からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶
伽古屋圭市(著)
/実業之日本社文庫
作品情報
風采は上がらないが頭脳は明晰、発明家兼探偵の百栗柿三郎が、大正時代の浅草を舞台に、難〈怪〉事件に挑む! 柿三郎を支えるのは、女中兼探偵助手の千代、居候の小学生・玉緒、迷い犬のハチ。先進の科学知識を駆使して、“雪に閉ざされた密室の殺人”“屋根裏の住人の告白”“読めない脅迫状”“消えた工女”――四つの謎は解けるのか!? 往来で、懐かしい面影を見かけた千代は、それが女学校時代の友人・篠宮ふみだと思い当たる。たまらず追いかけるが、辻々で姿を消すその女性に追いつくことはできなかった。もう、駄目・・・・・・と思いつつ曲がった先で、千代が見つけたのは・・・・・・。 評論家各氏絶賛! 本格ミステリファン感嘆! 好評シリーズ第2弾!(解説/千街晶之)
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商品情報
- シリーズ
- からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶
- 著者
- 伽古屋圭市
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 実業之日本社
- 掲載誌・レーベル
- 実業之日本社文庫
- 書籍発売日
- 2016.02.15
- Reader Store発売日
- 2016.03.30
- ファイルサイズ
- 3.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
-
『からくり探偵・百栗柿三郎』続編。
発明家兼探偵の柿三郎先生が様々な謎を解いていく四話と、序章、幕間、終章からなる構成です。
通いだった女中の千代さんが住み込みになり、前作の事件に関わっていた玉緒ち…ゃんも同居して“表”に出ております(その先の“若紫”的展開には触れられていませんでしたが・・)。さらに、犬のハチも加わって、何だか楽しそうな「百栗庵」です。
前作でのご活躍のお陰(?)で、本書ではすっかり“名探偵”扱いの柿三郎先生。今回も安定の名推理を見せてくれます。
そして、女中兼助手の千代さんも第三話「さる誘拐の話」では、なかなかの謎解きを披露してくれます(勿論、柿三郎先生の補足は必須ですが)。
それにしても、この第三話の“オチ”にはやられました。読み終わった後タイトル見ると“あー、そういうことね!”と、思わず苦笑した次第です。
序章、幕間が布石となっている、第四話「櫻の中の記憶」は、切ないお話でしたね。
話中に登場した製糸工場の、とんでもハラスメント上役が本当にクズで酷い奴でしたが、実際当時の製糸工場のイメージも“超ブラック職場”だったっぽいな・・という印象です。働いていた女工(工女)さん達は激務だったでしょうね。
こういった女性事情や、第二話でネタになった少女小説など、大正の雰囲気も味わえる当シリーズ。さらなる続編を期待します。続きを読む投稿日:2022.03.16
気になったことなど
・エス: sisterの頭文字からきた隠語。1910年代より現れ、「お目」「おでや」などの他の隠語を抑えて一般化した。
・ たれ、だれ: 近世中期あたり(江戸時代)から変化し始め…た。
・ 現在の原稿用紙が一般化し始めたのは明治時代中期くらいから
探偵なんてものは実につまらない行為で、不遜なことであり、真実を炙りだすことが常に正しいとは限らない。それで果たして人が幸せになるのかどうか、僕には判断がつかない。
悪、人を殺すということは許されないことだが、否定できない自分がいること。
以前読んでなかなか面白かった本に続きがあったので読んでみた。
あらすじは前作の続きで、時期としては大正3年末から4年4月頃。
富豪が自分の館で行われた祝賀会後に殺された話、人気小説家が自身の連れを殺され、自身に嫌疑をかけられる話、誘拐の話、そして柿三郎の助手、千代の友人が白骨化した死体で見つかる話。
各話モチーフ(解説では本家取りと記載)になったものがある。私が分かったのは3話と4話。
今回の幕間は四話で殺される友人ふみと千代の話。
最後にふみが夢の中?で、
「あたしの思いを引き継ぐとか、そんな面倒なことは云わないでよ。お千代は、お千代の道を、歩めばいいんだから」
といって千代に万年筆を託していたが、千代はその後、文学の世界に身を投じることになった(前作より)。
万年筆の話がどこかにないかなと前作を軽く読み返してみたが、残念ながら見つからなかった。続きを読む投稿日:2023.09.27
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