ゴルフ場に自然はあるか?
田中淳夫(著)
/ごきげんビジネス出版
作品情報
自然破壊の象徴のように語られがちなゴルフ場。
その開発の歴史から現在の場内の自然、そして農薬問題について語り尽くした書。
現在、ゴルフ場は全国に2300以上ある。そこには、意外や絶滅危惧種を始めとする多くの動植物が生息していた。しかも開発を通して森林面積が増えている実態が浮かび上がる。
その姿は現代の里山そのもの。
だが一方でゴルフ自体の衰退もあり、閉鎖するコースも増えてきた。将来、ゴルフ場の自然はどうなるのか?改めて自然を保全する意味と方法を考える。
【こんな人におすすめ】
ゴルフが好きな人。ゴルフ場は自然破壊だと思っている人。里山の保全が必要だと思っている人。
【著者プロフィール】
1959年大阪生まれ。静岡大学農学部出身。
出版社、新聞社等を経て、森林ジャーナリストに。
森林、林業、山村のほか、里山や地域づくりをテーマに、科学面と社会面の両方から取り組んでいる。
主な著書に『森林異変』、『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『いま里山が必要な理由』『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』(洋泉社)、『森を歩く 森林セラピーへのいざない』(角川SSC新書)、『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)ほか多数。
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この作品のレビュー
平均 3.5 (2件のレビュー)
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ゴルフをしない著者が書いたゴルフ場の本
いつまでたってもスコアが良くならない中、ゴルフに関わる知識を得てそのうんちくを語ることもゴルフの楽しみの一つとしてよい、と聞いたこともあり本書を手に取りました。
環境汚染を引き起こすとのゴルフ場に対…する批判を軸に日本におけるゴルフおよびゴルフ場の歴史やゴルフ場の管理に関わる記述が多くあり勉強になりました。このような知識を得ることで、グリーンキーパーをはじめとするゴルフ場(ゴルフコース)の維持に携わる方々や自然そのものに対する感謝の気持ちをもてるようになるのではと思いました。もしかしたらコースに出てボールを打つたびに「(ゴルフができて)ありがとう」と言っているとゴルフがより楽しく、結果としてスコアもよくなったりするのではと思ったりもしました。
本書では今後のゴルフ業界の行方についても触れており、この点についても考えさせられました。
これからゴルフがより身近なものとなり、最低限のマナーなどは守られつつ、多くの人に親しまれるものとなっていくにはどうしたものか、本書を読みながら考えました。続きを読む投稿日:2016.11.20
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現代の里山になるか
里山とは自然林ではなく、下草を取ったり薪を取ったりするために人間の手が入った土地だ。そしてゴルフ場の多くが里山に作られてきた。ゴルフ場と言えば農薬が撒かれているイメージが強い。日本には2300を超える…ゴルフ場が有りその数はアメリカとイギリスに次ぐ世界第三位だが過去10数年で100以上が閉鎖し、多くの会員権制度は破綻している。
元々自然の地形がそのままゴルフ場になったイギリスや、街の中の緑としての価値を持つアメリカと違い日本のゴルフ場は里山や自然林を造成して作られている。ゴルフ人口は推定900万人、利用者数は年間8700万人。薪が使われなくなった里山が放棄され、輸入材が増えて林業も怪しくなった時に会員権を販売して資金を調達し、ゴルフ場に生まれ変わらせることで儲かった時代があった。
ゴルフ場反対の狼煙が上がったのが奈良県山添村、ゴルフ場でバイトした息子から農薬が山積みになっている事を聞いた農家が反対を始めたのだ。普通の農家であればそこまで反応することはなかったかもしれないが、ここの奥さんが「名張毒ぶどう酒事件」で次男を妊娠中に被害にあい奇跡的に助かっていた。このことから農薬に拒否反応を持ち有機農法に切り替えたところにゴルフ場で大量に農薬を使っていると言う話が舞い込んだのだ。ゴルフ場の排水管から赤いヘドロが出る映像が流れ反ゴルフ感情を後押しした。しかし実際にはこの赤いヘドロは鉄分を含んだ土壌のためでゴルフ場とは関係がない。マスコミの印象操作に使われたのだ。
著者がゴルフ批判本を調べたところ伝聞が多く厳密な情報源を示さない。理論的な根拠が記されない。扇情的な表現。様々な健康食品やご利益を訴える新興宗教と変わらない。それでも批判内容を分類すると3つに分かれる。ゴルフ場開発を森林破壊として捉えるもの、農薬問題そして汚職や疑獄の温床だ。この本では前の二つを検証している。
ゴルフ場開発に適した場所は地権者が土地に思い入れがなく、権利関係が複雑でないところになる。薪炭林などの共有の入会地が選ばれた理由がこれだ。ゴルフ場に適したなだらかな丘陵地帯は普通はその前に住宅地や農地となっている。そこで比較的急峻な斜面を造成するしかなくなり森林破壊批判へと繋がった。全国のゴルフ場の面積を足すと千葉県の面積を超える。それだけ森林破壊が進んだと言う試算まである。ただ法律上森林の一部を残さないといけないのでゴルフ場面積の6〜8割は森林なのだ。打ち込んだボールを探すゴルファーの要請でこの森林は手入れされ現代の里山となっている。実際にはゴルフ場の開発で森林は増え、生物多様性も保たれている。芝生は土壌の流出も抑える。植生は固定されるが新たな自然環境となるかはオーナーと管理者次第になる。
農薬はどうか。ゴルフ場開発当初は芝の防除方法がわからず大量の農薬を撒いたケースはあったらしい。昔は年間3-4tの農薬が撒かれたという話もあり10平米の庭でなら年間1kgに相当する。だが89年には2t現在ではおそらく500kgが標準になってきている。同じく庭なら125gだ。ゴルフ場の管理費も10年前の3割に抑えられている。コストのかかる農薬をばんばん使ってる場合ではない。最も少ない香川県のサンライズヒルズCCでは27ホールで320kgとさらにその半分以下である。
このままいけば人口は減りゴルフ場も減っていくだろう。すでにコア層はシニア層担っているが、2021年にはこのコア層が70代になり若いプレーヤーが増えないのでさらにゴルフ場が減る。放棄されたゴルフ場の転用先が太陽光発電では面白くない。続きを読む投稿日:2016.01.09
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