるのか、歴史の問題であるのか、という視点で生態学、特に保護的な生態学の100年は進んだ。その100年でも世界では様々な外来種の侵攻や殲滅が進んでおり、実は、それより長いタイムスパンで、例えば1,000年、あるいは10,000年というスパンでも自然と思ってたものが、純でうぶな自然ではなく、社会に侵されたものであったという見解も本書では示されている。
例えば、柳田國男の「雪国の春」は、椿という種を通じて社会に寄生した自然の萌芽がこの島国にも芽生えていたことを伝えてくれている。つまり、人類が対象としてきた自然は社会的でもあり、社会はいつも変幻自在の自然とともにあったことも本書の数々のエピソードから読み取ることができる。
(04)
生態系のシステム論としても、本書は入門的なテキストとなる。共進化という旧モデルに対する新モデルとして提唱されるエコロジカルフィッティングというメカニズムや、そこに見られる自己組織化と「行きあたりばったり」の種の戦略は、読んでいて痛快である。
もちろん、「行きあたりばったり」で読者が連想するのは、レヴィ=ストロースが「野生の思考」で示したブリコラージュという思考機械である。この「行きあたりばったり」の言語学における展開(それは精密なものでなくても見の回りにもある方言や造語のような展開)も興味深いが、伝統的な建築における保存とは何か、生きられた家とは何か、という問題にも通じており、人類学、言語学、建築学からも読まれてみてもよい良書と言える。続きを読む投稿日:2017.04.08
「研究者、ひいては世界は外来種を悪者としてしか見てない」って決めつけてる文体。
自分の前提を疑うという科学にあるべき基本的な視線が欠如した状態で捲し立てる事に反発を覚えた。投稿日:2023.06.29
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