喪失
カーリン・アルヴテーゲン(著)
,柳沢由実子(訳)
/小学館
作品情報
2000年北欧推理小説賞受賞作!
ストックホルムの32歳の女性ホームレスが、ある日突然、連続猟奇殺人犯として警察に追われることになる。食べ物と寝場所を求め格闘しながら、極限状態に身も心もすり減らし、たった一人で真相に迫っていく・・・・・・。地方都市の富豪の一人娘がなぜホームレスになったのか? 深い心の傷を負い、絶望と背中合わせに生きる主人公が、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得する過程は大きな感動を呼ぶ。2000年北欧犯罪小説大賞受賞作。
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商品情報
- シリーズ
- 喪失
- 著者
- カーリン・アルヴテーゲン, 柳沢由実子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 小学館
- 書籍発売日
- 2005.01.01
- Reader Store発売日
- 2015.06.19
- ファイルサイズ
- 0.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (14件のレビュー)
-
推理小説というよりサスペンスです
書籍説明には、ホームレスがある日突然、猟奇殺人の容疑者となると、あっさり書かれていますが、このホームレスの女性は、只者ではありません。生活の糧は、高級ホテルで男を引っかけ、食事と暖かいベットを頂くこ…と。ただし、カラダは与えないという、したたかな女です。でも、ホームレスになったワケは、リストラとかそんな話ではなく、普通ではない家庭環境、成長期の体験が原因らしく、精神病院の入院経験もあり、裕福な家を飛び出して10年以上ということが読んでいるうちにわかってきます。
そんな彼女が、ある男をカモにした翌朝、別室でその男が殺されたことを知ります。しかも、内蔵を切り裂くという猟奇殺人。当然、容疑者として追われることになりますが、なぜか次々と同じように人が殺され、ワケがわからないうちに、容疑者として世間の話題の人となってしまいます。様々な要素が彼女を犯人であることを示しており、逃げ回る彼女は、最早絶体絶命!
次々と殺される男女に共通点はあるのか?なぜあのようなむごたらしい殺し方なのか?はたまた彼女は本当に無実なのか?そうならば、どうそれを証明すればよいのか?
絶望感漂う展開の中、過去の回想シーン、幻想シーン?が挿入されるので、ホントは無意識の内に彼女がやったのか?なんて思わせるシーンもでてきます。
スウェーデンの作家が書かれたモノなので、なじみのない地名が沢山出てきますし、人の名前もロシア文学ほどではないにせよ小難しいものがあります。しかも、翻訳物特有の言い回しが、少々読みにくい。それでも、物語の結末がどうなるか知りたくて、ページをめくる手が早くなります。そして、ようやくたどり着いた結末は、思いもかけぬ動機と犯人でした。
推理小説としては本格モノではないと思いますが、この緊張感溢れるサスペンスは、殺し屋とかスパイとかが登場するものではなく、日常にも潜在するであろう狂気として、逆に怖いものがありました。
訳者のあとがきによれば、原題は「SAKNAD」というそうで、これには失踪という意味と喪失という意味があり、英語のタイトルは「MISSING」となっているとか。訳者の方は作者にお会いして、その意図を聞いた上で「喪失」としたそうで、確かに、読んでみると「喪失」の方が的を射ていると思います。
全てのモノを打ち捨てて身軽になれば、お気楽な生活が出来るかも、と思わないわけではありませんが、自分に関わるモノ全てを喪失することが、こんなに恐ろしいことになるとは思いも寄りませんでした。
初めて読んだ作家の作品でしたが、他の小説も読んでみたくなりました。続きを読む投稿日:2016.02.20
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冷たい重圧と過干渉で支配するという暴力なき虐待
地方都市の富豪の一人娘シビラの不幸は母親がシビラの心を全く理解しなかったことから始まる。常に冷たい重圧と過干渉で支配するという暴力なき虐待を繰り返す母親だったのだ。
ただただ自由を追い求め18歳で家…出してホームレスとなった。ところが32歳になったシビラは殺人犯に仕立て上げられてしまう。
物語は少女時代の追憶と現実の逃避行が交互に繰り返されながら進む。ミステリとしてのワクワク感は少ない作品だが心理描写が素晴らしい。
育児放棄や暴力と違い周囲に理解してもらうことが難しいが故に深みにはまる絶望感を見事に表現している。
著者カーリン・アルヴテーゲンは大叔母が「長靴下のピッピ」の作者という文学家族の中で育った。家族の死や離婚など様々な問題を抱えご自身も深い鬱状態になり死を考える毎日だった。
そんななかで自分の心を見つめるために小説を書いた。自由を求めるだけでは社会に適応できないと悩む姿は多くの人が思春期に経験する葛藤でもある。猟奇殺人から始まる暗い作品だが読了後はなぜか癒しを感じるのだった。続きを読む投稿日:2018.07.03
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