この作品のレビュー
平均 3.7 (67件のレビュー)
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ーどうして人は、孤独を恥ずかしいと思ってしまうんだろう。(P.12)
…顔の皮膚一枚で浮かべたらわれながら薄っぺらな笑みであった。(P.180)
西の空には、橙と薄桃を刷毛で交互に滲ませたような色…あいが広がっていた。細い電線と、まわりに群れ飛ぶ鴉とがくっきりと黒く浮かびあがっている。(P.250)
焦燥はなかった。かと言って解放感もなかった。ただ、ぽっかりと胸に穴があいていた。たったいまできた穴ではない。ずっと昔からあった、誰にも埋められない、そして誰も埋めてくれない穴だ。深く深く穿たれた穴だ。ふだんはそこに穴があると認識せずに暮らしている。それほどまでに見に親しみ、意識に馴染んだ穴だ。いや- 欠落だ。(P.261)
とくに行くあてはなかったが、ただ歩いた。青一色だった空に桃いろが刷かれ、やがて橙が混じってまだらに染まり、西に陽が落ちて茜が群青に呑みこまれていっても、まだ歩きつづけた。
濃紺の夜空を背景に、信号の灯りが冴え冴えと浮きあがって映える頃、…(P.311)
榛村の表では人を惹きつけ、裏では残忍な犯行を繰り返す、まさにサイコパスな描写がとても上手で、自然にこんな人かなと想像できた。
雅也がどんどん榛村に乗っ取られていくのが分かり、後半からゾクゾク。後半にかけて面白くなる本ってそうそうないので、新鮮。様々な人が入り組み、複雑な人間模様でたまに頭が混乱、、、
人の弱みに漬け込み、上手く足りない、満たされないところに入り込む、これは才能なのか…
現実にこんな人、会ったことないが、いたら怖すぎる…
チェインドッグ、鎖に繋がれた犬だが、誰が鎖に繋がれていたのか…雅也か、雅也の母か、それとも雅也の前に現れた謎の男か…
空の描写もとても素敵で、色を交えながら描くところが好き。続きを読む投稿日:2022.08.07
このレビューはネタバレを含みます
実は1年前、【死刑にいたる病】の映画を観ていた。
レビューの続きを読む
穏やかに話す阿部サダヲが印象的で、話の内容も面白いなあと思った記憶がある。
そして今。
やっと原作である本作品を手に取り読んでみた。
ある意味…《主人公》である榛村の容姿が映画と原作で異なっている(決して悪い意味では無い)以外は映画は原作に忠実で、映画の内容をより細やかに書いてあり分かりやすい。
櫛木理宇の作品を読むのはこれが初めてだったが、癖のない文に想像力を掻き立てる描写、魅力的なキャラクターに読む手が止まらずほぼノンストップで読み終えた。
その後出た感想は、ため息だった一つである。
それは読み終えた達成感か、或いは脱力感か、失踪感か。いや、やはり榛村に対する魅力に対する物だろう。
この本を読み終えた時点で
彼の行動を雅也と共に追った時点で
私たちは彼に魅了されていたのだ。
それはもう、どうしようもなく。
「きみの手を握れたらいいのにな」
そう彼に微笑まれたら、私はその手を握れないことを残念に思うだろう。そうして鎖に繋がれた彼の《犬》になるのだ。
これからこれを読むきみへ
気をつけた方がいい。
ページを開いたその瞬間から、
彼の手はきみの方へと伸びていくのだから。続きを読む投稿日:2024.05.04
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